本日の言霊 2023.12.14

 

 「茶道」では、なぜ大変な手間ひまをかけて、お茶を点てるのか。相手においしいお茶を召し上がってもらうには、お湯は熱すぎても、ぬるくてもいけない。ちょうどいい湯加減にするには、お茶を出すタイミングから逆算して炭を熾(おこ)し、湯を沸かす必要がある。

 裏千家の前家元の千玄室氏は、「作法とは準備と後始末に気を配ること」と言い切る。一つ一つの手順を追いかけることで、自然と心に余裕が生まれ、素直な気持ちで相手に美味しいお茶を飲んでもらえるという。そして、仕事は分担はしても、他人任せにはせず、率先することが大切だと言う。

 言葉では伝えられない思いを形にする。そのために「作法」がある。言葉はないが、魂を込めると、その思いは相手に伝わるということである。