『4』の記事をまとめてて、或真敷一座の事だけ別で書こうと思ったので、語りきれなかった事をここでまとめます。
本筋に入る前に基本情報の整理。
まず或真敷(あるまじき)一座とは、『4』に登場するマジック・イリュージョンを行う魔術団のこと。
メンバーは師匠の或真敷天斎(てんさい)、弟子の或真敷ザック、或真敷バラン、天斎の一人娘・或真敷優海(ゆうみ)の4人。
ちなみにザックと優海の間に生まれた子供が『4』のヒロイン成歩堂(奈々伏)みぬき。
一時は国民的人気を誇るマジック集団だったが、10年前に練習中の事故で優海が銃で撃たれて負傷、記憶を無くしてそのまま失踪する。
実の娘を傷つけられた天斎は、その原因を作ったザックとバランをそのネタで脅迫し、半強制的に2人に興行をやらせてこき使っていた。
やがて天斎の体調が悪化すると、自分の技術や興業権をザックかバランのどちらかに譲渡するため、天斎は2人に別々に自分を殺せと命じる“テスト”を行う。
先に来たザックは結局師匠を殺せず、“合格”と見た天斎はザックを或真敷の“跡目”とする。
後から来たバランは“跡目”がザックに渡ったと知ると、一時の感情から現場に細工して(実際には自決した天斎を)ザックが殺したと疑いがかかるように仕向けた。
そうしてザックが被告人となったのが、ナルホド君が弁護士バッジを失った7年前の事件という流れ。
『4』をプレイ中にこの或真敷一座の関係性を見て、「これ桐生・錦・由美の関係と一緒やん」と、ふと思い浮かんだ訳です

勿論細かい性格は違えど、桐生=ザック、錦=バラン、由美=優海と考えると、色々ダブって見えてくる物があるし、とすれば天斎=風間の親っさんで、遥=みぬきちゃんとも置き換えられる。
天斎は娘の優海の蒸発をネタに弟子2人を脅したり「自分を殺せ」とカマかけるような男で、ザックもみぬきなど身内には優しいが他人には割と簡単に手を上げる男だし、そう考えるなら或真敷一座って本職のキタキツネ一家より余程893してる連中とも見える

そんな中で、優海をザックに取られ、“跡目”もザックに持っていかれたバランがコンプレックス拗らせてザックを殺人犯に仕立てあげようと動いた気持ちも分からなくはないし、そういうヒーローとは対極の人間臭さが錦と重なる
だから前の記事でバランが一番琴線に触れたキャラと書いた訳です。
バランって、ザックが失踪して事実上自分が跡目を手に入れた後もちゃんと真面目に魔術団やってたし、何より自分のした事に対して罪の意識を感じてるのを見るに、根はそこまで歪んだ人間じゃない(はず)
そこは身内以外には簡単に暴力を振るい、信用してない相手には隠し球を持つ疑り深さがあり、ポーカーでナルホド君に勝つ為にイカサマまでやらかすザックと比べたら大分マシに見える。
根っこの人間性はともかく、そういう「持たざる側」に立った人間が試練を乗り越えてヒーローになるか、挫けて闇に墜ちてしまうかの分かれ目で、自分が普通の人間だからこそ結果的に後者の側に回ってしまった錦やバランみたいな存在に共感してしまうのかなぁとやってて思った。
バランがどういう気持ちで天斎やザック不在後も一座を動かしてたかは語られないので想像するしかない。
マジシャンとして芸事に純粋だったのか、名誉欲に突き動かされてそれを独り占めする事に溺れてたのか?そこは分からないが、いずれにせよ2人がいなくなって7年間バランが一座を運営してきたという事実はある。
なのに一応「正統な跡目」のザックが自分の知らない所でみぬきを後継者に指名し、一方で罪を着せられたのを承知で、ザックが天斎殺害の嘘の自白書を隠し球として出して情けをかけられた事で逆に自分の立場もなくなってしまう
確かに殺人の濡れ衣を着せた事は罪ではあるが、本心はどうあれバランが一座を守ってたのは事実なのに、結局ザックに全部掻っ攫われる形になってしまう。
そんなバランがここまで罰を受けないといけないのか?、マジシャンとしての自分を失ったバランは何を糧に生きていくのか?という意味で哀愁と憐憫を誘うのも、バランに惹かれるもう1つの理由だったりします。


或真敷一座での人間関係で「持てる者」だったザックは(三角関係の一翼という一面で)桐生チャンポジションに置き換えられるけど、一方でみぬきを遥に置き換えると、1人になったみぬきを迎えたナルホド君もある意味桐生チャンポジションとも言える。
○○であるオドロキ君には見せないみぬきちゃんの孤独な一面もナルホド君は知ってる訳だし、血縁関係のない擬似的な親子関係も桐生チャンと遥のそれで、なんか似てるな~と思いながらずっとプレイしてました。
どうも『裁判6』でみぬきや或真敷一座のエピソードがもう一度あるようなので、そこまで頑張って進めたいと思います。
とりあえずこの記事で言いたかったのは、私はバランが好き!というそれだけです
