FM放送局「ライブリーFM」で、毎週日曜日に放送されている1時間のラジオ番組「ドクター富士の四方山話」。毎月最後の週は「文芸投稿」の特集になっています。俳句、川柳、短歌、詩、エッセイなどを、リスナーが投稿します。

 

今回で120回目の投稿になりました。私は最初の投稿以来、毎月投稿していましたから、今回はちょうど投稿を始めて10年目ということになります。私の駄文を採用してくれるMCのドクター富士さま、須藤和代さまに感謝いたします。また、その駄文にクレームをつけずに聞いてくださるリスナーの皆様にも感謝です。

 

6月のテーマは「柿の花」でした。

私は400字以内の小説「たんたん小説」というジャンルに応募しました。

なお、たんたん小説としては44回目です。

 

テーマ:柿の花

ジャンル:たんたん小説

タイトル:そんな君だから

 

 

柿は、日本が原産とされる、わが国を代表する果物である。万葉歌人・柿本人麻呂も、庭の柿の木がその名の由来だという。砂糖が普及する以前、この国では柿の実が甘みの基本だった。秋の夕焼け空によく似合う柿の実は、日本人の心の故郷だ。

 

そんな柿の実に比べ、初夏に人知れず咲く小さな柿の花は、地味な存在である。いつ咲こうがいつ散ろうが、誰も関心を示さない。しかし、花があるから、実はなるのだ。日本を代表する果物の花なのに、こんな仕打ちがあって良いものか。

 

Kには、片思いの少女がいた。同級生で目立たぬ存在。皆が嫌がることも、彼女がやる。そんな姿が愛おしかった。

 

思い切って恋文を書いた。今まで黙って彼女を見つめていたこと、尊敬していることを明かし、

 

「そんな、柿の花のような君だから、好きなんだ」

 

と、告白した。

 

翌日、担任の先生がKの保護者を呼び出し、「彼はストーカーです」と言って、対処を求めた。

 

Kの中で、柿の花が散った。

 

ピッタリ400文字です。

ちなみに私は、親が担任から呼び出されるような悪さをした事のない小心者です。ストーカーも、ストーカーまがいのことも、やった記憶はありません。

本当です。どうか、信じてください。

 

この投稿をMCのお二人にメールした直後、須藤和代さまから

「だったらK君は、どうすればよかったのでしょうね?」

という返信をいただきました。私は、

「私に恋の指南など、できるはずもありませんが、まあ、相手を花に例えるのだったら、柿の花ではなく、もう少し、相手の喜びそうな花にすべきだったと思います。そうすれば彼女も、担任に相談してやれ!とまでは思わなかったかもしれません(笑)」とお返事しました。

 

放送は、こちらで視聴できます。

https://drive.google.com/file/d/155lCOdqTuJydMUnre2wiWOIWLq667d5D/view?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTAAAR2I1SUnzVMvKSwLLdZrsRLIsP2zKdk-ebx0maG3z4ez8dQwsmr_o55Gy1Y_aem_gbLn2AA5Ca6scrmD60lBhw

 

次回のテーマは「キャッチボール」です。

締切:7月23日

放送日:7月28日

宛先:dr-fuji@ymail.ne.jp

ぜひ、皆さんもご投稿ください!