中国医学(東洋医学)では、脳は腎(腎臓ではなく、腎臓を含む腎という系統のこと)に属しており、「腎為先天之本」であるから、脳病の治療は腎を補う(補腎)のが基本である。脳の髄海は、『頭者精明之府』や『脳為元神之府』と相通じる。だから、認知症の施術要領は、「補腎・安神・活血・健脾」という八つの文字で総括できる。
以下の4つの症状に 分けられる。
『肝陽上亢型』 →焦燥で怒りやすい、めまい、健忘など。一般的に 高血圧の病歴があり、発病は速い! 『平肝潜陽法』で治療する。熟地黄、枸杞子、菊花、山茱萸、山薬、益母草、川牛膝、杜仲、益母草、桑寄生、夜交藤、茯神などを利用する。
『思慮傷脾型』 →精神的な疲労、食欲ない、動悸がする、痩せる傾向、健忘不眠など。『補養心脾法』で治療する。白術、茯苓、黄芪、竜眼肉、酸棗仁、遠志、大棗、生姜、党参などを利用する。
『腎精虧虚型』 →反応鈍い、記憶力減退、だるい、腰は弱いなど。『益精補腎法』で治療する。紫河車、生地黄、熟地黄、杜仲、天冬、麦冬、亀板、黄柏、茯苓、牛膝などを利用する。
『痰湿蒙閉型』 →ぼんやり、表情なし、反応鈍い、記憶力減退、言語なし、太る傾向など。『豁痰開竅法』で治療する。半夏、橘紅、茯苓、胆南星、枳実などを利用する。