「穢れ」と「言霊」の謎:その1

 

<まえがき>

 

 今回のテーマはズバリ「言霊:コトダマ」である。

 

 「言霊:コトダマ」のことを書くと、意味不明な発言をするスピリチュアル系の人たちが寄ってきてしまうから危険である。まぁ構わないのが(笑)。自称スピリチュアル系の方と、お役目のある方とは根本的に異なる。その方とお会いして話をしてみればすぐに分かるが、一番ヤバいのは「自分には特別なお役目がある」と思い込まされている自称スピリチュアル系の方で、だいたい低級な動物霊や地縛霊が憑いていたり、悪魔の誘いにまんまと騙されているパターンが多い。

 

 その逆で、自称「悪霊に取り憑かれて困っている」というオッサンと話したことがある。こちらも困った人で、仕事もプライベートも、自分の人生が上手くいかないのは「悪霊が取り憑いているからなんです」などというたわ言を2時間も聞かされて辟易とした思い出がある(笑)。まぁ最後には「あなたが悪霊になりますよ」とアドバイスしておいた。ついでに著名なスピリチュアリストの公開カウンセリングも紹介しておいた。”自称スピリチュアリスト”も自称”悪霊憑き”も根本的には同じだ。

 

 こういうことを書くと嫌われる(笑)。それは承知の上だが、どうも「言葉」のまやかしに騙される人が相変わらす多い。宗教にハマる人もスピリチャルにハマる人も根底には同じものがある。「統一教会の文鮮明や韓鶴子の教えは危険」とか言いながら、「宇宙存在バシャールが語る進化への道」などというものを勧めてきたりする(笑)。自分が同じ危険な沼にハマっていることを全く理解していないのだ。

 


 「宇宙存在バシャールは、オリオン座エササニ星の宇宙存在」と アメリカ人のチャネラーさんが言っているのだという。どこだ、それ?って感じだ。いわく、「 地球より約500光年離れたオリオン座近くの並行宇宙に、エササニという惑星は存在すると考えられています」ってことらしく、「その並行宇宙って?」という感じになるのだが、まぁ、角が立つからそういうことにしておこう。

 

 どうも筆者はファンタジーとして楽しむ余裕がない。福山雅治が結婚した時に、新橋の駅前でOLさんが泣いていたが、ファンタジーはあくまでもファンタジーにしておかないといけないのだ。現実を知ってしまうと、その人の幻想が音を立てて崩壊してしまうからである。

 

 スピリチャル系の人たちが好きなのが「アセンション(次元上昇)」という言葉だ。過去25年くらい「アセンション」「次元上昇」と言い続けている人たちがいる。まぁ、それは構わないのだが。「2000年に次元上昇が起こる」「2012年12月のマヤ暦の終わりとともに次元上昇が起こる」「アセンションは2020年に起こります」とずっと言い続けていらっしゃるが、単に白髪が増えて老化しているだけにしか見えない。次元上昇して、どこかに行ってしまうのかと思いきや、相変わらず同じ家に住んでいる。せめて「UFOが見えるから」という理由で、タワマンくらいには引っ越しておいて欲しいものだ。

 



 

 「アセンション」の意味を理解しないで、カタカナ言葉に踊らされるだけなのだ。ぜひ、「アセンション」関連本のカタカナを取り除いて文章を読んでみて欲しい。ほとんど中身がなくなるからだ。もともと「アセンション」なる言葉を言い始めたのは、みなアメリカのスピリチャル系の人たちだ。中には毎日マリファナを吸って飛んでいる人も多い。特にカリフォルニア出身者は危ない。筆者も住んでいたが、カリフォルニアは、ヒッピー文化、ニューエイジを通して、新しいスピリチュアル文化の中心地、象徴的な土地となった場所である。

 

 サンフランシスコの金門橋のたもとに仲間たちで集まり、ハワイ産やタイ産の強烈なマリファナを吸って幻覚を見ていた人たちの流れが多い。「チャネリング」なる最も危険な行為が好きな人たちも同じ系統だ。筆者の知り合いには、ハワイからの帰路、逮捕を恐れて飛行機に乗る前にハワイ産のマリファナ入りのクッキーを全部食べ、飛行機の中で発狂して捕まったバカがいた(笑)。飛行機の中で、突然、大声で「龍に乗った仏陀が現れた〜!」と叫んだことで、取り押さえられてお縄になったと言っていた。これを阿呆と呼ぶが、アメリカ人なのに「仏陀」が出てくるあたりが重要だ。

 

 

 カリフォルニア出身のアメリカ人が書いた本には注意が必要だ。鵜呑みにしてはいけない。いま流行りの「マインドフルネス」なるものも一応、この延長線上にある。「禅」好きだったアップルの創業者スティーブ・ジョブズみたいなもので、カリフォルニアの元ヒッピーたちは、「セックス・ドラッグ・ロックンロール」と叫んでいた人たち、もしくは「ラブ&ピース」なフラワームーブメントの人たちで、とにかくスピリチャル好きが多い。そのことを念頭に本を読まないと、頭がイカれるのだ。

 

 こういう人たちはステレオをフル・ボリュームにしてピンク・フロイドの『ザ・ウォール』を聴いていた人たちが多い。2枚組のこのコンセプト・アルバムは、ロック・スターと思われる主人公ピンクの人生がストーリー形式で進行していき、そこから人間心理を描き出すという手法を取ったアルバムである。ピンクの人生の過程の中で感じる、学校教育や社会の中での抑圧・疎外感を「壁」に例えており、一方で、ロック・スターとして成功しながらもドラッグに溺れて精神が破綻していく姿などに、自己投影する人たちも多かった。要は精神が病んでいた人たちだということだ。

 

 日本では本では飽き足らず、さらに【アセンション(次元上昇)をもたらすスピリチュアル覚醒】などと題してセミナーを開いている方々もいる。その内容といえば、「地球のアセンションについていける人は、スピリチュアル能力を使いこなし、幸せと成功を引き寄せられると言われています」「2023年、アセンションした人になれる!」「スピリチュアル人生最高の5次元体験を約束」「アセンション症状に悩まされず次元上昇したい人向けの特別セッション」といった内容だ。ぜひ一度受講してみたいものだ。

 



 どうも内容やキャッチコピーを読んでいると、「ネットワークビジネスセミナー」と同じ構造だというのが分かる。ネットワークビジネスで金持ちになりたいという欲を持つことは構わないが、全然金持ちになれない人たちというのは、セミナーに沼るのだ。そこでお金を払い続け、貧乏生活を続ける。貧乏は嫌だから「このネットワークはダメだ」と思うと別のネットワークビジネスへ移動したり、3つくらいを掛け持ちしていたりする。挙げ句に自己破産となる。「統一教会に騙された」というのと全く同じ構造だということに気づかない。

 

 「ネットワークビジネスセミナー」というのは良くできている。何度も受講したことがあるのだが、さすが「末日聖徒イエス・キリスト教会」の人間が考え出しただけあって、音楽の演出などを含め、非常にツボを押さえていて、感動させられるのである。なんてところに感心していると、「後藤さんには上のクラスは不要です」と言われたり、講師とサクラの8人に囲まれて挙げ句、「だれ、この人を連れてきたのは?」なんてオチになることばかりだ(笑)。

 まぁ、「アセンション(次元上昇)」したいという方々には、辛酸なめ子氏が著した
『次元上昇日記』をオススメしたい。辛酸なめ子氏が毎日のようにセレブやスピリチュアルな現場を取材し続け、どうやったら「次元上昇=アセンション」できるのかを考え続け、「小難しい本を読むより、猫を5分間撫でている方が真理に近付ける」と認識、善行というマイレージを貯めることこそが、個人の次元上昇を達成する方法だと気づく。そのおそるべき試行錯誤、抱腹絶倒の記録が綴られているのだ。これぞ真理といえる一冊である。

 

 

 単純にカタカナばかりの説明が多いスピリチャル系はまだいい。だが、「言霊は日本人に根づいている歴史的文化、身近なスピリチュアルな力」だとか「言霊は、現代での呼び方に言い換えると、”引き寄せの法則”や”アファメーション”です」などと言う方が最近増えている。まぁ、ある意味間違いではないのだが、どうも本屋のスピリチュアル系コーナーの棚に並んでいる書籍のタイトルみたいな言説ばかりでピンとこない。こういう人を勝手に「言霊スピリチュアリスト」と呼んでいる。
 

 「アファメーション」のことを知りたければ苫米地英人氏の本を読めばいい。へんてこりんな脳機能学者とは違って、知能指数が「計測不能」のDr.苫米地の本では、言葉が脳に与える影響を学べる。とは言いつつも、カーネギーメロン大学の天才学者なだけに、一般人には理解を遥かに超えた内容も書かれており、実際、御本人は理解不能なことを平気でされる方だ(笑)。天才の考えというのは、われわれのような低能な人間には理解が及ばないことが多いし、実践できない場合が多いことを前提にDr.苫米地の本を読まないと、バカな自分が嫌になるだけだから注意が必要だ。

 

 

 苫米地英人氏の本を勧めているのではない。「X(Twitter)」で、Dr.苫米地の本をオススメしている人たちには熱狂的な「苫米地信者」の方、もしくはDr.苫米地のコーチングを受けた方が多い。統一教会問題が出た時に、筆者が「X(Twitter)」で、苫米地氏の「人はなぜ、宗教にハマるのか?」など、洗脳の怖さを記された本を勧めたところ、御本人がリツイートしてくれてしまったがために、その後1週間くらいDr.苫米地信者の方々のリツイートといいねが止まらなかったことがある。

 

 筆者は「あなた方こそハマってますね」という皮肉を込めてツイートしたつもりだったのだが、逆に「素晴らしい!」などと勘違いされたコメントを多く送られて困ってしまった記憶がある(笑)。人間は何かにハマると回りが見えなくなり、他人の言う意見に耳を閉ざしてしまう。すると沼にハメられているというパターンとなる。まさに宗教である。


 「言霊:コトダマ」は、自分を強く肯定する言葉の力を使って目標に近づいていく、という自己実現の手法の話なんかではない。「言霊:コトダマ」とは呪術である。それも大和民族にしか使えない恐ろしき呪術なのだ。それを理解せずして、「言霊のパワー」などと言っている時点で駄目だ。それは「神社はスピリチャルパワーがいっぱい」などと勘違いしている人も同様だ。こうした人達は、自分たちが「きわめて奇妙だ」ということに気づいていない。実は、それこそが「言霊」の正体である。

 

 

 「スピリチュアル・ユーチューバー」「スピ系YouTuber」などと自称している人が急増しているが、そんな「名前」を自分に与えた瞬間に駄目だということに気づいていない。中には「スピリチュアル詐欺ユーチューバー」などもいる。要は答えの出せない話で騙して金を巻き上げるという下衆のことだ。まぁユーチューバーの8割は自己承認欲求の塊、もしくは金の亡者である。さらにそこに「スピリチュアル」を絡ませることはしてはならない。

 

 こうしたスピリチュアルの投稿やら、都市伝説やら、「陰謀論」の意味を分からずに「陰謀論」やスピリチュアルを語ることで、逆に陰謀論者の仲間にはいっていることにすら気づかない人も多い。それにしても、いったいどれだけこの手の投稿があるのだろうか。世界広しといえど、自分たちがいかに奇妙なことをしているのかに気づかないでやっているというのは日本人だけだ。

 

<つづく>