忘れないよ(7) | 完ぺきなママより幸せなママでありたいあなたへ

完ぺきなママより幸せなママでありたいあなたへ

宮城県多賀城市で、子育て中のママへ心理セラピーと心理学講座を開講しているリバティライフです。子育てや生きづらさの悩みを改善する心理セラピー、人生を楽に楽しく変化できる各種心理学講座、対人恐怖解消セラピー、高度ヒーリングセッションなどをご提供しています
 

その後の一年くらいは、


何を食べ、


どんなふうに生活していたのか、


まったく思い出せない。


ただ、


外に出るのも嫌だった。


人と会うのも嫌だった。







私は、笑ったり楽しんだりしてはいけないと思っていた。


あの子が生きていかれなかったのに、せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのかもしれない。



それでもノンにはなるべく涙を見せないように、気を張っていたつもりだった。





三ヶ月くらい過ぎたあたりだろうか。



毎日上の空だった私に、


ノンがポツリと言った。



『ママ……』


『………ん?』


『赤ちゃん、絶対ママのところに戻ってくるからね。』



ノンは子供ながらに、母の様子を敏感に感じとり、


どうすれば元気になるのかと、


必死に考えて、出てきた言葉なのだろう。



『……あ、赤ちゃん、戻ってくるかなぁ…?』


『うん!絶対!』



私はたまらなくなり、ノンを抱きしめてワンワン泣いた。


ノンに申し訳ないと思った。


ノンがいてくれたのに、


ごめんね………


ママ、早く元気にならなきゃね………





そんなことがあってから、


私はなるべく友人にも会うことにした。


電話でしゃべったりしていると、少しずつ気が紛れていく。





ある日、


電話を取ると友人が、受話器の向こうでおもむろに話しだした。



友『あっ、ごめん!誰か遊びに来てた?あとでかけ直したほうがいい?』



私『………へ?なんで?』



友『だって男の子がノンちゃんと一緒に歌を歌ってる声が聞こえたから……お客さん来てたんでしょ?』





その時、お客さんなんて誰も来ちゃいなかった。


ノンが一人で、


私の足元で軽快に歌を歌っていただけだ。


そうか……


いるんだ。



不思議と恐怖心はなく、むしろほっこりとした。


ノンと遊びたかったのかな……


あの子の魂はそばにいる。


不思議だったが、なんとなくは感じていた。


友人も、


あの時は何故か、なんの疑いもなく「男の子だ。」と思ったそうだ。


子供の声なんて、男の子も女の子もあまり違いないのに、自分でも不思議だという。


そんなことが、何回かあった。


夫も私も、子供の足音を何回か聞いた。


やはり何故か、「子供」だと感じる。


そして一番不思議だったのは、


台所に置いてある、うがい用のコップ。


これはいつも指定の場所にあり、別の所に置くのはありえないことなのだが、


赤ちゃんが産まれてくるはずだった、「予定日」の朝、


私が起きると、このコップが、別の場所に移動していた。


あとから起きてきた夫は、夕べちゃんといつも通り置いたというし、ノンは届かない。


私は、あの子がコップを使ったのだと確信し、


そのコップは大事にとっておくことにした。


あの子が、


確かにこの世に存在した、


という証がほしかった。










純粋な子供の魂は、


きっと一緒に遊んだり、


一緒に食べたり、


一緒に寝たりしているうちに、


満足したら、


お空に帰るのだろう。









たくさん遊んで、



満足したら、お空の神様にお願いしようね。



生まれ変わったら、



今度こそ、



長生きさせてくださいって。


それが、



今のママにできる唯一のことだから、



ママも一生懸命、



お願いするよ。








あなたの小さな手のひら、



ノンにそっくりな鼻も、口も、



可愛いあんよも、



守ってあげられなくて、ごめんね。






色んなことを教えてくれて、ありがとう。



ママのお腹に来てくれて、ありがとう。



六ヶ月というわずかな間でも、



あなたと一緒に過ごせて、



ママはすごく、



幸せでした。











最後に、





最初で最後の約束をするね。





ママは、





あなたと会えたことを、





ずっと、






ずっと、











忘れないよ。