日本人の投資リテラシーの低さは、「株で損したから、もう投資をやりません」発言に現れています。

 

スマホの普及で、なおさら株投資は身近になりました。

 

証券会社のスマホアプリだけでも、楽天証券、SBI証券、松井証券、auカブコム証券、岡三オンライン、GMOクリック証券、マネックス証券などがある。

 

先日も、友人の40代の女性との雑談で、「株で100万円負けたから、もう投資はやらない」というのです。

 

(今は廃業した)LINE証券で100円からの投資が出来るというので、ほぼデイトレのように売り買いした結果だそうです。

 

他にも、ある女性経営者が「株は散々やったけど儲からないので、投資を止めました」とため息まじりに言ってました。

 

こうした人に共通することは、全く投資や金融の勉強をしていないことです。

 

こうした人に、当方が諭す例え話があります。

 

「投資の知識を学ばないで株取引するのは、小学生に(いきなり)社会に出て働きなさい ということと変わらない。」

 

社会的な常識があることや、義務教育を受けていることと、(投資が上手くいくことは)全く関係ありません。

 

そもそも、これまでの学校教育(たとえ大学でも)では、一切、投資や金融の基礎知識すら学ばないのですから、”何も知らない”ということです。

 

また、投資詐欺に遭う人に共通しているのが、初歩的な投資知識すらもないことです。

 

当方は、資産運用コンサルタントをしているため、世の中に存在する有名投資案件は(最新のものを除いて)全て知っています。

 

そうした案件は、最初の3分の案件の説明で詐欺だと分かります。

 

詐欺師は最初の3分(結論)で会話に引き込みたいのですから、極端な利回り、簡単に儲かる話、信用させるためのウソ(有名人などの登場など)をつきます。

 

当方の場合、最初から詐欺案件だと分かっても、金融コンサルタントとしての職業柄、持ち込んできた相手の話は必ず聞きます。

 

その際の当方のモチベーションは、「どうやって人を騙すんだろう」「この人は分かっていて(詐欺を)勧めるのか、分からなくて勧めているのか」を知りたいという好奇心や職業意識からです。

 

先般も、ある若手経営者が、「にのまえさんは、この案件どう思いますか」と2つの投資案件を相談してきました。

 

ひとつは、「ラオスの銀行を使った投資詐欺」もうひとつは「300倍になる株があるから買えという詐欺」でした。

 

彼は、2つの投資案件を検討しているタイミングで、たまたま当方と別件のミーティングしている際での質問でした。

 

結果として、彼は素直で賢かったので・・・「この2つの投資はやりません」と言って感謝の意を表してくれました。

 

コロナ禍から投資詐欺案件は特に増えています。

 

このような事例以外でも、友人からの投資案件の相談(投資するか投資しないかの判断)はよく来るようになりました。

 

ここ数年の案件は、全て”詐欺”です。

 

次の事例。

 

数年前に、看護師を30年ぐらいやってきた女性が、肉体的に仕事が厳しくなり看護師を辞めました。

 

当方と出会った頃、「私は口コミ系(MLM含む)の仕事はやりません。人を自分の金儲けで勧誘するのは苦手です・・・」と言っていたのが印象的でした。

 

それから数ヶ月たち「ご相談があります」と連絡してきたのでお会いしました。

 

彼女は、別の女性を同伴して、当方に投資案件を説明に来たのです。

 

かなり呆れるような内容の無い”楽して儲ける”詐欺案件で、友人としての、親切心から「こんなビジネスはすぐ止めなさい」と強く諭したのですが聞き入れません。

 

「この案件は、詐欺ではありません。」とコチラを説得しようとさえします。

 

看護師以外の一般的なビジネス経験もなく、投資知識もゼロで「一体、何を根拠に言ってるのか、この人は・・・」と呆れてしまったものです。

 

目先の金に目が眩んだ人間ほど、いかがわしいものはありません。

 

ちなみに、当方が過去10年間近く、詐欺と予測した案件は、全て詐欺として立証され終了(経営側の逮捕、夜逃げ、出金停止、計画倒産など)しています。

 

もうひとつ、詐欺にあっても学ばない人の話。

 

4年前に出てきた、海外の投資案件で「FX投資で儲かる」話がありました。

 

最初に話を聞き、その場で”詐欺だ”と判断しました。

 

破綻する前の1年ぐらいで、SNS等でその案件を詐欺告発する投稿も目立つようになりました。

 

現実に、昨年この案件が詐欺としての結末を迎えたのですが、この案件を紹介した友人は、今でも「詐欺ではなくて、会社が上手くいかなかっただけ」という言い訳をしていました。

 

おそらく、彼の周りの沢山の友人・知人を勧誘して、今更、自身が”詐欺”を認めるわけにいかない(責任逃れ)ために、こうした詭弁を使うのでしょう。

 

さて、こうした傾向からの今後の予測ですが、金融が不安定な時代には”投資詐欺”は激増します。

 

何故なら、(カモられる)人はお金に困ると「一攫千金」を夢見たいからです。

 

騙す方は、もちろん「人を騙す専門家」ですから、ますます巧妙な手口になるでしょう。

 

そういえば、先日も「日本の政治家が参加している」ことを謳った大型詐欺案件が登場していました。

 

裏金が当たり前だと主張する政治家が、表舞台でも堂々と国民を騙す時代ですから恐れ入ります。

 

こうした詐欺案件は海外のものが多く、海外(本社、海外在住)だと訴訟してもお金を取り返せません。

 

また、詐欺案件を作った経営者側でなくても、(一般の)口コミで紹介するリーダー格の人に対する集団訴訟も頻発するようになりました。

 

人を騙して紹介すれば罪に問われます。

 

この2つの「株で損する」「詐欺に遭う」事例から分かることは、投資知識を学ぶことの重要性です。

 

せめて、小中学生レベルの投資知識を身につけなくては、投資が成功するはずはありません。

 

70年前の53歳寿命なら、サラリーマンにとって主たる投資は”持ち家”だけでも良かった。(見方を変えれば、子供の教育は投資と言えるでしょう)

 

100年寿命の時代は、60歳定年からでも40年の長期投資が可能な時代です。

 

現在、年金暮らしの大多数の方々が、預金を切り崩しながら生活しています。

 

こうした経済的な不安を抱えた現実から逃避して、100年人生をピンピンころりで”豊かに終える”ことは不可能です。

 

真剣に、弱肉強食と言える”投資”を学ことが必要な時代です。

 

投資知識を身につければ、投資でのリスクを抑え資産も増やせるし、投資詐欺に遭うこともありません。

 

投資成功の最終手段は、”投資ポートフォリオ”を作り実践することです。

 

つまり、投資資金捻出のために”節約”を考え、長期投資と短期投機のリスク・バランスを考えるのです。

 

冒頭の例のように、株で損するのは、短期”投機”(売買)を繰り返すからであり、長期でリスクを最小にするような”投資”では無いからです。

 

そして、詐欺被害にあうのは、非常識なリターン(利益)に釣られるからです。

 

大多数の人にとって、100年人生を金銭的・物質的側面において、”豊かに生活する”には、早い段階で十分な資産を築き投資する、元気である限り働き続ける、投資と人生のリスクを考えて”長期投資”することしか選択肢はありません。