たしか あれは、

私がまだ小学生だった頃・・・。


大好きなアニメが始まる時間になると、

決まって 父から電話が入る。


バス停から家路に着くまでの長い道のりの途中にある

銭湯に寄る為に、「風呂道具を持って来い」との要求だ。


渋々了解することもあったが、

大抵は、拒否することが多かったんだ。




今、この歳になって気が付くことが ある。


今、この歳になって思い出すことが ある。




あんなに大切に想われていた記憶。


今になって

応えられなかった自分を腹立たしく思う。




今日の父は、

窓の外の竹林を じーっと見つめていた。


祖母が危篤との連絡を受けてから、

父は、あーして 自室にいる殆んどを、外を眺めて過ごしている。


その目に見えているのは、

外の景色なのか そうではないのか・・・。



呻く声は、私の空耳なのか・・・。