赤い表紙 を
ひらいたら
ぼくは
たちまち
あかんぼ に
ちいさなぼくと
ぼくをとりまく
あいたいひと たち
が
いる
あのばしょ に
どこのページを
めくっても
ぼくのことで
あふれてる
かあさん
が
みつけてくれた手帳
いつも
そばで
気にかけて
はなしかけて
ほほえんでくれた
ぼくは
なんの
しんぱいもなく
ないたり
わらったり
おこったり
また
ないたり
みんなに
みまもられて
あんしんして
くらしてた
ねむるときも
あそぶときも
なにするときも
ぼくのそばには
みんながいた
ぼくを見守る
あたたかい
まなざしに
あえる
赤い表紙
ページを
めくると
とたんに
家族の
げんきな声が
きこえてくる
あのときのまんま
むかえてくれる
にぎやかなぼくのうち
6にんでのくらし
この赤い表紙を
めくれば
ぼくんちの
玄関のドアが
ガラガラっと
ひらくんだ
みんなのいる
あのうちの
この赤い表紙
は
ぼくんちの鍵
ヂイチャン
が
のこしてくれた
たからもの
ぼくの居場所
げ・ん・て・ん
か・え・る
と・こ
・
・
・
・
・
赤い表紙を
しずかにとじると
ぼくのまえには
ちょっぴり
あかんぼになった
かあさん
が
いる
こんどは
ぼくのばんだね
あいたいひとたちが
そうしてくれたように
わがままばかりの
ぼくのことで
ないたり
わらったり
おこったり
こまったり
・
・
・
でも
それでも
かたときだって
はなれず
きにかけて
いてくれた
けが しないよう
かぜ ひかないよう
けんか しないよう
・
いつも
ぼくが
ぼくで
いられるよう
・
ぼくが
わらっていられるよう
みんなが
かわるがわる
そうして
くれたように
かあさんから
めをはなさずいよう
あまえんぼの
ぼくが
めをさますと
いつも
そこに
優しいまなざしが
むけられていたように
お風呂にはいるとき
いつも
子ザルのように
しがみついて
泣きさけんでいた
ぼくを
いだく
たくましい腕が
あったように
幼稚園に行かん
と
言って泣いては
こまらせたとき
毎日
ぼくの手をひき
送り迎えしてくれたように
だんだん
いろんなことを
おぼえていった
ぼくが
こんどは
かあさんに
・
・
・
だんだん
いろんなことが
できなくなってる
かあさんを
みまもってく
たべるときも
ねんねのときも
おふろも
トイレも
はみがきも
・
・
・
ひとりで
できないことは
いっしょにしよう
ぐずぐずしてても
おもらししても
おんまにのせてってせがんでも
父さんとこにいくってないても
ごはん も たべずに
たいこたたいてても
・
・
・
ときには
ドカーーーん
っと
に
なること
あっても
かあさんが
かあさんのまんま
あのころの
ぼくのように
なんの
しんぱいもなく
ないたり
おこったり
わらったり
できるように
あんしんして
いられるように