集合写真 | にのさかクリニック公式ブログ

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福岡市早良区で外来・在宅診療を行っているクリニックです

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」

院長二ノ坂 建史です。

 

 

これは、6年ほど前に撮られた当院スタッフ (一部) の集合写真です。

これだけを見るとただの集合写真なのですが、

僕たちにとって尊い思い出を伴う一枚なのです。

 

 

ある男性患者さんのこと。

 

元々病院嫌いだったそうですが、当院の外来に来ることは楽しみでもあり、

励みに思ってくれていたそうです。

外来に通いながら、お仕事もできるだけ続けていました。

状態が徐々に悪くなった終盤には、ご自宅への往診と並行しながらも、

調子が良い時にはご自身の希望で外来に来ることもありました。

自分の足で外来に通うということが、

生きるモチベーションのひとつになっていたのだろうと思います。

 

ある日、意識も朦朧、体もふらふらな状態で、

ご家族に連れられて外来に来ました。

僕たちとしては全然往診で良いのですが、

「にのさかの外来に行く!」 とご本人が強く言ったそうです。

 

結果的に、この日が最後の外来受診になりました。

ご自宅で亡くなったのは、この日から僅か3日後 (!) でした。

 

 

永眠の翌日、

奥さんと娘さんが死亡診断書を受取るために当院に来られました。

 

書類をお渡しし、しばしお話をした後、

クリニックの玄関先から見送る僕たちを見た娘さんが、

「お父さんの棺桶に一緒に入れるから」

と言って撮ってくれた写真だったのです。

 

写真を撮る娘さんの向こう側、つまりこの時の僕たちの目線の先で、

泣きじゃくる奥さんの姿が印象に残っています。