それはそれはすごいコーラスだった。にっきとはっかそれぞれをキャリーケースに入れて、アニマルクリニックに健康診断に連れて行った時。「にゃ~お」「にゃ~おう」を迫力満点に歌い上げるものだから、ただでさえ重い猫入りケースが倍にも感じられた。待合室でも鳴き続ける。よその方からは「まあかわいい」と言っていただけるが、猫たちは必死だ。診察台の上で、はっかは大暴れ、エリザベスカラーを始めてつけられた。にっきは怖くてぶるぶる震え、えらい騒ぎだった。

 

 

 

帰宅して同時にケースの入り口を開けると、二匹一斉に出走です!大急ぎで長椅子の下に隠れた。「あーこわかった」「なによ、なによ、ねこになんのそうだんもなく」というわけなのか、しばらく出てこなかった。

 

 

はっかはやがてまたしてもジュニアの胸にへばりつき、甘えている。これだけ猫に慕われては、ジュニアも立つに立てない。猫の魔法にかけられてしまった。

 

 

「こわかったよ~。ごほうびのおやつないの?えっ、ちょっぴりたいじゅうがおもかったからたべていいのはえさだけなんて、つまんにゃ~い」とにっきは不満げ。

 

 

やっと落ち着いたはっかは、(人間の目から見ると)恨みがましいまなざしで、振り返る。人間ジュニアの観察によると、診察台で人間三人に取り押さえられて採血された時、はっかの目は恐怖のあまり瞳孔が見えないくらい点になって、どうかなるのではないかと心配だったとのこと。

 

 

にっきも細目になっている。こちらは、ただ怖くてぶるぶる震えて診察台の上にへばっていただけなので、採血だろうが爪切りだろうが肛門腺のプッシュだろうがされるがまま。ドクターに「おやこの子はおとなしい」と感心された。(いつもとさかさま。)

 

 

「やれやれだわ。にんげんのすることはわからない...。」とつぶやいているのか、はっかは優雅に手を組んで、長椅子に寝そべる。ずっと健康でいて欲しいからです、猫さん。もしもまたお粗相をした時のため、採尿キットまでもらってきた。でもどうやったら採尿なんてできるだろう―?

 

 

しばらくすると、健診ショックは忘れて、にっきは日課の釣り竿追っかけ運動に挺身。思い切り手足を伸ばして、あられもない姿ながら、健康そのものなので人間は一安心。猫用医療費の高額なこと!様々な場面で猫は人間並みだ。猫、侮るべからず。