信用取引の手数料廃止 -基本- | にっけいしんぶん新聞

信用取引の手数料廃止 -基本-

松井証券、一部で -1面-

インターネット専業大手の松井証券は、投資化が証券会社などから資金を借り入れて株式に投資する信用取引のうち、同社が独自に運営し、貸し付けた資金の返済期限を設けない「無期限信用取引」の売買手数料を9月からゼロにします。手数料の引き下げ競争は激化していますが、廃止は例がありません。
一方で信用の貸出金利は年率3.3%から4.6%に引き上げます。返済期限など規制のある「制度信用取引」と、資金を借りない現金取引の手数料は変えません。
今回の措置で、松井は従来の手数料依存から金利収入で稼ぐビジネスモデルに転換します。


今回の措置で転換というか、あれだけ取引が活況だった06年3月期で経常の4割を金利収入で稼いでいるというんですから、すでに手数料依存からは脱却をしているといえるでしょう。
たしかに価格競争が進み、1取引で数百円からという手数料でせっせこ稼ぐよりは、貸し付ける金利で稼ごうというほうが理にかなっている気がします。

金利を上げたら顧客が逃げるだろうという懸念はあるでしょうが、でも以前松井証券の会社説明会にいったとき、社長さんはこうおっしゃってました。

「ネットで回転売買するお客さんは、金利のことはほとんど気にしてない」

ま、確かにそうでしょうね。
松井の無期限信用の残高は約1400億円、この金利の1%は収益を大きく左右しますが、短期の売買益を狙う個々の投資家からすると1%や2%は1日の値動きで吸収できちゃうわけで、借り入れのレートより売買のタイミングのほうがよほど重要事項でしょうから。

ていうか、信用で株を売買している人の中には、実はお金を借りて株を買っているんだということを知らないでやっている人もけっこういるかもしれませんね。
信用取引とは少ないお金でいっぱい株を買える制度、なんて思っている方も中にはいるんじゃないでしょうか。

証券会社と取引所を介するので目に見えるわけではありませんが、株の売買にはもちろん相手方がいて、買ったときには売ってくれた相手にお金を支払う必要があるわけで、その支払い代金を貸し付けてくれるのが信用取引という制度なのです。
売ってくれた相手に委託保証金の額しか支払っていないわけではありません。
委託保証金は資金を貸してくれる会社が取りっぱぐれのないように担保として差し入れているだけのお金なのです。

・・・なんて信用取引をやっている人なら普通に知っているはずのことを偉そうに書くと個人投資家を馬鹿にしてるんじゃないかと怒られそうですが、いやところがそうじゃなくてですね、いるんですよ、中にはとんでもない方が。
こないだの株価下落局面で、某ネット証券のコールセンターにこんな質問が来たっていうんですから。


「あのぉー・・・、追証おいしょうってなんですかぁ・・・?」


・・・。
さすがに証券関係者とこの話をしたときは絶句してましたよ。

ネット証券が普及して株取引の敷居が低くなったのは歓迎すべきことなのですが、ネットによるトレーディングを株取引の一形態として利用しているというよりは、オンラインゲームとかと同様にネットコンテンツの一つといった感覚で参加している人もいるのかもしれませんね。
まあ、それが悪いこととはいいませんけど、一応、基本的な仕組みとルールくらいは理解されてから参加するほうがよいかと思います。

ていうか、ろくに画面を読まずにクリックしてても説明を読んだことにしちゃって、信用でもデリバティブでもGOサイン出しちゃう仕組みって、どうかと思うなあ・・・。


ああ、そういえば最近コメント欄からのリンクで誘導されるエロサイトの中には、現れた画面をよく読まずに何気なく「はい」をクリックすると、自分のIPとともにご丁寧にさっきの画面のコピーまで出て、「ほらほら!このとおり今あんたは『エロコンテンツと認識して代金も支払います』って書いてある画面を見て『はい』をクリックして入ってきたんだよ!ちゃんと入金しろよ。IPであんたを特定できちゃってるんだからな!」みたいなのが表示されちゃって、さも入金しないとやばいような気にさせられちゃうのがありますが、こちらは追証と違って慌てて入金する必要はありません。
見なかったことにして放っておいて大丈夫でしょう。



※「追証」:信用取引の委託保証金(担保)が評価損との見合いで規定に足りなくなったときに追加で差し入れるお金。相場の急落時はあちこちで「おいしょー!」「おいしょー!」の声が聞かれることから、「『親父の海』の大合唱」などといわれることも。