滅茶苦茶長いので1回で読み切らなくて良いです。むしろそうしないで下さい。
しばらくトップのままにしておくので余裕のある時に覗いて頂けたらと思います。
本編のネタバレを多分に含むので、クリア後の閲覧推奨です。
クリアしてから1週間以上経つけど、一応の区切りとして本編の感想をまとめておきます。
中々書く体力と時間が無かったけど、個人的に宿題として少しずつ書き足し続けてたら膨大な長文になってしまいましたスミマセン
まず総評をざっくり言うと、「制作側がやりたい事は伝わったけど細かいとこガッバガバやな」という感想
龍の本編でツッコミ所があるのは今に始まった話じゃないけど、今回は歴代でも大分強引な方だったなと。
これは発売前の海外のレビューや、私がクリアする前に色んな場所でも言われてた事だけど、「本編はガバガバだけどゲーム面は過去最高」という評価が多くて私も部分的にはそう思うけど、その意味ではかつての『龍が如く5』と全く同じ評価になったなと。
本編はツッコミ所多数、ゲーム面は質量共に過去最高、ファミ通の採点で満点と、『5』と『8』でダブってる部分が確かに多い。
じゃあ何でそうなったかを振り返りながら類推しようかと。
龍スタの過去の作品を見てて作り方が2パターンあると言う風に推測しています。
一つは名越・古田コンビの『ジャッジアイズ』『ロストジャッジメント』のように、先に描きたい社会的なテーマ(認知症、イジメ、私刑etc.)があって、そこにキャラクターを当てはめて動かしていくやり方。
もう一つは今回の横山・竹内コンビのように、このキャラクターにこういう事をさせたい、こういう画が見たいというのが先にあり、それを中心にストーリーを展開させるやり方。
これは過去の龍シリーズでも(特に『5』『6』で)そう感じる場面があり、特に横山氏の特徴なのかもしれない。
今回は春日パートで『7』の後日談的な話をやり、桐生パートで桐生チャンの「終活」をやって2つをガッチャンコしたという構成だった。
結果論だけど、今回のシナリオがどっちか一方の話だけだったらボリューム的に物足りなかったと思うし、だったら細部の描写ガバガバでもガッチャンコして満足感を割増した方が良かったのかと言われると、う~ん難しい
とは言え桐生チャンはこれまでシリーズを牽引してきた大功労者だし、春日チームは人数も多くて各自魅力的なので、味方側の見せ場をそれぞれ作るだけでも尺が一杯一杯だった。
その2つの異なる要素をガッチャンコした為に、結果的に新キャラや敵キャラが割を食って背景や魅力が薄くなって、物語の熱量が弱まったのが『8』の評価が宜しくない根本的な原因だと推測する。
その、ある意味既存キャラのシワ寄せの影響を受けた新キャラや敵キャラについて。
まず千歳
プレイ中から実はネタバレで千歳と英二はグルってのは知ってて、千歳を許せるかで賛否両論なのも知ってたけど、自分でやると千歳なりに償いをしようという意思は終盤で見られたので多少印象は変わった。
ただ、花輪とウォンが目の前で死んでるのに多々良の声で「はいど~も~」っていきなりやり出したり、その最悪の事態になるまで英二の事を黙ってたり、その理由が「親バレが嫌だから」だったり、キャラの見せ方がちょっと…。
そもそもの境遇(ガチガチの上流家庭での締め付け)や英二に脅されてた事情は分かるけど、「親バレが嫌」の為に一番、足立さん、大吾たち等々どれだけの人間が生活を奪われて、しかも花輪やウォンは死んでるのにって考えると、決して手放しで受け入れられるキャラじゃないのは確か。
結局ギリギリで英二から離れた事をポジティブに見るか、もっと早くに離れる決断をしてれば花輪たちは助かったと見るか、捉え方によって好き嫌いハッキリ分かれるキャラだと思います。
終盤やEPで責任とって穴埋めしたとは言え、「親バレが嫌」の為に多くの人々を振り回した行動はややサイコパス気味に見られてもしょうがない気がする。
尤も、歴代の重要女性キャラも、他人の迷惑や後先考えず行動する割とサイコパス気味な傾向があったのでこれもシナリオの特徴かな?
『4』の靖子とか『6』の遥みたいに。
ルックスは良いし、固有ジョブの回復技が味方デバフ解除付きで便利なのでバトルでは使ってるけどね。
そして今作のキーマン、英二。
これはもうみんなが散々言ってるけど、英二が一番を裏切った後、ラスボス戦後に急に落ちぶれてるのは何でやねん!と。
英二が一番たちを裏切っていつの間にかああなった経緯を見せないと、一番が誰でもウェルカムなキャラとは言えラストシーンに感情移入も何もないだろと。
書いてて思い出したけど、そう言えば『3』の時の浜崎もラストで急に落ちぶれてて桐生チャンを刺しに来たよなぁと。
それはともかく、先述の「シナリオガッチャンコ」のせいで一番重要なキャラの英二でさえも描写不足で、ラストシーンの演出(椎名林檎のMVのオマージュ)だけでお茶を濁したのは、ストーリーの評価が宜しくない最大の原因だと思います。
やっぱり味方側だけでなく敵側や脇役にもそれぞれ自分の信念や尺度があってこそ「龍が如く」という人間ドラマだと思うし、そこは一番おざなりにしてはいけない部分だと思う。
龍が如くで面白かった時(『1』『2』『0』『7』)はそれがあって話に熱量が生まれて引き込まれた。
逆にその辺が微妙だった時(『3』『4』の一部、『5』、『6』の一部)は敵側や関係者でも何したいのか分からん奴がいて(峯、3の浜崎、新井、森永、相沢、馬場ちゃん、6の遥etc.)話に入り込めなかったので、その辺りと作品から受ける面白さはやはり無関係じゃないと思う。
直近の『7外伝』でも芯の通った獅子堂や鶴野、花輪、赤目、大道寺の面々を見てきたからこそ、余計に『8』は主人公サイドと敵キャラとの関わりやぶつかり方が英二のみならず総合的に薄っぺらく感じた。
作品のボリュームと満足度は必ずしも比例しないという点で、『7外伝』と『8』は比較対象として興味深い2作品だと思う。
他に「あれはどうなったん?」と思うポイントを思い付く限り。
・ 佐々木、序盤あれだけ尺割いたのにどこ行った?
・桐生チャン、なんでいきなり核廃棄物処理場で働いてるわけ?
本編でも廃棄物の話なので、そのための取って付けた設定にしか見えないんだけど、しかも桐生チャンがガンになった遠因「かもしれない」って、これまた取って付けたような公式ミスリードに都合よく使われてるような
というか、いくら何でも大道寺は桐生チャンに自由にさせすぎでしょ。
もうちょっとしっかり首輪付けとけよ
・桐生チャンの知り合い(一番)の知り合い&人手不足ってだけでエイちゃんをあっさり内部まで入れてしまう花輪と大道寺のガバガバ具合
ギリギリまでエイちゃんの正体知らせなかった千歳も悪いけど、花輪が死んだのはこの組織としてのセキュリティの無さが最大の原因でしょ
大道寺ってそもそも影の組織じゃないの?
浄龍の事といい組織管理ガバガバすぎw
ここは『7外伝』が龍8開発途中で作られたからしょうがないのかもしれんが。
花輪が死んでから別のエージェントがエイちゃんの正体を言いにくるけど、それもっと早く調べとけよ
尤も、腹に一発食らった程度で花輪が死んでるとも思えないけどね、サバイバーのマスターとかが出て来る世界なら尚更。
どうせ花輪も今後どっかのバーの謎のマスターとして出て来るんでしょ、知らんけど。
・高部、獄中で刺されたってお知らせ以降それっきり続報なし、物語にも関係なし
→この情報には何の意味が?
・トラックの運転手、あんな狭い小屋で外から盗撮してたら明らかにバレるやろ!
・沢城、 内部から海老名を調べるとか言っといてボコられてそれっきり
→桐生チャンだけじゃなく沢城もドクターヘリで連れてってやれよ
思い出せるだけでもこんだけあるけど、まぁでも一番可哀想なのはやっぱウォンだよな
タトゥー屋のおばちゃんや山井の所の熟女ホステスよりキャラ薄いボスキャラの存在意義とは?
発売前は「バラクーダ!? ガンジョー!?すげぇどんなヤバい奴らや!」と思ってたら、両方ともパレカナにキン○マ握られてるだけの使い捨てボスキャラでした~という肩透かし
海外の反応見てると、ドワイトはドワイトで
「(英語版キャストの)ダニー・トレホは良かった…それだけw」
「ウォンより出番はマシw」
みたいな感じで、外国の人も皆感想一緒なんだな~と。
まぁ味方側+山井周辺の見せ場作りだけで手一杯の状況で、新キャラ組はキーマンの英二でさえもアレで持て余してるのに、使い捨てボスのウォンなんかに割く尺なんてないよな。
その意味でウォンは、ガッチャンコシナリオの煽りを最も受けた一番の象徴的なキャラだろうし、やっぱり話を回すのに適切な人数、シナリオの交通整理は大事だなと思わせられるキャラです。
先にネガティブな部分を挙げたけど、とは言え個人的に部分部分では制作側が見せたかったものは概ね伝わったと思っています。
春日パートは一番と茜さんの浜辺のシーンだけでお釣り来るし、前作の後日談ってのを考えれば、一番とさっちゃんの恋愛パートも前作からの流れで制作側がやりたいと思うのは不自然じゃない。
でもあまりに長すぎる序盤のデートパートも、その後の難波・足立のポリコレ説教も、はっきり言ってあそこでやるべき事じゃなかったという意見は終わってからも変わらない。
あそこで尺割くなら、エイちゃんの落ちぶれた経緯、ウォン父さんの親子話、海老名とエイちゃんの関係とかもうちょっと深掘りしてやれよ
今回のさっちゃんのキャラは賛否あると思うけど(特にメッセージ1年無視は)、絆ドラマやった後だと、個人的には自分がさっちゃんでも同じ対応するかなと思った。
さっちゃんみたいに自分で稼げる女に「俺が食わせてやる!」なんて言う方がそもそも間違ってる、一番も絆ドラマのコンサルも。
千歳の賛否はともかく、トミーはジェネリック難波的なキャラだけど加入後は良いあんちゃん的ポジションだったし、足立さんは相変わらずおとぼけおじさんで安心感あった。
でも総合的に春日チームよりも、前作に因縁のあるメンバー(難波、ソンヒ、さっちゃん、趙)の揃った桐生チームの方が動かしてて楽しかったし、「・・・エモいぜ。」と思う事の方が多かったかな。
特にソンヒはバトル中も、
「脇が甘いなァァァ!!!」からの
「頑固な汚れを🎵ソラソラソラ!綺麗ッさっぱり!」
こういうギャップが多くて楽しすぎる
頑固汚れ落とし、冷気属性で敵のバフ消し効果もあって女性キャラの必須継承技で便利
それは置いといて、
さっちゃん=春日シリーズのヒロイン
千歳=『8』本編のヒロイン
とするなら、ソンヒは「ゲーム面での『8』のヒロイン」 と言えるかなというぐらい使ってて全然飽きないし、いちいち面白すぎる文句なしに今作のMVP、さすがコミジュルの女王
あと一番大事な桐生チャンね
思えば桐生チャンは、『1』で「極道の未来を託せる男を」という事で“世良のたいやき”さんと風間から四代目に指名されたんだった。
いみじくも大解散後の「極道の未来」がテーマの一つだった『8』で、桐生チャンが四代目即日引退を反省して自分から海老名と向き合い、一番に「極道の未来」のバトンを託した事は、初代からのテーマの一貫性があって「桐生一馬サーガ」の締めくくりとしては相応しい終わり方だったと思う。
正直、『1』の時点で四代目の使命より由美の忘れ形見の遥との生活を選ぶのは当然の選択(でないと伊達さんの「かけがえのねぇものを守り続けろ」という言葉が活きない。)
今回の海老名個人の件も200%荒川の親っさんが悪いけど、それでも無関係の海老名に「俺が謝るから…!」したのは、余命わずかの人間がせめて最後に責任を果たしたいという使命感と、それによってメッセージに重みを持たせる事の表れと考えると、『8』の時点の桐生チャンにしか出来ないケジメの付け方だった。
海老名と荒川の繋がりを考えれば、ラスボスの担当は桐生チャンと一番で逆にすればという意見も見かけたけど、それこそパレカナ狂信者並に荒川の事を信奉してる一番だと、荒川の解釈で水掛け論になって噛み合わないだろうから、あそこは桐生チャンで良かったと思う。
「極道のあり方を憎む象徴」の海老名と、その「極道そのものの象徴」でもある桐生チャンとの対比の方が物語的には重要なのであって。
ただその「極道を憎む象徴」の割にガッツリ背中に立派な模様背負ってる海老名はどうなん?
『6』の染谷みたいに「俺は刺青入れませんよ」って自分のスタンスをハッキリ示すキャラの方が描き方として筋が通ってると思うけど…。
こういう所で無理に「お約束」に縛られて海老名はブレのあるキャラになったと思う。
それにしても海老名のハセヒロ氏、龍が如くらしからぬ演技力で芝居のレベルが他の人よりも2段階ぐらい上で、良い意味で浮いてたな
他の人が下手って訳じゃないけど、バトル中のボイスであそこまでに気合い入ってる人は歴代で初めてでは?
エイちゃんの人も正体バレ後はやっぱ上手いなと思ったけど。
海老名も結局桐生チャンが倒れたドサクサで結末が有耶無耶になって、これもガッチャンコシナリオの煽りを受けたなと、ラスボスなのに。
と、本編は制作側が見せたい部分は概ね上手くいったけど、その周りの部分の描き方にムラがあるのは否定できないので、もうちょっと細部を丁寧に見せてれば評価もガラっと違ったのでは?というのが全体的な印象です。
いずれ何かの形で補完されればいいけど。
『8外伝』とか。