※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
俺が主任のデスクに座る前日は
部長がこのフロアから異動する日
「皆さんの支えがあって、なんとかやってこれました
向こうへ行ってもその感謝を忘れず、仕事に励みます
そして、もう少しだけ偉くなって、必ずここへ戻って来ます
その時はまた一緒に仕事しましょう
ありがとうございました
行ってきます」
部長からの珍しい上昇宣言に、一緒に仕事をしてきた仲間達から大きな拍手が沸き上がった
部長に助けてもらった人
部長に支えてもらった人
そういう人はたくさん居て、憧れている人も、好きって気持ちの人もきっと居て
所々から鼻をすする音がしていた
「昼の便か?」
「はい」
「引越しは?」
「二日前に」
「K支社は少し大変かもしれないが…」
「大丈夫です、私には大きな目標がありますので」
見送りに来てくれていたお偉いさんに囲まれていた大野さんが
チラッとこっちを見た
「ね?」
余裕で微笑む大野さんが物凄く格好よくて
この目にしっかりと焼き付けた
「行ってらっしゃ~い!」
皆に見送られて、笑顔で出て行く大野さん
その姿が見えなくなった途端、目の前が真っ暗になるほどの寂しさに襲われた
「は…はぁ…ふぅ~」
息が少しだけ苦しくなったけど、でも…大丈夫
俺には大野さんの愛が溢れてる
だから、大丈夫
「すぅ……はぁ~…」
ゆっくりと息を整えてから、明日のデスクの移動準備を始めた
「二宮っ」
「はいっ」
「これ、忘れてた」
翔ちゃんから呼ばれて、A4の封筒を手渡される
「えっと…なんだっけ?」
「部長に渡さなきゃいけなかったやつ
いや~、俺としたことがすっかり忘れてたぁ
忙しいとこ悪いけど、届けてくれない?」
「えっ?!」
「ついでに、空港まで見送ってきてよ」
「…翔ちゃん」
「会社では主任って呼べって言ってるだろっ
あ、明日から課長だった」
「櫻井課長、皆を代表してお見送りさせていただきますっ」
「はい、よろしく~」
封筒を抱えて、フロアを飛び出した
つづく