分福茶釜の茂林寺。

狸囃子の證誠寺と比べて有名ではないのは、話のタイトルに出てこないからでしょうか。それとも、一番有名な分福茶釜の話では、お寺の和尚さんは脇役だからでしょうか。


なお、分福茶釜には、普通に知られている「道具屋の男が狸を助けて~」という話とはかなり違う原型の話があり、そこでは茂林寺と和尚さんは主役です。


ここは観光地ではない-茂林寺1

茂林寺前の商店。ここで荷物を預かってもらいました。


ここは観光地ではない-茂林寺2

拡大しました。

狸グッズが溢れています。というか、それしかありません(笑)。

さすが狸の二大昔話の総本山?


ここは観光地ではない-茂林寺3

そして、ここがその茂林寺の正門。

物語では茶釜に化けた狸を売りつけられるという役回りですから、けっこうお金持ちのイメージだったのでしょうか?

江戸時代あたりなら、戸籍管理をする住民把握の要の役割を担っていたわけですから、お金持ちかはともかく安定はしていそうです。


ここは観光地ではない-茂林寺4

中門。

おや? 瓦葺きだった正門に比べて、なんと茅葺き屋根です。


ここは観光地ではない-茂林寺5

そこに立っていた狸像。

よく見ると不気味です。怖いです。きっとクトゥルフの眷属とか、そんな感じでしょう。


ここは観光地ではない-茂林寺6

木立の合間から見える茂林寺本堂。

なかなかいい雰囲気です。


ここは観光地ではない-茂林寺7

そして、これが茂林寺!

中門から想像できたかもしれませんが、なんと茅葺き屋根の古寺です!

茅葺き屋根というところが、物凄く古寺っぽいです。

これまで見てきたお寺が瓦ばかりで、しかもそれが当然のように思っていてなんの疑問も感じていなかったもので、かなり新鮮に感じました。

たしかに、日本昔話に出てくる古寺って、むしろこんな感じですよね。

屋根に草が生えているところなんか、まさに古寺です。

でも、茅葺きって維持は難しいんでしょうね。そう思いつつも、ここはいつまでもこのままの古寺でいてほしいです……。


ここは観光地ではない-茂林寺9

そして、中にあった分福茶釜。

……そう、分福茶釜が現存しています!

しかも、けっこう綺麗。

あの狸は道具屋の男と仲良く暮らしたり、和尚さんと仲良く暮らしたりしたんじゃなかったんでしょうか?

今も化けたまま残っているということなんでしょうか?


ここは観光地ではない-茂林寺10

おまけ?

庭の石の上にあったミニマム狸。かわいい。


ここは観光地ではない-茂林寺11

ここは観光地ではない-茂林寺12

最後に。

正門と中門の間にいた狸の行列。


證誠寺と茂林寺を回ったので、なんだか狸は制覇した気分です(笑)。

事前の調べをしていかなかったので、分福茶釜があったのは衝撃でした。

前もって知識が無いというのは、こういうときに得することはありますね。もちろん、だいたいは損をしますが(笑)。

分福茶釜のお話は、道具屋の男と狸は仲良く幸せに暮らしました、というところが気に入っています。動物が恩返しする話では、最後に隠していた正体がばれて動物が去ってしまうという終わりが多いので、最初っから正体が分かっていて最後までほのぼの終わるこのお話は珍しいと思います(実はその手の話はけっこうあって、自分が夕鶴とかのイメージに引っ張られすぎている可能性もありますが)。

まあ、和尚さんを騙して茶釜を売りつけようとしたり、売られた茶釜の狸が火にかけられてやけどしたりするのはひどいですけれどね(笑)。それにしても、和尚さん、よく二人(一人と一匹)を許したものです(笑)。

さっき見たあの茶釜は、いまだにその男の思い出を抱えて茶釜になって鎮座しているのでしょうか?(って、ちょっと自分に酔っ払いすぎですね・笑)


次はまた東武線で桐生に向かいます。