この仕事に携わり接した患者サン。

今でも忘れられない方が数名いる。


その人は癌の末期状態で

約1ヶ月おきに抗癌剤治療を受けるため

数日間の入院を繰り返していた。

妻には先立たれ、近くに嫁いだ娘はいるが、

悠々自適一人暮らしのご老人。

地位も権力もあり、講演だ会合だと飛び回り、

いつも忙しくスケジュール帳は予定でうまっていた。

病院を嫌い、お酒もやめず、好きなものを食べ・・・。

その病室には、大好きな飲み屋のママがよく面会に見えていた。


あたしのことをとても気に入ってくれて、

何かっていうと、ご指名が入った。

「退院したら、ごちそうしたい。」と何度もお誘いを受け、

その都度断っていた。

が、

どうにも断りきれず、うまく話しに乗せられて、

同僚とわが子♀を連れ、しゃぶしゃぶをいいただいたりもした。

「今度はカラオケに行こう。」と言い、

予定をたてる間もなく、

その人は、衰弱しきって病院に運ばれ、

間もなく人生の幕を閉じた。


一人の患者として見ると、

誰もが頑固な患者サンという見方をしていたその方は、

最後の最期まで、好きなように生き、

豪快に笑い・怒り・・・。

うらやましいくらいに素敵な生き方だった。