「全く… 息 くらいしなさい!」
「だってぇ…」
「だってじゃない! 口 付 け ごときで 意 識 を 無 く されるこちらの身にもなりなさい!」
「…ふぁ~い」
「なんだ?!そのふざけた返事は!」
「ふへへっ」
「全く…」
生まれて初めての 口 付 け はすごく 熱 くてびっくりした
その 熱 さで 頭 がぼんやりして、息をする間が分からなかった俺は
体内の空気が次第に減り、意識が離れていった
目が覚めた時
旦那様から物凄い力で抱きしめられていた
あぁ、これは夢じゃないんだなぁ…
その力強い腕から伝わる痛みから、そんなことをぼんやり考えていた
身体と意識が動くようになると、それからはずっとさっきのお小言
こんな旦那様、見たことない
「和也と居ると、立派な旦那様を演じるのが馬鹿馬鹿しくなる」
「…え?!演じていたんですかっ?」
「元々向いていないんだ、人の上に立つことも、責任ある立場でいることも」
「…知らなかった」
「こんな私は…嫌か?」
「そんなわけありません!」
皆が見たことのない旦那様が、俺の前では出てきちゃうなんて
すっごく嬉しいっ!
「可愛い笑顔だ」
身体の隅々まで嬉しい気持ちが駆け巡ってふわふわしていると
旦那様がまた、目の前まで 迫 って来ていた
つづく