阪和道をそのまま南に向かいます。

12月18日に湯浅御坊道路区間が4車線(片道2車線)化されたので快適に走ることができるようになりました。
僕たちは今回、すぐ先の広川ICで降りましたが、白浜方面に向かう場合でも混雑はかなり解消されるのではないかと思います。
次に来るときが楽しみですね。

ICを降りると、あとはひたすら海に向かって走りましょう。
海岸線を通る県道24号線に入り、大引漁港を過ぎると見えてきました。



石灰岩の海岸線が続く白崎海岸です。
次の目的地はもう少し先にある道の駅、白崎海洋公園。



こちらがその入り口です。



実はこの白崎海岸、かなり数奇な運命をたどっているところなんですよ。

古くは万葉集にも歌われたという景勝地。
明治になってからはセメント用石灰岩の採掘地として日本の近代化にも貢献しました。

第二次大戦中には行動を利用した軍事基地にもなり、昭和20年にはこの白崎海洋公園が人間魚雷「回天」の特攻基地になったことも。
幸い回天の配備が遅れたため、実際にここから特攻に出撃したことはなかったそうですが、今も入り口横にはその跡地が残されています。





こちらは駐車場の岩肌に空いた大きな穴。



これが軍事施設跡なのかもしれませんね。

戦後も採掘は続けられていたようですが、1970年代に閉山となってからはダイビングなどのマリンスポーツやキャンプ、星空観賞のスポットとして整備が続けられ、2009年には道の駅として登録されました。

2018年の4月には指定管理制度を導入し、ダイビングスクールなどを展開する「マレア・クリエイト」を管理者としてさらなる発展を目指すことになった矢先のことでした。
 

近畿地方に甚大な被害をもたらした同年9月の台風21号によって施設が壊滅的な損害を被ってしまったのです。

マレアは管理者を撤退し、事業母体である由良町も修復費用が膨大になることから全面復旧を断面するという事態となり、ここをマリンスポーツの拠点とする計画は頓挫してしまいました。

それでも翌年には比較的被害の少なかった管理棟パークセンターで道の駅が再開。


現在では一般財団法人「紀州の環」が道の駅とキャンピングサイトを運営しているそうです。

実は2年前の白浜旅行の時にもここに立ち寄っています。
道の駅が再開された少し後くらい。

少し前から星景の撮影場所として目をつけていたのですが、訪れる機会がないままこういう事態になってしまいました。
道の駅だけでも再開されたという話を聞き、状況を確かめに立寄ることにしたのです。

その時は台風で吹き飛ばされた構造物がそのまま放置されているといった状態でした。
恐ろしさすら感じたものです。

今回は営業中のキャンピングサイトには入ることができませんでしたが、被害の大きかった施設の様子も見てきました。



大きな瓦礫などは撤去されたようですが、クラブハウス正面の窓ガラスも割れたまま放置されています。
隣の建屋の屋根は吹き飛ばされたままの状態。



裏手に回ると、こちらはダイビングプールのあった建物ですね。



その横の建屋の屋根には壊れた設備がそのまま残されているようです。



やはり修繕や復旧作業は全く行われていない様子でした。
このまま朽ち果てるまで放置されていくのでしょうか。

他ではあまり見ることのできない自然の景観。
産業遺産でもあり、なおかつ軍事遺産でもあったという特殊な歴史環境。
こんなところはそんなに多くはありません。
今後の発展を祈るばかりです。