ずっと ずーっと、昔の おはなし。



その子のヒーローは、アンパンマンアンパンマン


だからいつも 

痛い検査や 嫌な処置をする時は、

アンパンマンを握り締め、見守ってもらっていた。




小児科に入院する子ども達の中でも、

慢性的に症状が続いていたり、

病状が深刻だったり、

進行性の疾患だったり、

闘病生活を長く送る子ども達は、

段々と病院に慣れてくる。


病室が、

ご飯を食べるテーブルであり、

勉強をする机であり、

自分の寝室であり・・・。

憩いの場所になる。


慣れてきた子ども達は、そういうことを理解している。



そんな小児科病棟での おはなし。





たいていの場合、

入院生活を送る病室では、

嫌な想いはさせないようにしているの。


病室は、

入院している子ども達が昼も夜も生活する場所。

安心して寝ていられる場所なんだもの。


だから、

治療のために必要な検査や処置は、

処置室で行なうことになる。




酸素テントの中で寝てる その子は、

酸素を外すことができない。


酸素マスクをしながら処置室に入る。



泣いちゃダメ。



その子はね、充分わかっているの。


泣けば泣くだけ、

身体の酸素が薄くなり、息苦しくもなる。



だから・・・。


すっごく痛いけど、泣かないの。


アンパンマンを握り締め、我慢する。



痛いことわかっていても、

病気に勝つため戦っているの。


アンパンマンと一緒に・・・。



そして、頑張った その子を

病室いっぱいのアンパンマン達が迎えてくれる。






・・・。

また言ってる。


「悪いことしていると、かんごふさんに注射してもらうよ!」



面会者の心無い一言で、いつも思い返す。

小児科病棟での勤務時代。



アンパンマンと一緒に戦っていた あの子も

面会に連れてきた あなたの子も、

悪いことをしたからって 注射はしないのよ。




あなたにも あなたの子にも教えてあげたい。


悪者の病気と戦っている 子ども達のことを・・・花