小学校一年生くらいの時、

外で遊んでいると

真っ黒な野良犬がいた。

何かしら食べ物を持っていき

クロに与えたり、遊んだりしていた。

ある日、いつものように

遊びに行くと

人だかりが・・・。

何だろうと人垣の間から

見ると、クロが保健所の車に

乗せられようとしていた。

クロは抵抗していた

あまりの抵抗に

口から泡を出していた。

貧乏生活で犬なんて飼うことなんて

とてもできない時代だった。

私は、大きな声で

クロ!クロ!

と叫んだら

クロは分かり、

もっと抵抗した。

見ていられなかった。

今でも、クロを思い出す。

クロともっと遊びたかったし

助けたかった。

遠い、忘れられない

辛い記憶。

クロは賢い犬

そして

私の友達だった。

若い時、よくテレビドラマなどで

回想シーンを見ても、

人生を走りつつ、

夢も、希望も、連続ドラマのように

続きのある生活の中では、

回想することは少なかった。

 こうして年齢を重ねると

いろいろなことを思い出す

クロのこともそう

野良猫のミーちゃんは

人柄じゃなくて 

猫柄に心魅かれたから

家の子として暮らしてもらった。

昔、やはり私が

拾ってきた猫がいた。

その猫が子猫を産んだ。

可愛いので時々覗き見していたら

何処かに運んで隠した。

隣の大家さんの

押し入れに運んだらしく

猫が嫌いな家で

裏の池に三ぴきの子猫を

投げ入れてしまった。
母に「子猫が産まれても、あまり

見てはいけないよ」と言われた。

次に生れた猫は

何所で生んだのか一匹だけ

連れてきた。

親子で仲良く塀の上で

日向ぼっこをしていた。

親猫は、外で私が遊んでいると

結構遠くまで来るのか

見かけたので

大きな声で呼ぶのだが

何時も逃げる。

本当に用心深い猫だったが

今思うと、私が遊んでいるところに

現れたような気もする。

引っ越すことになり

車に乗る時、親猫が出かけているのか

居なかったので

子猫の方だけ連れて行くと

父は言う。

私は帰るのを待ちたかったが

父はもう出るという。

車に揺られながら

親猫が帰ってきて異変に

気がついた時を

思うと胸が痛んだ。

引越し先で子猫は

親猫を探し、しばらくは泣き通しだった。

近所に迷惑と思ったのか

引越し先の長屋では

生き物は歓迎されなかったのか

其処はよくわからない。

父は私が学校に行っている間に

捨てに行った。

確か一週間くらいしてからか

泥だらけで戻ってきた。

ここまでして帰ってきたので

飼ってくれるのかと思いきや

父は外が見えないように

箱に入れて再び

自転車で遠くに捨てに行った。

捨てられてしまった猫

救うことが叶わなかったクロを思い

ミーちゃんは、今度こそ

この子だけは最後までという

想いのもとに家に迎え入れた。

生きしもの

この世で

安心に包まれた生活を望めず

愛されない環境に生まれてしまう。

そういう出会いから

人間は生きることの厳しさを

学ぶというのだろうか。

後悔と、不憫さの

中から、ある意味向上心を

もつことを悟れと言うのだろうか。

人は言い訳もする。

嘘の多い人もいる。

動物は縄張りを荒されれば

喧嘩もするけれど

生きる姿勢が

謙虚だから

 可愛く

また 愛しい。