【4】ビンタ事件。(上) | 姫妻にいな-新那-✴︎ゆるジョワ革命✴︎

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お姫様になることを誓った主婦・にいなの
人生✴︎劇的リフォームdays

中学二年、夏休みのムードも薄れ
皆が学校生活のペースを
取り戻しつつある頃


意識に浮上する「彼」について
考え巡らせることよりも

重大な問題に追い詰められていた。



クラス・部活での交友関係。


無邪気なケアレスミスだった。


ある日の放課後、部活仲間たちと
少し派手な男子とで
空き教室の隅で盛り上がっていた。

話題は私たち女子テニス部員の
ある同級生について。
その子はきつい天然パーマと
地黒肌で軽くいじめられていた。

その子の好きな人は誰か。


私たち女子部員は全員
噂でその相手を知っていたが
男子にそれが伝わったら最後、
その子の恋は全学年に知れ渡ってしまう。


好き勝手に憶測し
冷やかしをもくろみ
相手の名前を聞き出そうとする男子たちに

女の子たちは最後まで口を割らなかった。
いつもその子を仲間はずれにするメンバーも
その女心だけは守ろうとした。


私はその輪にいながら
色めいた駆け引きに
なんとも言えないもどかしさと
スリルでうずいていた。


大人びた女子の結束に
男子たちも諦めかけたとき



私はやってしまった。


その男の子の名前–アンサーを
ポロリとこぼしてしまったのだ。



はっと気づくと

男子たちは狙った獲物を
しとめたかのように沸き立ち
どこかたくらみに向かい
軽快にその場から走り去っていった。


部活仲間たちから
軽蔑の眼差しが突き刺さる。


「あーあ」と誰かがつぶやいたのを合図に
ぞろぞろと部室へ動いた。

みんないつもより
私から離れて歩いた。



普段交流のない
目立つ男の子たちとのおしゃべり
非日常感に浮かれて開いた口で


自分のやってしまったこと。


人の恋を想いを
おもちゃにしてしまうこと。
台無しにしてしまうこと。


恋の切なさ、苦しさ、重たさを
まだ知らなかったから
気づきはじめたばかりで
未熟な未熟な女心だったから


女の子たちとのこれからも
その子の恋も
先のことなんて
考えようとさえせずに

幼さのはずみで犯した罪。



間抜けな自分への後悔と同時に

友だち だったはずの部活仲間たちに
日増しに避けられ無視をされ
その余波はクラスにも広がり…


孤独なさみしい二学期が始まった。