今日の愛ルケ(#145) | にっけいしんぶん新聞

今日の愛ルケ(#145)

この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写かなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。

春雪 十五

冬香は6日後の3月末に再びやってきた。今回は11時から2時くらいまでがいいという。
家族を置いて男の許へとは、冬香は身勝手な、許せない女といわれそうだが、子供や夫の世話に追われる身、週に数時間くらい家を空けてもそれほど責められることでもない。
とはいえ、実態は不倫であることを考えると菊治は複雑だが、ともかく時間を空ける。大学が春休みなのも幸いだ。
冬香は11時ちょうどに現れる。今度も部屋の入口で待っていると、淡いピンクのショールをまとった冬香が、春の微風のように入ってくる。
暖かくなったなどといいながら接吻をし、ベッドルームへ誘う。
また逢えたというと、微かに笑う冬香。北叟笑(ほくそえ)むのとは違うが、目と目と見合わせて、忍びやかな笑いである。
今日は3時間あるので、「ゆっくり、いじめてやる」というと、「だめです、お手やわらかにお願します」と答える。
菊治は「今日は、彼は」ときいてみる。
「子供たちと、デパートに行くとかで・・・」
菊治は息をのむ。夫が3人の子供を連れてデパートへ行くいっぽうで、妻がここで服を脱いでいる。
ひどく罪深いことをしている気がするのは近くに住むようになったせいか。離れていてなにも知らないほうがよかったのかもしれない。



えっ!
もう来ちゃったんですか、メールのやりとりもなしに!

いやー、やられました。
菊治と冬香は週イチで逢ってりゃいいですが、こちらは連日です。
食傷気味というか、胸焼け気味というか・・・
そうか、渡辺先生、こちらの突込み意欲を無くす作戦に出ていますね。
こ、これは・・・手を出そうとしたら痛い目にあうという・・・それは流行りの言葉で言うところの・・・

ポイズンピルってやつですか!?


まあそんな時事ネタはいいとして・・・。

えーっと、冬香が3月20日に引っ越してきて、2日後の22日に逢瀬、その6日後ですから、今日は3月28日月曜日ですね。

・・・。
ええ。
そうなんです。
そうなんですよ。
もう記者が何を言いたいかお分かりでしょう。


会社行けよ、エリートの夫!!

・・・。
ていうかさ・・・。
もしかしてさ・・・。
渡辺先生さ・・・。

日付1日間違えちゃったでしょ!?

本当は引越しは19日(土)で、21日(祝)が最初の逢瀬で、27日(日)が2度目の逢瀬のつもりだったんじゃないですか??
カレンダーを1日見間違えて、すべてが狂っちゃいましたか??

いいですよ。
それならそれで構いませんよ。
記者はうっかり間違いには寛容です。
だって、われわれの疑問に答えるために、菊治に会話の流れを無視した質問までさせてくださってるんですよ。
おまけに冬香が身勝手だとかどうだとかいう批判にも、なんとか答えてくださってるわけですし・・・。

・・・そうですね。
それでは担当さんと相談して、どこかでさりげなく、あれはうっかり日付が間違ってたんだっていうメッセージを送ってくださいませんか。
もちろん、こちらも勝手に間違いと決め付ける訳にもいかないので、それまでは本紙といたしましては、

「大手製薬会社のエリートの夫は期末期初に2週間ほど春休み」

という、実に破格の待遇を受けていることを前提に話を進めさせていただきます。

さて、そんな破格の待遇の夫が子守りするのを尻目に、妻は菊治の許へ服を脱ぎにやってまいりました。
寒い冬場にスカスカだった襟元・胸元には、春らしくピンクのショールを巻いてきました。
そう、「春の微風のように」・・・。

ふーぅ。
なんでしょうかねえ。
やっぱりこういう表現って、織り交ぜないとだめなんですかねえ。
僭越なド素人の記者としては、なくてもいいと思うんですが・・・。
それより真冬に冬の木枯らしのようだった冬香の服装に気を遣ってやってください。

ま、どんな服を着ていてもどうせすぐ脱ぐのだから関係ないっていえばないのですけどね。いずれにせよ、冬香が部屋へ入れば2人は接吻してベッドルームへ直行するのです。
しかしこれは前回同様ですが、菊治は前回とは若干違った入れ込み具合です。
それもそのはず、「今日は3時間はたっぷりある(原文)」のです。

「ゆっくり、いじめてやる」

ええ、ほんとにゆっくりお願します。
まさか、まさかとは思いますが、仮眠時間が延びるだけだとか、あるいはわれわれに気を使って仮眠明けに無理矢理コーヒーを飲んで時間をつぶしたりとか、そんなんじゃないでしょうね。
ましてや、することは同じなのに時間だけ進んで、「荒い息遣いのまま横たわる冬香に満足して、ふと時計を見ると、もう1時30分である」とかいうのは絶対なしですからね。
それは反則ですよ。

あ、それともあれですか。
いつぞや同様、あっさりそのシーンは終わっちゃって、冬香の身の上話に行ったりするんですか?
とにかく、楽しませていただけることをお待ちしてますからね。

そうそう。
例のサインのほうも、お待ちしてますよ。