君の手を・18 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「酷いこと言ったお詫びに、キスしてよ」



とんでもないことを言われて

そんなことするわけないだろって怒鳴ってやるつもりだった



だけど、そんなことをしても、同じ事の繰り返しになる



集合の時間になって、うやむやになったまま鍵が返ってこなかったら…



それのほうが、困るんだ




そのお守りがないと、不安で不安で…

俺がどうにかなってしまうのが分かるから





「…したら、返してくれんの」

「もちろんだよ~

困らせたくて拾ったんじゃないんだもん」



…どうする?

鍵を返してほしい、もちろん、だけど…



「…ここで?」

「うん、いますぐ」



キスくらいなんてことない

もうすぐ日付が変わるこの時間帯だ

この廊下に人だって居ない

そんなもの、パッとしてしまえばいい



鍵が返してもらえるなら…してしまえばいいんだ



「したら、絶対返してよ」

「しつこいなぁ

早くしないと気が変わっちゃうよ?」




目を閉じて、息を吐く



…大丈夫、これぐらいなんてことないよ



ゆっくり目を開けて、反対側の壁際まで足を進めた





「んふふっ してくれんの?」



顔の横の壁に手を付き、睨みつけても

全く動じる様子がなくて

もしかしたらキスする前に返してくれるんじゃないかと思っていた俺は

肩を落とした



「甘いね…するまで返さないよ、ニノ」



気持ちを見透かされていたことに小さく舌打ちをして




チュッ




一瞬だけ顔を寄せて、素早く済ませた



「はい、したから返して」

「あははっ 冗談でしょ?

小学生じゃないんだからさぁ

…ふざけないでよ」



僅かに触れただけでも、唇が痺れてイヤなのに…



「はい、もう一回」

楽しそうに微笑まれる



鍵のため…、鍵を返してもらうためだよ…



もう一度深く息を吐いて

唇を合わせた



「ん~…んっ…」

わざとらしく声を漏らす顎を掴んで

無理矢理舌を絡ませてから

すぐ離れた




痺れる唇をごまかすように口を拭っていると

キスしてる間も腕を組んだまま、微動だにしなかったのに

「…ふふっ」

俺が離れた瞬間、肩を揺らして笑っている



「…なに?」

「ニノは…キスする時

周りが見えなくなっちゃうんだもんなぁ

…困っちゃうよ、…ね?」



チラリと視線を流されて

その方向に目を向けると




………翔ちゃん






帰り支度を終えた翔ちゃんが立っていた



「ニノに…キスされちゃった…ふふっ」



唇を軽く押さえて、わざと聞こえるように言って笑うこの人が

震えるほど怖い



でもそんなことより、翔ちゃん…



翔ちゃんに見られた…?




嘘でしょ…





「あの…違うから!これは違うから!!」



唇をゴシゴシ擦って、大声で翔ちゃんに言った



「集合の時間だって

マネージャーが言ってた

二人とも…遅れんなよ」



翔ちゃんはそれだけ言って

俺に背を向けて、歩き出した




「…まっ…て……しょ……ちゃ…」





誤解だからとか、言い訳とか、何か言わないと…

早く追いかけて、謝らないと…



そう思うのに、翔ちゃんの背中が見えなくなるまで

一歩も動けなかった












「…ぷっ なにその顔!」



涙が溢れる俺の顔を覗き込んで、吹き出して笑ったこの人は

「はい、これ」

俺の胸ポケットに鍵を入れた



「服の中に落とすなんて意地悪、俺がするわけないじゃん?

ニノのだって分かったらすぐ返すつもりだったのにさ

疑われたから寂しくなっちゃった」




…なに?なに言ってんだか…わかんない



翔ちゃん…翔ちゃん…





「…先、行くね?

その顔でロケするとか言わないでね

俺 笑っちゃうから」



俺は涙を拭くことも忘れて



翔ちゃんが去って行った廊下から動けなかった

















つづく