赤い表紙 | 明るいほうへ

明るいほうへ

お山を住処とするにんじゃに憧れるさすけともうします。
わけあってにんじゃ修行ができなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

赤い表紙 本

ひらいたら

 

ぼくは 

たちまち 

あかんぼ

 

ちいさなぼくと

ぼくをとりまく

あいたいひと たち

いる

あのばしょ

 

 

どこのページを

めくっても

ぼくのことで

あふれてる

 

 

かあさん

みつけてくれた手帳

 

 

いつも

そばで

気にかけて

はなしかけて

ほほえんでくれた

 

 

ぼくは

なんの

しんぱいもなく

ないたり

わらったり

おこったり

また

ないたり

 

 

みんなに

みまもられて

あんしんして

くらしてた

 

 

ねむるときも

あそぶときも

なにするときも

ぼくのそばには

みんながいた

 

 

ぼくを見守る

あたたかい

まなざし

あえる

赤い表紙

本

 

ページを

めくると

とたんに

家族の

げんきな

きこえてくる

 

あのときのまんま

むかえてくれる

 

にぎやかなぼくのうち

6にんでのくらし

 

 

この赤い表紙を

めくれば

ぼくんちの

玄関のドアが

ガラガラっと

ひらくんだ

みんなのいる

あのうち家

 

この赤い表紙

ぼくんちのカギ

 

ヂイチャン

のこしてくれた

たからもの

ヒヨコ鳥ヒヨコ

 

ぼくの居場所

クローバーカエルクローバー

げ・ん・て・ん

 

あしあと

か・え・る

あしあと

と・こ

あしあと

足足

足足

足足

 

赤い表紙を

しずかにとじると

ぼくのまえには

ちょっぴり

あかんぼになった

かあさん

いる

 

こんどは

ぼくのばんだね

 

あいたいひとたちが

そうしてくれたように

わがままばかりの

ぼくのことで

ないたり

わらったり

おこったり

こまったり

 

でも

それでも

かたときだって

はなれず

きにかけて

いてくれた

 

けが しないよう

かぜ ひかないよう

けんか しないよう

いつも

ぼくが

ぼくで

いられるよう

ぼくが

わらっていられるよう

 

 

みんなが

かわるがわる

そうして

くれたように

 

かあさんから

めをはなさずいよう

 

あまえんぼの

ぼくが

めをさますと

いつも

そこに

優しいまなざし

むけられていたように

 

お風呂にはいるとき

いつも

子ザルのように

しがみついて

泣きさけんでいた

ぼくを

いだく

たくましい

あったように

 

幼稚園に行かん

言って泣いては

こまらせたとき

毎日

ぼくのをひき

送り迎えしてくれたように

 

 

 

だんだん

いろんなことを

おぼえていった

ぼくが

 

こんどは

かあさんに

 

 

だんだん

いろんなことが

できなくなってる

かあさんを

みまもってく

 

たべるときも

ねんねのときも

おふろも

トイレも

はみがきも

ひとりで

できないことは

いっしょにしよう

 

ぐずぐずしてても

おもらししても

おんまにのせてってせがんでも

父さんとこにいくってないても

ごはん も たべずに

たいこたたいてても

 

 

ときには

ドカーーーん

っと

節分

なること

あっても

 

 

かあさんが

かあさんのまんま

あのころの

ぼくのように

なんの

しんぱいもなく

ないたり

おこったり

わらったり

できるように

 

あんしんして

いられるように