※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「大野サン、ちょっとこっち」
「ん?」
「俺を唇に近付けてみて」
「え?!食べるの?!」
「いや、そこはあなた、気を付ければ食べないでしょうよ」
「あ…うん、そっか」
びっくりしたぁ
そうだよね、俺が気を付ければいいだけだよね
万が一にでも口に入れてしまわないように唇をぎゅっと結んで
言われた通りにニノを近付けた
…ぷに
なにかが唇に触れた
「…あれ?」
そこからふわふわ~っと…なんだろう?
優しさ?みたいなものが広がっていく
「どう?」
「…ひりひりしない」
「お~!やったぁー!」
「すごい…ニノすごいよ!治ったよ!」
「えへへ~ 俺って、すごい?」
「天才!」
担当の傷じゃなくても、元々備わっている力で痛みを和らげることが出来るんだって
ニノは得意げに教えてくれた
さすが傷専門の妖精!
「こんなことも出来ちゃうなんて、ニノほんとにすごいよ~」
「えへへ~」
「手で唇を触っただけ?」
「唇で唇を触っただけ」
「へ?」
「だから、こう、ん~って」
…妖精とキス!!
「それ…いつも飲んでるけど、美味しいの?」
「え?あ、あぁ、うん、仕事終わりのビールは格別だよ」
衝撃の事実にぼんやりしていると
ニノの興味は他に移っていた
「へぇ~」
「ニノは?お酒飲める?」
「妖精にそんなもの進める奴は居なかった」
「飲んでみる?」
「えっ?!いいの?!」
目をキラキラさせて、早く早く!と急かすから
スプーンを持ってきて、ビールを数滴落とした
「一気に飲んじゃダメだよ?」
飲みやすい位置まで持ち上げると
クンクンと匂いを嗅いでから
「いただきます♪」
勢いよく飲み干した
身体と器のバランスがおかしくて
優勝した力士がお祝いのお酒を飲むみたいになってる~
可愛い~!
「どう?美味しい?」
「…苦いっ」
「それが段々癖になるんだ~」
「へぇ…人間ってやっぱよく分かんないや」
「んふふっ」
袖で口をきゅきゅっと拭いて、すっごく苦そうな顔してて
その仕草も可愛くて、笑ってしまった
「…でね、そんな大きな傷も担当するんですよ~」
今夜は、これまでにニノが担当した傷の話をたくさん教えてくれた
「それは大変だね~」
「そう、大変…だったぁ…」
「ニノ?」
「ん~」
「眠いの?」
なんだかニノがぼんやりしてる
…珍しい
濡れる概念が無いのと同じく、寝る概念も無かったような…
「あ~…あっち~」
「…あち?…熱いの?」
「急に熱い~なんだこれ~」
白い肌がふんわり赤くなってて
頭がユラユラと左右に揺れ始めた
つづく