僕は人間の形をしているんだけどね。これは後で話すけど、そのことはあまり意味を持たないんだな。

 そこで人間型からさらに細分化される三つの事項の確認が必要となる。攻撃型、愛玩型、そして変化型。僕らはこれの変化型に当たるんだな。

 誤解しないで欲しいのは、決して攻撃型だけが危険なわけではないこと。どんな奴も暴れる時は暴れるし、火力の面でも攻撃型が勝っているわけではない。言うなれば、血液型診断みたいな性格的分類。それぞれを象徴している部分を字面で表しているんだ。

 いつも山の中や暗闇で走り回り、獲物を探し回る奴ら、僕らにしてみれば、全く愚かしい奴なんだけど、彼らが攻撃型と呼ばれる種だ。基本的にいつも不機嫌で、腹を満たすことに命を懸けてる。ベルニーなんかはその典型だね。対して愛玩型は人間社会に溶け込み、自分たちの本性を出そうとはしない。実は愛玩型という呼び方は別称でね。彼らがまるで犬みたいに人間に擦り寄る姿を端的に表しているんだよ。

 最後になるけど、僕ら変化型は少し特殊だ。化け物の中ではタブーであり、攻撃型は無論、愛玩型だってやろうとはしないことを生存と発展のために進んでやるようになった。それこそ生殖行為、つまりセックスだ。

 変化型が生まれたのは数百年前。攻撃型や愛玩型と比べると歴史があるとはいえないけど、今まで考えもしなかったその暴挙によって、あるメリットが浮かび上がった。

 元来妖魔は別の種族との生殖行為は不可能といわれてきた。お互いの遺伝子が反発しあって、受精までこじつけられないからと結論付けられたが・・・ああ!人間の尊さよ!彼らは柔軟性に優れているためになんと妖魔との子供を作れてしまったのだ。当然その子供は人間の血を持つことになる。僕らの世界での能力はそりゃあ見劣りするものだけど、当然長所もあった。話の流れからもう気づいた人も多いだろうが、その人間の血をして、彼らは別種の妖魔を受け入れる体であったのだ。その結果生まれてくるのは、これまで存在しなかった全く新しい特徴を備えた妖魔であったというわけだ。そして、彼らはいつしか「変化型」と一括りされ、現在では妖魔全体で見ても遜色ないカテゴリーとして君臨しているんだな。

 まあざっと話したこれらが妖魔の世界の入り口ってこと。人間と共に歩んできた僕らにも、当然歴史があり、文化があり、権利もある。僕らはむしろ人間との境界線をデリケートに守ってきたんだぜ。それを一方的に侵害したのはあいつらだっていうのにさ。タクトを振るってるのは、もしかしたら攻撃型なんじゃないのかな。フェアじゃないいんだよ、やり方が。



消滅島RPGマーダー―長編痛快ミステリー (ノン・ノベル―天才・竜之介がゆく! (844))/柄刀 一
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龍之介シリーズ、久々の長編。それもシリーズ史上最大の厚さかもしれない。最初見たときは

「おおー、気合入ってるなー」と感心したもんですが、中身はどうなのか・・・

結論は



 うん、おもしろい!




肝腎のミステリー部分はこのシリーズ特有の偏向的な知識から拾ったトリックで、正直おざなりな感が否めませんが、やはり柄刀の本はミステリー部分に期待して読むものではないと思います、はい。

微笑ましいキャラ設定の割にはばったばったと人が死んでいきますが、主人公サイド以外がいい形で終わったのは本当に久しぶり。やはり、ロマンチックなものを書かせたら天下一品ですね。

初読の方は絶対に読んじゃ駄目。段階を追わないと人間関係や行動目的、その重みが全然追えません。

逆に柄刀ファンには納得の一冊に仕上がってると思います。満足、満足。


 全く冗談にもならない。世知辛い世の中になったもんだ。

 一般的な人間たちは、この世を自分たちが支配していると思っていたが、彼らの至らない所で活躍する生き物は意外なほどに多かった。彼らはこれまで、束縛されぬ身として自由に食らい、戦い、そして死んでいった。全く気ままな生き方で、節操なんてあったもんでも無かったけど、僕は少し羨ましくも感じる。でも、現在の状況を思えばそれは当然だぜ。人間たちも最近じゃあ僕たちの存在に勘付いたらしいからね。まあ、これだけワイルドな生活してりゃ当然か。全く、あいつらは「清潔」で「上品」に人生を謳歌するからな。僕らのことはケダモノ以外の何者にも見えなかったらしい。その日から、僕たちと人間の追いかけっこ、もしくはハンティングが始まったんだ。

 これを読んでいるのは人間だからな。もしかしたら僕たちのことを全く知らないなんていうやつもいるかもしれない。これを機会に少し説明すると、まず人間と同じ形をしている奴だけで三種類に大別される。これは余談だけどさ。こっちの世界にも学者みたいなのがいて、日夜学問に勤しんでる。大抵は「ヒガルタから飛び出す光玉の味」とか「一日にベルニのかく汗の総量」だとか、脳が湧いてるんじゃないか心配したくなるほどいんちきくさい内容なんだけど、時々真面目な奴がいるんだ。そいつは魑魅魍魎(正直いってこの四字熟語を使う際にこれ以上のグッドタイミングが思い浮かばない)ひしめくこの世界において、白紙の状態から全ての化け物を分類して、その行動の基準とパターンを分析する「シュタイン学」を創設したドクターシュタインなんだけど、彼は数百年前に「のろま」と結論付けられた「うすのろベルニー」の集団に殺された。でも、その件をして、ベルニーは正式に自分自身に「のろま」のレッテルを貼り付けた。何故かというとシュタインの属した化け物は断末魔で毒霧を吹く事は既に世界中の常識だったからだ。さぞ、シュタインも驚いただろうよ。現在ではこれは一流のジョークとして僕らの間では常識となっている。

 話を戻そう。

 シュタインはまず、一軒では人間と区別がつかないもの。霊長類の形をしているが、人間とは似ても似つかないもの。そして、他の何にも属さないような個性的ないでたちのもの。ただ、最後の奴らは、あまりにも目立ちすぎたため、真っ先に奴らに駆除されてしまった。今では富裕層のペットくらいじゃないかな、生き残ったのは。残ったのは二種類ってことになるけど、やはり、人間の形をしたものが圧倒的多数を占めていると思う。断言できないのは、そもそもちょっと賢い化け物は自分の「人にあらざる部分」はめったにさらけ出さず、正確な人数は把握できないからだ。そういう奴に限って集団で固まったりしているから、風説で出回っている暫定人数は当てにならない。でも、人間たちはそれを鵜呑みにして、ノルマみたいに粛々と駆除を続けているんだな。



お久しブリタニア

ひっそりと復活です。