こんにちは、にかです。

 

僕は現在ドイツの飲食店でアルバイトをしているのですが、つい先日、そのバイト先の先輩がこんなことを言いました。

にかくん、ヴァーゲして!

 

は、はい!適当に咄嗟に返事をしたはいいものの、ヴァーゲしてとは一体なんなのか。。。呆然としてしまいました。どうして日本語で言わないんだろうか

 

しかし次の瞬間、もしかしてこれは一種の機能動詞なのか!?と思えてきました。

 

 

 機能動詞

 

 

そもそも、機能動詞をご存知でしょうか。ドイツ語特有の文法用語(だと思います)ですが、辞書的な説明をすると、「動詞がその本来の意味を失い,名詞と結びついて特定の意味を表す動詞」のことです。

 

辞書にも、例えばnehmenをひくと

 

こんなふうに「特定の名詞と、...」と出てきます。

in Anspruch nehmen 〜を必要とする」なんかは特に有名な(?)というかよく使う機能動詞表現ですね。

Anspruchは名詞で「要求」とかそう言った感じの意味です。

nehmenには「取る」と言った意味がありますが、「〜を必要とする」に「取る」の意味は含まれていませんね。

つまりこのnehmenは「取る」という本来の動詞の意味を失っているのです。

ドイツ語検定だと2級くらいから機能動詞の知識を聞く問題が出るんだったような気がします。適当ですみません。

 

 

ヴァーゲとは?

 

さて、先輩の言った『ヴァーゲして』とはなんなのか?いくつかの説が頭をよぎりました。

 

① Waage説

まず発音をそのままドイツ語にコピーすれば、Waageになりました。Waage...その意味は、、、

 

「はかり」「軽量器」「てんびん⚖️」

 

つまり、これは「何かで(または何かを)測って欲しい」ということなのか?と、そう考えました。

しかしただただ作られた食品を運ぶだけのロボットのようなバイト僕に対して、何か食べ物やそう言ったものの量を計らせるという高度なことをさせるのはおかしい。というか、「(食材とかの重さや量を)計る」なら「messenして」の方が適切です。「Waageして」では""A""もしくは""f""のFehlerzeichenをもらってしまいます(ドイツの作文の添削での間違いの指摘はこういう記号でされます。AはAusdruck(の間違い)、fはfalsch)。

 

天秤⚖️には重りが必要ですが、重りのことをGewichtといいます(ほかには「重さ」「体重」とかの意味があります)。

で、天秤は重い方のお皿が下にさがりますね。

下に下がるほうが重さがあって重要なものだ、というイメージから、ins Gewicht fallen「重要である」「価値がある」と言う意味の熟語になります(Gewicht単体でも重要性という意味もあります)。独検で何回か目にしたことがある気がするので書いておきました。

 

動詞はwiegenです。wiegen: 重さをはかる。

 

②wagen説

思い返せばwagenに聞こえなくもなかった。wagenして!なら、wagenは動詞であるため、一応の辻褄は合う

さて、動詞のwagen。これは独検4級か3級あたりの単語帳でも見たことがあるので、知っている方も多いのではないでしょ

うか。

 

意味は「賭ける」です。

しかし、にかくんwagenして!となると、何かを賭けて!ということになってしまいますが、バイト中に何を賭ければいいのでしょうか。。。

ちなみにこのwagen、たまに見かけますが、「賭ける」と訳すとうまくいかないことが多いです。実は「思い切って〜してみる」という意味もあり、割とこの意味で使われることの方が多いのです。

duden類語辞典も、最初にsich getrauen(なかなか難しい単語ですが、"あえて〜する") / riskieren(危険(Risiko)をおかす)

と書いてありますし、賭けより先にこっちの意味で覚えた方が良さそうです。僕がドイツ語学習を始めた直後に使った単語帳の独検1800には確か「賭ける」の意味で載っていた気がします。違っていたらごめんなさい。

 

例文) Er hat eine Wette gewagt. 彼はあえてひとつの賭けに出た。

 

あー、独検1800に載ってたのはWetteだったかもしれません。

 

③Wage説

こんな単語ないので、この説はなしです。

 

④Bageld説

これ、割とあると思いました。Bargeld...ヴァー...ゲルト...ヴァーゲ...ま、僕のリスニング能力ならこう聞こえなくもないです。Bargeldとは「現金」。飲食店なら「現金」を「払う」ことも「精算する」ことも「計算する」ことも可能です。「Bargeldする」とは、まさに現金をどうにかして欲しいに違いない

そう思い、「現金ですか?」と聞くとポカーンとしてました。おや、違ったみたいです。

ちなみにbarは形容詞で「現金の」と言う意味です。まあ僕が働いているお店ではbarで払うお客さんはほとんどいません。

 

⑤Wagen説

結論から言うとこれが正解でした。Wagenとは車🚗とかトラック🚚の意味もありますが、ここではお店で食べ物を運ぶときに使っていたワゴンのことです。『ワゴンをキッチンまで戻して、また料理運んで!』と言う意味だったのです。これを『ヴァーゲ(Wage(僕の耳には最後のnは聞こえなかった))して』の一言で表してしまうなんて...

これでは先輩はまさにWagen machenという機能動詞を創ったようなものです。。。

そんなことを考えながらバイトをしていました。

 

結局何が書きたいのかわからなくなりましたが、とにかく今回の語彙。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

die Waage てんびん⚖️

 

das Gewicht 重さ、体重、重り

 

ins Gewicht fallen 重要である

 

wiegen 重さをはかる

 

wagen 思い切って〜する、敢えて〜する(英: dare)

 

die Wette 賭け

 

das Bargeld 現金

 

bar (形)現金の

 

der Wagen ワゴン、車、トラック