人は人を愛せます ~青志先生とへっぽこ釣り部の大野くん~ | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「野球部に入らないか?」



唐突に声を掛けられて

びっくりしたのを覚えている




僕と、田茂先生は

こうして出会ったんだ











4月




「僕は釣り部なので…」



新任の先生が、三年生の僕を部活動に誘うなんて

すごく驚いた




「グラウンドは海なんだ…そう、バッターボックスは船だ!

釣竿をバットに持ち替えて、ボールという名の魚を釣らないか!」



「…いえ、僕は普通の魚を釣ります」



「…だよな」




学生服を着たら、僕らと見分けがつかないんじゃないかと思うほど

華奢で幼く見える先生



「部員が足りないんですか?」

「一応集まったけど、何事にも保険は必要だろ?」

「まぁ、はい」

「君は釣りが好きなの?」

「はい」

「そっか、いいね

…ところで、釣り部は君一人?」

「はい、僕が卒業したら廃部です」

「ふ~ん、じゃ、また来る」



また来る…?



変わった先生だなぁ



ま、いいや

今日は手作りのルアーに挑戦する日

時間は一時間としよう



どこまでやれるかなぁ~











5月




あれから田茂先生は、この部室によく来るようになった



「その…ルアー?まだ出来上がらないの?」

「はい」

「もう1ヶ月、同じものを作っているように見えるなぁ」

「形はそう見えるかもしれないけど…

何度も水に浮かべて、魚の動きに似せる為のバランスや色合いの調節をしてるんです」

「なるほど」



「…笑わないんですか?」

「なぜ?」

「普通はここで笑われるんです」

「仮説を立てて実験、実証し、その結果を精査して、また仮説を立てて実験する

至極当たり前の論理だ」



「…先生は変わってますよね」

「あぁ、よく言われる」

「気にならないんですか?」

「何が?」



「…いえ」




田茂先生の授業はとても面白くて

退屈な授業が、少しだけ楽しくなった



田茂先生は毎日忙しそうにしていて

グラウンドで大きな声を出しているところを見掛けたことがあるけど



ここでこっそり息抜きをする先生は

穏やかで、たおやかだった

















つづく