僕の手を・29 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「大野さん」



名前を呼んでも、俺を見てくれることはない



でも、届くと信じる

それがどんなに遠い未来のことだとしても




「近付いて欲しくないって思うなら、もう近付かない

触れたくない、触れて欲しくないって思うなら、もう触れない

早く帰れって言うなら、すぐ帰るよ

でも…好きなんだ

これだけは変えられない

聞きたくないって言われても、何度でも言うから

大野さん、好きです」



ゆっくりと洗面所の床に座る



二人の間にある距離は変えないまま、目線の位置を同じにした




「大野さんが好きです」




涙で濡れた焦点の合わない瞳が、微かに揺れたのが見えた



この想いが、どうか届きますように…





「いつまででも待つよ

安心してもらえるまで


怖いって気持ちがなくなるまで

だから、側に居ることだけ…それだけは、許してもらえませんか」



空を泳いでいた目線は、大野さんの手のひらで止まっていた



…届いてるかな


ほんの少しだけでも、届いてほしいな




「…ニノ」

「なにっ?」



名前を呼ばれて、間髪入れずに返事をしてしまった



せっかく大野さんが反応してくれたのに…

俺が慌てたらダメだ



「どこが悪かったのかな…」



悪い…?

いつのことを話してる?



「今度はいつ…最後ねって言うの?」



最後…あの時のことだ

逃げることを決めた時



「好きにならなければよかった

…ごめんね、ニノ」




自分の弱さに打ちひしがれていた時

どこで間違えたのかを考えていた時



どの時点に思考が戻っても


「大野さんを好きにならなければよかった」


そこには辿り着かなかった



大野さんは、そこに行き着いたんだね…



「…そうかもね」



でもね、一人にしないよ



「今までのこと、好きになった気持ちも、想う心も

全てが間違いだったかもしれない」



それでも今度は…



今度こそ、俺はあなたから離れない




「だからここから、今この瞬間から…


もう一度初めから、あなたを想います



大野さんが好きです」

















つづく