その高齢の患者さんの娘は、

今までも その母親を家で介護していた。


今回の治療で 病状が安定してきたため、

その高齢の母親に、退院の目処がたってきた。




入院前とは患者さんの状況に

かなりの変化がみられた。


もともと介護認定を受けていた母親は、

各種サービスを受けながら自宅で過ごしていた。


それでも手を添える程度の介護で、

今までは娘の負担になることも少なかっただろう。


それが現在は、

認知症も進み、娘のことも認識できない。


寝たきりの状態になり、

日常生活全部に全介助が必要となった。



そんな状況でも娘は、

家に連れて帰りたい気持ちに変化はなく、

退院に向けて前向きでいた。



でも・・・やっぱり不安は隠せない。


「私に務まるだろうか・・・。」

「やり方がわからない。」

「どうしたらいいのか・・・。」



そんな娘に声をかけてみた。

「一緒に練習しましょう」と。


オムツ交換の仕方。

車椅子への移動の仕方。

その他諸々、介護に必要なことを

「入院している間に病院の中で練習しましょう」と。




そんな中で、娘が言った

「他の人たちは、みんなどうしているのですか?」


こんなにも大変な事を、

家族でやっていけるのか不安があると話された。



あたしは即答した。

「きっとそれは・・・、気持ち次第」



やる気があってもどうにもならないこともある。

それは重々承知してる。


金銭的なことも 時間的なことも

介護する側の体力・精神力・技術力・・・。

問題は いっぱいあって当然。



けど・・・、

大抵の場合、気持ちがあれば乗り越えられることが多い。



もっと言えば、

余命いくばくもない状態で 看取りが必要な患者さんであっても、

家族の協力で お家に帰る人もいる。


かと言えば、

介護がほとんど必要でない患者さんでも、

高齢で足腰が弱いからという理由で施設入所になる人もいる。




あなたが家で母親と一緒にいたいかどうか。

あなたの母親を 家で介護する気持ちがあるかどうか。


たぶん自ずと答えは出てくる。


それは、あなた自身が答えを知っているはずだから。



全部をひとりで背負い込むことはない。

あなたが一緒に暮らしている家族もみんな 巻き込むべき。


ほら、あなたの子ども達みんな おばあちゃん子だから。



あなたと母親 あなたの家族みんなの

笑顔がなくならないためにクローバー