道成寺で思ったより時間をとっちゃいました。
先を急ぎましょう。
御坊インターから再び阪和自動車道に入り南部インターまで。
車で約30分、目指すは南部梅林です。
こちらが梅林の散策MAP。
2月の終盤ということで時期的には少し遅かったみたい。
おかげで駐車場もガラガラでした。
とりあえず一番近い駐車場へ。
梅林は山の中腹にある斜面に広がっているので、歩いて上っていかなければなりません。
梅林の入り口にある案内板。
その前には「みかへりや」という食堂をかねたお土産物屋さんが。
この屋号はここから梅林に向かって上っていく「みかへり坂」にちなんで付けられたもの。
その脇には由来を記した立て札がありました。
それによると、この石碑の文字は紀州徳川家15代当主の徳川頼倫が揮毫したのだそうです。
明治時代になって、梅林への道を整備した記念式典に招かれた頼倫は中腹からの景観をいたく気にいり、この文字を書にしたためました。
当時の区長はすぐさまこの書を石碑に刻み、梅林へと続く坂道は「みかへり坂」と呼ばれるようにまりましたとさ。
坂を少し上ると大きなゲートが。
これが入場門のようですね。
坂のあちこちには万葉集の和歌が書かれたプレートが掲げられていました。
万葉集には桜よりも梅の花を詠んだ句が圧倒的に多いそうです。
梅の町にふさわしいということで、梅を題材とした38首を選び掲示しました。
令和の由来にもなった句もあったのだそうですが、僕は気づかなかったなあ。
なにせこの時はまだ足が痛かったものですから、坂を上るのが辛くて辛くてそれどころではなかったのです。
小さな梅の花。
そして菜の花。
道端に咲く花々を愛でながら坂道を登っていくとありました、ありました。
ゲートには「世界農業遺産 みなべ・田辺の梅システム」と書かれています。
ここが観光協会の事務所。
ここで入園料を支払います。
今年は開花の時期が早かったので、もうほとんど散ってしまっているのですけれど…
受付の方は少し申し訳なさそう。
そして入場証代わりの梅干をいただきました。
確かに、梅林の梅はほとんどが散ってしまっていますね。
梅の木の下には、実を傷付けずに収穫するための青いネットも用意されています。
このネットを使った収穫方法も「梅システム」の一つなんですよ。
この世界農業遺産にも認定された「梅システム」って、いったい何なのでしょう。
広い耕作面積があって、品質のいい梅がたくさん取れるっていうだけではないみたい。
下の絵はみなべ町と田辺市が製作した世界農業遺産のHPよりお借りしたものです。
これも紀州の名産である備長炭の生産と山を守るために製炭材の森を維持・管理し、決して山全体を梅林にはしません。
梅の受粉には二ホンミツバチを使い、その産物である蜂蜜も梅の加工に利用する。
このように梅農家だけではなく、製炭業や養蜂業といった様々な産業が一体となって江戸時代から400年以上もの間、地域の生態系を維持してきたことが評価されたそうです。
まさにサステナブルなシステムだということですね。