伊坂幸太郎シリーズ、

次に読んだのは「ラッシュライフ」です。

 

ラッシュライフ
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この本の表紙を飾るのは、

以前記事にもしたエッシャーのだまし絵  


子育てに 笑いを !! イクメン にんじん 子育て ブログ
 

 

兵士(修道女という話も…)が階段を登っている絵ですが、

どこまで登っても幟続けなければならないという奇妙な絵です。

 

 

 

最後まで読み終えたとき、伊坂さんがこの小説で書きたかったことは、

まさにこの絵なのだと思いました。

 

 

 

ストーリーは、5人の登場人物の群像劇で構成されます。

A:金に糸目をつけない画商戸田と、彼に振り回される新人女性画家志奈子

B:空き巣に美学を求め、盗品のメモを残して帰る泥棒の黒澤

C:新興宗教の教祖にひかれている画家志望の河原崎と指導者塚本

D:お互いの配偶者を殺そうと計画する女性精神科医京子と、プロサッカー選手青山

E:四十社連続不採用の目にあっている失業者豊田

 

 

全く関係のないストーリーを歩んでいる5人。

その物語が、絶妙のバランスで交錯します。

 

 

後半へと読み進めるにつれて、 

ここでこのつながりがあるのか…泣あせる

 

 

と驚かされるものばかりでした。 

  

 

 

また、ミステリー小説ではつきもののミスリード。

読者を惑わせる文をさりげなく挿入することで、

後半でのどんでん返しを見事に生み出します。

 

 

 

この本でのミスリードもたくさんひそんでいて、

二度目に読んで気付かされる部分も多くありました。

 

 

 

あまり書くとネタバレになってしまいますが、

 

・犬をバラバラにしようとしたハサミ女と精神科医に通って拳銃の入手方法を教えてくれた女の人

・バラバラになった死体がくっつくという噂話をする女子高生

・赤い帽子のツバを折ってかぶった男性の目撃情報

 

などなど、さりげなく書いてある文章が、後半へのカギへとつながっていきます。 

 

 

 

また、この作品で巧みに用いられている手法が、「時間軸」

時間は過去から未来へと流れていくという固定概念は、誰もが持っているものです。

その固定概念を正に逆手にとって作品を仕上げています。

 

 
 

・車でひかれてしまった黒猫のミケが、数ページ後に復活する。

・所々で登場する犬の首輪

・死体が一瞬にしてバラバラになり、その後くっついて独りでに歩き出す…

・トイレに行っている隙に一仕事をすることができると誇張する泥棒黒沢とその動き

などなど…
 

 

 

一度目では「えっ」これは現実世界の設定とは異なるものなのか…

と思わせられますが、最後まで読むと理由がわかりました。

 

 

 

小説は、空想から創り上げられますが、あまり現実離れしている本は、読む気がしません。

死体が生き返った時点で、私は読むのをやめようかとも考えました。

でも、最後まで読めば筋が通っていることを確認できます。

 

 

 

読みながら謎を解きたい人、死体がくっつく理由を知りたい人は、

ぜひお読みください(^_^)


ラッシュライフ (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
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