どうも、しみずです。
伝説の灘中教師橋本武先生の言葉
すぐに役に立つことは、
すぐに役に立たなくなる
について、
「アナロジー思考(細谷功)」という本で
詳しく説明してくれている箇所があったので、
残しておきます。
「即効性のなさそうな」本ほど役に立つ
抽象化思考力を鍛えるためには、いわゆる「すぐに役に立つ」本とは真逆の読書が有効である。
大きな理由は、前述の「実践的トレーニングの功罪」で述べた通りである。
いわば「即効性のない」本のほうが役に立つということであるが、これには2つの意味がある。
1つ目は、即効性がない=抽象度が高いということである。
具体性の高い、いわゆるハウツー本ばかりを読んでいては「抽象化能力を上げる」という観点に限れば効果がまったくない。
抽象概念を扱うことは、いわゆる「難しい」本、つまり、抽象度の高い言葉で書かれた本を読み、そこでいかに自分の身の回りの経験と結びつけて抽象概念のレベルで考え抜けるかということが問われる。
数学や哲学の本を読むのはこうした
位置付けでも有効である。
221ページの「『実践的トレーニング』の功罪」で述べたように、
具体的かつ直接役に立つものにばかり触れているというのは、消化のよいものばかりを口にしていると自ら咀嚼したり消化したりする能力が衰えていくのと同様である。
ひな鳥が親鳥から餌をもらうのと同様に、見知らぬ分野における初心者のうちはそのアプローチは有効であるが、
ある時点からはあえて抽象度の高い読み物に触れることが重要になり、それがアナロジー思考力を高めることにもつながってくるのである。
その点において「わかりやすい本」というのは曲者である。
要するに 「わかりやすい」とは読者側が何も考えなくても理解が可能であることを意味するからだ。
もう1つの「即効性がない」という意味は、自分から「遠い」 世界の本を読むということである。
これは、アイデア博士になるための因数分解の公式の2つの因数に対しての対策だ。
前回、こちらの記事で
「推論」ができれば正しく読解でき、
語彙を身につけられると書いたのですが、
この「推論」するのにかなり重要な力が「アナロジー」です。
著者の細谷功さんは「地頭」という言葉を初めて使った方らしいのです。
「地頭力を鍛える」で有名な方です。
「やり方」、いわゆる「ハウツー」「ノウハウ」だけを教えることの意味のなさを、細谷さんも書いていました。
橋本武先生も、「すぐに役に立つこと(=ハウツー、ノウハウ)」は、すぐに役に立たなくなる」と言っていましたが、
「すぐに役に立たなくなる」ことを、
細谷さんは「陳腐化する」と表現しています。
特に幼児期は「ハウツー」「ノウハウ」より、概念を感覚的に理解するほうが、
すぐに目に見えるわかりやすい「効果」は出にくいですが、
長い目でみれば一生ものの本質的な考える力が身につくと思います。