本日の言霊 2024.05.18

 

 

 明治の世に「日本軍」を作り、日清戦争、日露戦争を勝利に導いた軍人たちからしたら、戦前の昭和の軍人たちは「堕落している」と思ったはず。高度経済成長を成し遂げて、GDP世界2位の国にした人たちからしたら、「なんて令和の日本は堕落し、人々は貧しい生活をしているんだ」と思うはず。

 

 しかし、物質的には令和の方が明治よりも昭和よりも圧倒的に豊かである。貧しい時代の人々から見れば、豊かな社会は堕落したように見える。だが、今の日本は命懸けの戦争こそしてはいないものの、首都圏では小学校四年生から「受験戦争」という戦いに投げ込まれる子供たちもいる。

 

 受験教育というのは教育に名を借りた虐待である。学校の教師による体罰が減ったと思いきや、こうした別の形で暴力が振るわれる。社会における暴力の総量は常に一定で、戦争という形で現れることもあれば、現代のような陰湿ないじめとして現れることもある。「あの時代は豊かだった」なんていうのは幻想である。