先月、朝から本降りの雨の日。夜、父は以前から気になっていたという、近所の居酒屋「鳥八」を初訪問しました。

 

チェーン店の居酒屋とは違う、派手さのない、裏ぶれた(失礼)小さな赤ちょうちんの店。そんな地味な店。実は私もひそかに興味はあったのです。

 

上京していた私が帰宅途中、父から電話がかかり、「鳥八が楽しい!」とのこと。では、戻ったら、私も「鳥八」に合流しようかと言ったら、喜んでくれました。

 

到着したら、父がご機嫌な様子でカウンターに座り、おかみさんと語らっていました。色気なんかまったくない、おしゃべり好きの陽気なおばちゃん。ご主人と二人で経営していたものの、数年前にご主人は他界。店は畳もうかと思っていたけど、常連さんたちの声に後押しされて、もう一踏ん張り、という苦労人のおばちゃん。その元気な声に、きっと常連さんたちも、明日への活力が湧くのでしょう。

 

この日は本格的な雨で、私たち以外にお客さんはいませんでした。それを見込んで、購入した生鮮食材は少なめ。なので、出せる料理は少ないんですと言いながら、自慢の煮物などの手作り惣菜を並べるおかみさん、最後は、いかにも食欲旺盛そうな見た目の私たちわんぱく親子のために、ボリューム満点な焼きそばも出してくれました。

 

いずれも美味しかったです。もちろんグルメ評論家の舌を唸らせるような料理ではないかもしれないけれど、店の佇まいやおかみさんの接客も味のうちです。

 

父は名残惜しそうでしたが、また来ます、ということで、泥酔する前に二人で帰宅しました。

 

こういう、個人で切り盛りする昭和な赤ちょうちん。町の中から消えないでほしいと思うのは、私たち親子だけでしょうか?

 

いい夜になりました。