皆さん、虫歯(齲蝕)予防にフッ化物の応用が有効であるということは、ご存じの方も多いと思います。フッ化物の応用は、歯の齲蝕抵抗性(虫歯になりにくさ)を高めて齲蝕を予防する方法です。フッ化物の応用には、歯みがきなどの局所応用と、飲み水などに添加する全身応用とがありますが、今回は前者についてお話ししたいと思います。

 

 フッ素は、自然界に広く分布している元素です。飲み水や多くの食品に微量ながら含まれており、私たちの体の中にも存在しています。フッ素元素の陰イオン(F-)の状態にあるものをフッ化物イオンまたはフッ化物といい、齲蝕予防に用いられるフッ化ナトリウムもフッ化物です。歯の表面にあるエナメル質(ハイドロキシアパタイト)にこのフッ化物を応用すると、その表面にフルオロアパタイトという物質が形成されます。このフルオロアパタイトはハイドロキシアパタイトよりも酸に強く、ハイドロキシアパタイトがpH5.4~5.5で溶け始めるのに対し、フルオロアパタイトはpH4.9にならないと溶け始めないといわれています。つまり、より強い酸でないと溶けないようになる(耐酸性が向上する)、ということになり「齲蝕予防」が成立するわけです。ただし、フッ化物により歯の表面に形成されたフルオロアパタイトの層は非常に薄いので、繰り返し形成させる必要があります。またpH4.9以下になればやはり溶け始めてしまいますので、フッ化物を使ってさえいれば虫歯にならないというわけではなく、あくまでも予防ということになります。

 

 フッ化物を歯に応用するには、皆さんおなじみの歯みがきペーストにフッ化物が添加されたものを使うことが考えられます。フルオロアパタイトを効果的に形成させるには、形成にかかる時間も必要ですので、必要充分な濃度のフッ化物が含まれていることのみならず、お口の中が泡だらけで不快になり充分な時間みがいていられないようなことが起きないよう、低発泡性(泡が出にくい性質)な物であることなども求められます。以上の理由から、当院では歯みがきペーストとして「チェックアップスタンダード」をおすすめしております。ただしフッ化物濃度的に、6歳未満のお子様への使用はおひかえいただいております。

 

 当院のスタッフ達もお気に入りのチェックアップスタンダードを、皆さんもぜひ使ってみて下さい。

(末原)