みなさんこんにちは、にかです。

 

ドイツ語の単語は長い!みたいな話がそこら辺の記事や動画でよく出ますが、例えばそういう時に目にするGeschwindigkeitsüberschreitung(スピード違反)とかは、まあ滅多に見ませんね。

 

ただ、結構長いけどちょくちょく見る単語があります。それが今回のテーマであるauseinandersetzenです。

 

 

 

auseinandersetzen

 

 

みなさんはこの単語を見たことがあるでしょうか。辞書で意味を調べてみると...

このように出てきます。動詞で、〜を説明する、分析する、噛み砕いて言えば「考える」「考察する」みたいに言い換えることもできるのではないでしょうか。長いですが、auseinanderとsetzenで分離する分離動詞です。まあ、この意味は一旦忘れてください

 

最初に説明した通り、この単語は意外とちょくちょく目にしますが、全くの初見だとなかなか意味が推測できないのではないでしょうか。

 

ただ、この動詞、実は使われる文型がだいたい決まっています。それがsich mit+et. +auseinandersetzen です(sichは4格)。etというのはetwas(物)のことです。

sich mit...でピンと来た方、そうです、sich mit + et. + beschäftigen 「〜に取り組む」という表現もありますね。なんとこの二つ、ほぼ同じ意味なんです。

 

    

sich mit〜 auseinandersetzen

=

 sich mit 〜 beschäftigen 

〜に取り組む

 

DUDEN類語辞典を見てみても、どうやらこの二つは同じような意味と考えて良さそうです。

さらにもう一歩進めば、これらと同じ意味の動詞にsich befassen mit +et.「〜に取り組む」(Dudenの一番目に書いてありますね)もあります。意味は同じなので特に言うことはないです。

(名詞についてはのちほど)

 

これを踏まえると、次の例文も訳せるのではないでしょうか。

 

Ich möchte mich mit diesem Problem gründlich auseinandersetzen.

私はこの問題に徹底的に取り組んでみたい。

 

もちろんこの文章はbeschäftigenを使って書き換えることもできます。

Ich möchte mich mit diesem Problem gründlich beschäftigen.

 

ちなみに、beschäftigt seinの形で使われると「忙しい」と言う意味になります。

ich bin beschäftigt. 忙しい

 

 

ではこの動詞は一体どれくらい使われているのでしょうか。僕のiPadに入っているドイツ語検定の過去問を検索してみたところ、13件がヒットしました。多くは1級、たまに準1級と言った感じです。ネタバレになってしまう&著作権的によくないので全ては載せられませんが、一部だけ引用してみます。何年の出題かも伏せておきます。

 

 

 

 

こんな感じです。これ、すべてsich mit 〜 auseinandersetzenの形で使われていることにお気づきでしょうか。

あと今気づきましたが、①はmitのマーカー部分を間違えてしまいました。mit Alkoholの方のmitがauseinandersetzenにかかります。すみません。

②では分かち書きされていますが、まあ昔の正書法とかそう言うことですので気にしないでください。

③ではdamitの形にmitが現れています。

 

そしてこちらは良い例ではありませんが、昔たまたまナチス・ドイツの演説を見ていた時にもこのauseinandersetzenが使われていました。そのスクリプトがこちらです。

(かなり昔のメモなので、Reiheという簡単な単語の意味が書いてあるのはご愛嬌ということで...^_^;)

やはりこれも、zu不定詞の形にはなっていますが、sich mit〜auseinandersetzenの形になっていますね。

 

 sich mit+人+auseinandersetzenの場合

 

ここまではmitの後ろが物になる場合でしたが、mitの後ろに人がきたらどうなるのでしょうか。この場合は、

「〜と議論を交わす、討論する」みたいな意味になります。

例文にあるように、政治的な場面で使われることが多々あるように思います。

独検にもこの意味で出たことはあるようです。miteinander「お互いに」となっていますし、Autorengruppenとあるので、ここでは確かに人を表しています。miteinander auseinandersetzt. だとeinanderが繰り返されていて面白いですね。

 

ただ、多くの場合は最初に紹介したsich mit+et.+auseinandersetzenの形で登場すると思います。

 

 

名詞の場合

さて、auseinandersetzenには名詞もあります。それはAuseinandersetzungです。

「auseinandersetzenすること」と考えれば、まず「〜に取り組む」から「取り組み」、「〜と議論をする、討論をする」から「議論」「討論」と言った意味が導かれます。

確かにさっきのDuden類語辞典にも、Auseinandersetzungの類語としてDebatte, Diskussionと書いてあります。

その次に書いてあるErörterungも「議論」「討論」みたいな意味です。

erörtern: 議論する(おそらくラテン語の翻訳借用ですが、結構レベルの高い単語だと思います。B2くらい?)

Disputも英語からすぐに意味はわかりますが、「討論」です。

で、英語からやはり想像できる単語が続き...

c) Gefecht「戦い、口論」これもレベルの高そうな単語です。Fechten「フェンシング🤺」からイメージすれば、なんかフェンシングの剣で戦いを交わしている様子が浮かぶような気もします。

 

さらにAuseinandersetzungには、そういった取り組みに対する「説明」「考察」の意味もあります。まあauseinandersetzenの意味から導かれる意味ですが、僕はこう考えて覚えました。

 

ところでオランダ語を見てみると、どうやらauseinandersetzenにぴったり一致する言葉はなさそうです。

met +人+ discussiëren...「ディスカッションする」の単語になっています。

zich met +物+ bezighouden...bezighoudenはドイツ語のbeschäftigenに当たるので、確かに「〜に取り組む」の意味になっています。

 

長くなってしまったので今回はここらへんで終わりにします。ぜひauseinandersetzenを覚えて、長文で出てきた時に役立つと幸いです。ここまで読んでくださってありがとうございました!