J-POP呪術大戦:その5

 

「歌は世につれ世は歌につれ」。大和の言葉で奏でる歌は呪術である。よって、J-POPも呪術となる。そこには歌の呪術師、言葉と音の魔術師たちが存在する。

※本連載に登場する人物名は本物ですが、書かれている内容は筆者の妄想です(笑)。ファンの方は真剣に取り合わないでください。

 

 詩羽「17」(椎名林檎のカバー)

 

 

 水曜日のカンパネラのボーカル「詩羽(うたは)」という名前は本名である。ただし、苗字は公表していない。だから名字からはどこの氏族出身の呪術師かは分からない。だが、彼女の表情、悲しみに満ち溢れた表情をみれば、物部氏の血が色濃く流れているのが分かる。先日、武道館ライブにご招待を受けたので見に行ってきたのだが、かなりぶっ飛んだ。武道館にセンターステージを作り、一人で歌っていたからだ。もちろん、この曲は歌うことはなかった。あくまでもTVドラマのワンシーンだからだ。

 

 TVドラマで感動することはほとんどない。というかあまり見ないからだ。しかし、詩羽が出演していたこのドラマは妙に気になってしまった。結局、ドラマがどう終わったのかは知らないのだが、この椎名林檎の「17」のカバーは圧巻だった。ドラマの映像そのままでないのが残念である。とにかく世界中の悲しみを一身に背負って歌っているような姿と表情が見事だった。

 

 

 水曜日のカンパネラは2021年9月6日に初代ボーカルのコムアイが脱退し、2代目ボーカルとして詩羽が加入した。実はコムアイの時代の1stライブも見ているのだが、詩羽になったら完全にワンマン状態になった。それは彼女のもつ底しれないパワーがそうさせたのだと思う。武道館の時も、子供の時にいじめを受けていたことを語っていた。ものすごく悲しみを背負っていたが、その深い悲しみは秦氏のアーティストには出せない。

 

 水曜日のカンパネラはYOASOBIとは真逆だ。YOASOBIの場合は物部氏が楽曲を作り、秦氏のボーカルが歌うが、水曜日のカンパネラは秦氏が作り、物部氏が歌うのだ。2012年の活動開始以降、メンバーとしてほとんどの楽曲の作詞作曲を担当しているのはケンモチヒデフミである。そしてキーマンはDir.F(ディレクター)である。「ケンモチ(剣持・剱持)」の名字は、もともと現岡山県北東部である美作(みまさか)に多い。剣といえば草薙剣だから物部氏と思いがちだが、それを「持った」ということなら、草薙剣

をもって物部氏を抑え込んだ秦氏の象徴と思えてくる。するとケンモチヒデフミが作る楽曲のタイトルと歌詞の意味が分かる。

 

 詩羽の顔と目に力が宿ってきたのが分かる

 

 特にボーカルが詩羽に変わって以降の楽曲は、もはや秦氏が作り上げた「日本神話の世界」なのである。「織姫」「卑弥呼」「一寸法師」「七福神」「金剛力士像」「たまものまえ」「四天王」「聖徳太子」。いったいなんでこんな曲ばかり作っているのかが謎なのだが、これは詩羽だから歌うことができる曲なのである。そこに本当は物部氏だが、秦氏の作る綿密なダンスポップナンバーを歌うことで輝くというのが、水曜日のカンパネラの構造なのである。

 

 

 この歌詞に注目しよう。呪術だと分かるからだ。

 

 詩の羽がついているという意味の名前には「詩」=「言+土+寸」で土地を測る(寸法)のに必要なのは直角定規とコンパスで、フリーメーソンのサイン「曲尺」と「コンパス」の意味が込められている。そのヤマトメーソンの言葉に羽が付くことで、言霊を自在に扱う呪術師の巫女となる。よって「詩羽」というシンガーが、名を与えられた時に運命が定まっていたのである。