「大和と日本」の謎:その36

 

 大嘗祭は、天皇陛下が即位後初めて新穀を皇祖・天神地祇(てんしんちぎ)に供えられ、親(みずか)らも召し上がり国家・国民のためその安寧と五穀豊穣などを感謝し祈念される祭祀で御一代一度の特別な新嘗祭である。皇室の祭祀の中でも、古来より最も重要なお祭りとされてきた。神社庁では、大嘗祭について、以下のように説明している。

 

 大嘗祭で最も重要な儀式は、その年に国内で採れた新穀を、天皇陛下御親らが皇祖・天神地祇に供し奉り、国家・国民の安寧と五穀豊穣に感謝し、また将来もそうなるよう祈られ、陛下御親ら新穀などをお召し上がりになる「供饌の儀」です。
まず悠紀殿(ゆきでん)において、悠紀地方の悠紀田で収穫された新穀を以て悠紀殿供饌の儀が執り行われ、続いて主基殿(すきでん)において主基地方の主基田で収穫された新穀を以て主基殿供饌の儀が執り行われます。

 

 神饌の数々を行列を組んでお運びする行事を「神饌行立(しんせんぎょうりゅう)」と言い、筥(はこ)や土器に納められた新穀の米や粟、鮮魚、干物、菓子、果物、鮑汁漬、海藻汁漬、米と粟を煮た御飯、白酒(しろき)、黒酒(くろき)など日本全国の海川山野の品々が神々にお供えされます。内陣で陛下御一人でなされる所作は知ることを望むことすら畏れ多い禁中の神秘でありますが、陛下が深夜遅くまで「国安らか民安らか」とお祈りになられる国家の重儀に皆様も心を寄せてお過ごし下さい。

 

「悠紀殿・主基殿」からなる大嘗宮

 

 天皇陛下は深夜に一人でこの密儀を2回行うのである。昔はなんで2回も同じことをするのだろうと思っていたが、日本を統治するにあたり、新天皇は二つの国「大和」と「日本」を支配することを宣言するからである。二つの大嘗宮「悠紀殿・主基殿」は東西日本を統治する権能を天照大御神から授かる象徴なのである。この天照大御神からこの国を預かることを示す字が「大嘗」なのである。「大」はもちろん「一+人」で「人として現れた唯一神」でイエス・キリストだが、「嘗」は「尚+匕+日」である。

 

 「嘗」の部首は2つとある。1つは「口部(くち・くちへん)」で、もう一つは「小部(しょう・しょうがしら・なおがしら)」だという。「口」でもあり「小」でもあり「尚」でもあるというのだ。そこで「小」の字を調べると、「⺌」の形は「党」、「賞」、「堂」、「掌」など、「尚」がもとになっている漢字が多く見られるが、これらと「小」は関係はなく、「小さい」「少ない」の意味を持たないとある。はてさて、いったい何を言っているのだろうか。実はここに暗号が隠されている。


 「小」の部首は「小・⺌(しょう、しょうがしら(小頭)、なおがしら(尚頭))」なのである。つまり「小=⺌=尚」だと言っているのである。さらに「小」の意味の1つは象形文字で、「小さな点」の象形から「小さい」を意味し、「⺌」という漢字が成り立ったとあるが、もう一つのは「神の気配」の象形と「建物の屋根」の象形から「⺌」という部首が成り立ったというのである。

 

 

 この2番目の意味は、上の画像でも分かるように、「八=ヤ=ヤハウェ」が降りてきたということを伝え、その建物といえば「幕屋=神殿」ということで、契約の聖櫃アークを置いた幕屋であり神殿のことを伝えているのである。もう1つは小さな3つの点で、天界の三神の存在を伝えており、それを人類に教えたのはイエス・キリストである。つまり、旧約神ヤハウェと新約神イエス・キリストは同じ存在だとしているのだ。だから「小=⺌」なのである。さらにそれが「尚」でもあるという意味は、「口」は「神の口」を示し、さらに神への捧げ物を入れる器「口:さい」でもある。

 

 この「口:さい」には、大嘗祭にいおける神饌を捧げる意味と、人類のために捧げ物として生贄となったイエス・キリストの意味の両方が込められているのである。さらに「匕」(さじ)は「小刀」の意味であり、「七」の形の「十手」(じって)で、「匕=七」の象形文字の「七」は「十字架から流れ落ちる血」の意味である。その十字架に架けられたのは太陽神=「日」で天照大御神の意味を伝えているのである。

 

  これが正々堂々と隠す神道の隠し方なのである。ちゃんと「大嘗祭」という文字の中に奥義を隠しているのである。

 

◆「ニッポン」と「ニホン」

 

 本連載で書いてきたが、日本の正式な国号は「日本:ニッポン」である。「日本:ニホン」ではない。もっともこれは近代に決められたもので、『日本書紀』の読みは「ニホンショキ」である。海外での呼称「ジャパン」は、もともと「日本」を「ジッポン」と発音し、これが「ジパング」、英語でいう「ジャパン:JAPAN」となった。ヘブライ語では「ヤパン:YPN」であるが、これは創造神ヤハウェを意味する「Y」が当てられ、言霊的には「ヤホン:YHWN」である。「YHW」はヤハウェ「YHWH」の3文字である。

 

 

 しかし、もともと日本は「倭」と呼ばれ、自分たちでも「倭」と表記した。邪馬台国を含めた日本列島の住民は「倭人」と呼ばれたが、当てられた「倭」という字は、「小さい人」という意味である。中国大陸の漢民族からすると、身長が低かったため、中華思想の蔑称として「倭」と名付けられたのである。しかし、「ヷ」というのは自己称だという説がある。今でも東北の人は自分のことを「ヷ」と称すが、これは漢字でいう「我」のことである。ちなみに二人称は「ナ」で、漢字では「汝」である。まるで「聖書」の表現である。

 

 古代、倭人は文字を持っておらず、漢字を理解していなかったとある。故に中国人が勝手につけた「倭」の意味を知らなかったが、渡来人たちがやってきて漢字を知るようになり、さらに遣隋使や遣唐使が中国に派遣されるようになり、その字の意味を知ることになる。自尊心もあり、倭人と呼ばれることに不満を覚えるようになる。そこで、国名を変えようという話が出る。邪馬台国が西日本を統治していた時代にあっては、自称はヘブライ語の「神の民」を意味する「ヤ・ゥマト=ヤマト」とした。

 

 この「ヤ・ゥマト=ヤマト=神の民」という話しはこれまで幾度も書いてきたが、冷静に考えれば、当時の人間は「ヤマト」というヘブライ語の言葉の意味を理解して使っていたのである。つまり、当たり前のように古代ヘブライ語を使っていたということである。さらに最初に「ヤマト」と称したのは、物部氏である。彼らは自分たちの民族の名を国名としたからで、それが『魏志倭人伝』が音をとって「邪馬台」という字を当てたのである。つまり、物部氏とは「ヤマト族」だったのである。

 

 

 だが、『魏志倭人伝』にある「邪馬台」という字は、中華思想の侮辱によって付けられた名前であった。よって「ヤマト」に当てる字を「大和」としたのである。聖徳太子の「十七条の憲法」の第一条「和を以て貴しとなす」によるものである。この節は一般的にも知られてはいるが、これは聖徳太子がこの国を「大和:ヤマト」に改めさせたということなのである。

 

 それ以前は「倭」という字を「ヤマト」と訓じていたが、これが後に「日本」と表記されるようになる。「日本」と書いて「ヤマト」と読ませるのだが、いったい「日本」という表記は、どこからやってきたのか。これまた聖徳太子によるものという説が一般的で、遣隋使を派遣した際、隋の皇帝「煬帝」に対して「日出処の天子、書を日没する処の天子に致す。つつがなきや」と外交文書に記しているからだ。

 

 当時の世界最大の帝国「随」の皇帝「煬帝」(ようだい)にすれば、天子はこの世に一人しかいない存在であり、東海に浮かぶ小国の倭人が無知蒙昧なことをぬかしていると、怒りを通り越して呆れたという話は有名である。だが、聖徳太子の頭の中には「大和は太陽の昇る東にあり、日本から見れば中国は西、太陽が沈む方角にある」という認識だったのである。煬帝が本気で怒ったのならば、日本を滅ぼすために軍を送ってもおかしくはない。だが、煬帝は攻めるどころか皇帝の使者として「裴世清」を飛鳥の地に送っているのである。

 

煬帝と聖徳太子

 

 古代エジプトの思想で言えば、日本は「アトゥム」であり、中国は「ケプリ」なのである。どういうことかといえば、アトゥムもケプリもともに「太陽神」であり、これを「天子」になぞったのである。この「天子」とは、中国では天の命を受けて徳をもって人民を支配する王者のことで、 血縁的 (宗族的) 社会の支配者として、諸侯を率いて天下万民を治める神権的な君主を意味する。

 

 古代エジプトの太陽神は「絶対三神」を構成している。すなわち「ラー、アトゥム、ケプリ」で、神道の造化三神もこれに対応している。ラーは天中の「天之御中主神」に相当、「高御産巣日神(高皇産霊神)」「神産巣日神」の神名には、いずれも「日」という文字があることから分かるように、実は全て太陽神なのである。そして、神道の最高神・天照大神も太陽神である。実は、ここに仕掛けがあるのだ。天界の三神の存在を伝えつつも、実は全て同じ太陽神を表し、その正体は天照大神ということなのである。

 

 中国大陸から見れば太陽の昇る東に日本は位置する。よって、当時の倭人が太陽を象徴として「国号」を「日の本」としたことについて、誰も異論はないはずである。「日の本の国」とは「太陽がのぼるもとの国」の意だからだ。さらに「日の本の」は国としての大和にかかる枕言葉でもある。  ちなみに「日本」は「にほん」「にっぽん」両様の読みがあるが、常用漢字表の「日」に「に」の読みは掲げられていないのである。だが「ニホン」としているところに仕掛けがあったのであり、 「付表」で「大和」に「やまと」の読みを認めているが、その中にも「日本」は入っていない。全ては後世の人間に与えた「暗号」なのである。

 

<つづく>