2018年の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読し、大きな反響を巻き起こした当時中学生の相良倫子さん(現在高校1年生)だ。
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相良さんの「平和の詩」では、沖縄の豊かな自然とそのなかで実感する生きることの素晴らしさを伝えたあと、その地で繰り広げられた壮絶な沖縄戦で命を奪われた人びとに心を寄せ、平和に対する決意をこう述べた。
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〈みんな、生きていたのだ。私と何も変わらない、懸命に生きる命だったのだ。彼らの人生を、それぞれの未来を。疑うことなく、思い描いてて。もう二度と過去を未来にしないこと。全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。生きる事、命を大切にできることを、誰からも侵されない世界を創ること。平和を創造する努力を、厭わないことを。〉
その相良さんが今回、「即位礼正殿の儀」に招待された──。この事実がもつ意味はとても大きい。
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沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読した相良さんの招待は天皇サイドの希望か
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そもそも、相良さんの朗読に対しては、ネトウヨが「大人にやらされている」などとバッシングを展開しており、沖縄を蔑ろにしつづける安倍首相や官邸が、沖縄県民が希求する平和への願いを代弁した相良さんを招待するとは到底考えられない。
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「相良さんについては、天皇陛下サイドの希望と考えて間違いないでしょう。
サーロー節子さんは、広島県生まれで13歳のときに被爆。戦後、留学を経て結婚、カナダへ移住し、平和活動に積極的に参加し、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の「顔」としてこれまで長年にわたって核兵器の恐ろしさを伝える活動をつづけてきた。
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そして、2017年には被爆者としてはじめてノーベル賞の授賞式で、世界に向けてスピーチをおこなった人物だ。
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しかし、ICANやサーロー節子さんが訴えてきた核兵器禁止条約に署名・批准しようとしない安倍首相は、ICANのノーベル平和賞受賞およびサーロー節子さんの授賞式スピーチをあからさまに無視。
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今年も吉野彰氏のノーベル化学賞受賞が発表されるやいなや電話をかけ「おめでとう。日本人として誇りに思う」と祝福し、ICANが受賞した年もカズオ・イシグロ氏の文学賞受賞にお祝いコメントを出していたが、ICANとサーロー節子さんには一切の祝福メッセージを出さなかったのだ。
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その上、昨年12月にサーロー節子さんは来日したが、その際も安倍首相との面会はかなわなかった。
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これについて、サーロー節子さんは「自分と違う意見を持つ人に会って語り続けるのが本当のリーダーシップではないか」と会見で述べている。
サーロー節子さんを招待したのも天皇陛下サイドのご希望であったろうと記されている。