再び部屋の中へ・7 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「仕方ないなぁ、カズが行けって言うから行くかぁ~」



すでに忙しなく動き出している街を、二人並んで歩く



「仕方なくないでしょうよ…

休むって言うけどさ、どんな理由で休むつもり?仮病でも使うの?」

「運命の人との両想い記念日だから休みます」

「…ぷっ…あはははっ」




二度目の初めましてで出会ったサトシは

あの部屋で感じていた優しさとか、強引さとか、熱さとか、全部がそのままで

一人で居たら決して気付かなかったであろう気持ちをいとも簡単に引き出して


そして、そのまま受け止めてくれた



相性がいい



それだけでは言い表せない



これが、運命…というものかもしれない



凄い人と出会ってしまったなぁ






「じゃ、行ってきます」



駅の改札で、各々のホームへ別れる時


今まで使ってなかった言葉が、胸から喉へ上がってきた


なんだかそのまま言いたくなって、抵抗せずに、口に出してみる



「サトシ、またねっ」

「…はっ!」



リアクションが読めなくて、使い方を間違えたと思った

これは初心者が使うモノではなかったのかも…



「あの…ごめん、バイバ…わっ…ちょっ…」



いつもの言葉に戻そうとしたら、ガバッ!と抱きつかれた




「それいいね…」

「いや…離せって!」


「嬉しいな」



足早にホームへ向かう人達がチラチラとこっちを見てる



「もう一回」

「ちょっと!離せってばっ」

「言うまで離さない」

「はぁ?!」

「言って、聞きたい」

「…またねっ!サトシ、またねっ!」



言ったのに、離してくれなくて

「もう一回」「またねっ」を何度も往復した




やっと満足したらしいサトシは、こともあろうか頬にチューまでしてから



「カズ、またねっ!」



ホームの階段を駆け上がっていった






しばらく動けなくて、サトシが乗ったであろう電車が遠ざかる音を聞いてから、頬を押さえた



「まさか…公衆の面前でチューされるとは…」



部屋の中のサトシとは違うサトシがたくさん居るんだなぁ

次に会う時は、また違う一面を知ることになるのかもしれないな



人ってそういうもんなんだね




「…ふふっ」



自分の思考が、当たり前のように「次」を使っていて

さっき胸から上がってきた言葉の意味を知る



使い方を忘れそうだから


もう一度だけ、心で呟いた



んー!と伸びをして、無意識にスキップでもしそうな足をペチンと叩いて階段を上る




ずっと敬遠していたし、これからも積極的に出ることはないと思う



「一駅前で降りようかな…」



だけど、部屋の外に、そこに居る人に

ほんの少しだけ興味が湧いていた




乗り込んだ電車の窓には、春の気配が漂っている





















終わり