87-88/88 | かんくら88

かんくら88

■あるきへんろにちょうせんの巻/ 四国遍路編 *小豆島遍路編
■くるまへんろにちょうせんの巻/秩父遍路編
■ボランティアできるかなの巻

四時起床
五時出発

女将さんがヲレが朝飯抜きで早く出る事を忘れていた
寝ぼけ眼で出て来た
慌てて
いつもお握りをお接待してるのにごめんなさい

ゆで卵とオレンジとお茶をビニールに入れてくれる
ありがたい

早速、歩きながら食べる
もちろんゆで卵にはあの塩を使う
塩ってエライ
オレンジも食べる
お茶は途中の橋を渡る前の遍路小屋で飲みながら一服

87番 長尾寺
七時前到着
ピッタリ
門前の宿から昨日会ったお遍路さんともう一人のお遍路さんが出て来た
挨拶する
お経をしていたらさっきのもう一人のお遍路さんも来たので再び挨拶する
白髪、短髪、サングラス、チノパン、チェックのシャツ
かわいい服装でオシャレだ

納経しマッサージしてたら腹が痛くなる
トイレ行く

もうあと一寺になってしまった
なんとも言えない
早く終わってほしいようなほしくないような

金刀比羅宮に行く途中、善通寺駅で始発電車を待っていたらおじいちゃんに
結願していい事があるかもしれないしないかもしれない
でも自信にはなるからこれからの人生がんばりなさい
と言われた
自信になるかな
なんだか不安

今日は風が全くなく暑い
ダラダラと苦手な登り坂を歩く

ダムの所で団扇片手で涼しげな小柄な女性の登山者に会う
挨拶を交わす

普段から歩いてる人は同じ生き物とは思えない
平気な顔してどんどん歩く
ヲレなんて図体でかいだけで力任せに歩く
普段から歩こうと思う

おへんろ交流サロン到着
遍路大使任命書と他のお遍路さんからのお接待の寺のスライドショーのDVDを戴く
なんだかうれしい
お金じゃ買えない
奥は資料館になっている
有名な先達さんの納経帳がある
300回も回ったから朱印で真っ赤だ
カッコイイ
ゆっくり見たいが先を行く
出かけ間際、福島のおじさん到着

ずっと登りでヘトヘト
今日、結願できるとは思えないくらいヘトヘト
やっとの事で太郎兵衛館まで来る
あーなんかダメかも
と思っていたら
ダムで会った小柄な登山者にまた会う
ここからもう少し
と言われ一緒に歩く

ダメじゃない
不思議
歩ける
ケド休憩したいから先に行ってもらう
水を飲み登ろうとしたら朝、長尾寺にいたオシャレ遍路が来る所
もう小柄な登山者は見えない
ヲレも登る

不思議な事にどんどん登れる
登って降りて登ると小柄な登山者が休んでる
こ、ここがち、頂上ですかあはあはあ
と聞くとまだまだ上と言う
お姉さんが休んでるから頂上かと思いました
というと
ケラケラ笑う
素敵な笑顔
今度は一緒に登る
すぐ見えなくなる
まるで忍者だ
しばらく登ると小柄な登山者が休んでる
こ、こ、ここがち、頂上ですかあぜーぜー
というと
あともう少しと言い
ニッコリ笑う
本当に素敵な笑顔
ヲレ先に行きますと言うと後ろから歩いてくれた

ヲレ本当に遅いからまた先に行ってもらうとまたすぐ見えなくなる

忍者じゃなくて天狗か

最後は岩山
岩ひとつ登るのに膝とかついちゃう
岩に手すりとか付いてる
落ちたらどうしよう
やっとの事で頂上に着く
小柄な登山者がニッコリ笑う
ヲレ景色見て振り替えるといない

こんなせまい場所でなんでいないの?
祠の裏にいた
焦った
本当にお大師様かと思った

ベンチがあり休んでるとオシャレ遍路も来た
オシャレ遍路は今治から回り始めたとの事
アブがたくさんなのでヲレと小柄な登山者は先に行く事にする
ここから2キロ下り
またあっという間に見えなくなる

ヲレは下りでやっと思考能力が出て来た
これが最後の遍路道だと思うと泣きべそになった

88番 大窪寺
着いた途端
おいおい泣く
なんで泣くのかな
自分が頑張った達成感とか終わりの感動ではない
いろんな人にやさしくされた事を思い出したからだった
ありがとうございます
という感謝の気持ちで涙が出る
自分にまだこんな感情があったのかと驚く
本堂でお経を読むが涙でうまく読めないょ
大師堂へ行くと前のベンチに小柄な登山者が座っていた
お経を読み、小柄な登山者の所に行く
あなたのお陰で登れました
ありがとうございます
と言うとそんな事ないと言う
そのまま一時間半話し込む
年齢は60歳
ぜんぜん見えない
45歳から登山を始める
登っていると頭が真っ白になって嫌な事を忘れられるから
ヲレがぜーぜー言いながら歩いてきた横峯や白峰、大窪寺はお気に入りのコースとの事
バツ一つで東京からこちらに来た
何もかも嫌になり一回全部捨てたとの事
だけど本当に必要な物は残るョと言う

ヲレの荷物は今はすっかり小さい
本当に必要な物だけしかない
それと一緒なんだ
お金も物も人間関係も本当に必要な物があればいいのだと思う
どれだけ必要ないものを持たないかにより豊かな心が持てると思う
必要ないものに振り回されていた気がする

オシャレ遍路が来る
これから10キロ下るそうだ
最後に納め札を交換
大学の先生でブログ見てねとの事
授業で遍路を取り入れるとの事
同じ日に同じ道を通っているのに全く違う事が起きますからいいですね
と言うと
それはね、立ち止まってキチンと顔を見て挨拶するかどうかだよ
と言う
なるほど
どれだけ素敵な事があるかどうかはその子がどんな歩き方してるかによる
医学部でこれから患者さんと接する事になるから常識が必要
キチンと挨拶して話が出来なければ医者にはなれない
との事
さすがに頭の良い方は素敵なお考えだ
本当に素敵な授業になると思う

実際、普段の生活で挨拶してもしない人とか本当にいるからな
大人なのに本当にかわいそう
つか
常識がない
言葉が通じないのかな
ヲレには必要ないもの①だ

後でブログ見たら有名な民俗学者だった

小柄な登山者はこれからまた今来た道を帰るそうだ
最後に名前を聞く
坂口さん
ヲレにとっては忍者で天狗でお大師様だった
出逢えてよかった
ニッコリ笑い私もと言う
本当に素敵な顔だ
ありがとうございました

納経を済ませ衝動買いで結願賞状を買う
紙切れ一枚 2000円
危うく原価計算するとこだった

門を出ると門前の茶屋で福島のおじさんかき氷食ってる
すでにビールは3杯飲んだとの事
八兵衛だな
福島のおじさんは山道が苦手だから鋪装道路で来たそうだ
でも鋪装道路は倍くらいの距離があるから大変
さすがに歩くの早い
ヲレはうどんを食いアイスコーヒーを飲み笹団子を食う
いや
ヲレのほうが八兵衛だ

今日は門前の宿に泊まる
ここは北京オリンピックで金メダルを取った女子ソフトボールの堤選手の実家だ
女将さんは一昨日、緊急入院したそうだ

昭和八年生まれの女将さんは70年前に米を持たされお遍路にだされた
その後、もう20回も回っているらしい
先達でもある
寺で宿坊をやらないので頼まれそれからここで民宿を始める
新聞記事より

夜飯に赤飯が出る
結願のお祝い
福島のおじさんと今日も盛り上がる
しっかしアンタみたいな優しい人がどうして誰も嫁にしないかね
と言う
いや、ちがう
嫁にしないのではない
嫁にしてほしい男がいないのだ

モッチーがモテるように祈るの忘れたまま終わってしまった
すまん





明日から二日かけて1番霊仙寺まで戻り高野山へと向かう
あともう少しで現実の世界にもどる