「エノクの町」 とラピュタの謎 その6

 南北アメリカのインディアン、インディオは、みな古モンゴロイド系民族である。彼らの先祖は遠く氷河期の頃凍結したベーリング海峡を徒歩で渡り、ユーラシア大陸から北米大陸へとやってきたと言われる。それは約1万5000年前であるというが、この定説は既に崩れている。なにせ1万5000年前に人類が存在なんかしていないからだ。

 

 問題はユーラシア大陸における彼らの民族的ルーツは何かということだ。前回は生活習慣や宗教について書いたが、最も注目すべきは「言語」である。インディアンやインディオの言語は北米で200〜400、南米で450ほど確認されているが、なかでも最古のインディアンであるホピ族の言語は、「ユト・アステカ語」に属すると言われているが、このユト・アステカ語は古代セム語、とりわけヘブライ語に近いことが分かったのである。原ユト・アステカ語と原ヘブライ語の間には意味が同じ単語の音韻がきれいに音律対応するという。つまり単に似ているのではないことを意味している。

 

インディアン(アメリカン・ネイティブ)

 

 もしインディアン、インディオたちがヘブライ語を話していたとするならば、ホピ族も、南北アメリカ大陸、さらに太平洋のポリネシア人も含めたネイティブ・アメリカンは全て古代イスラエル人の末裔だったということである。なぜなら、ポリネシア人の話すハワイ語、タヒチ語、ラパヌイ語、マオリ語、サモア語、トンガ語などは互いによく似ており、オーストロネシア語族とされているが、これらの元は全てヘブライ語だからである。

 

◆鳥の羽を持つホピ族の神「マサウ」

 

 古代アメリカに渡ったイスラエル王国の末裔たちである「ヤ・ゥマト」=「ヤハウェの民」は、後に「インディアン」と呼ばれることになる。彼らはユダヤ人ユダヤ教徒であったが、「大地の星」と呼ばれる「赤い星」に導かれ、現在の居住地にまでやってきた。生活スタイルは古代イスラエル王国時代の様式を継承しつつも、男性も女性も「鳥」を神の遣いとしている。「鳥」は原始キリスト教のシンボルである。

 

 
 

 ホピ族の預言者は「鳥」の被り物で顔を隠す。その預言者に仕える人たちも同様に仮面のような被り物で顔を隠す。その姿はまるで裏神道秘密結社「八咫烏」を思わせるような出立ちである。現代のホピ族の女性たちは派手な衣装を身にまとう。それは「太陽と羽」とわれるもので、太陽神と羽のついた神を示したものである。

 

ホピのアート:太陽と羽

 

 古代インカ帝国では、宇宙の創造神をヴィラコチャと呼び、ティワアナコの「太陽の門」には、羽を生やした鳥人たちに囲まれたヴィラコチャが地上へと降臨する姿が刻まれている。「鳥人の王」ヴィラコチャは羽毛の生えた白い創造神として知られるマヤのククルカーン、アステカのケツァルコアトル、ボリビアのボチカなどと全く同じ神で、これはホピ族が崇拝する「創造神マサウ」のことである。彼らインディアンやインディオに共通するのは「鳥の羽を持つ白く輝く神」なのである。

 

 ホピ族の創造神マサウとは何か。それはホピ族の神話に登場する。ホピ族の神話には、これまで4つの時代の世界があったという。最初の世界は「トクペラ(無限宇宙)」といい、創造主「タイオワ」のみが存在したとしている。

 

 ●第一の世界

 最初の世界は「トクペラ(無限宇宙)」といい、創造主「タイオワ」のみが存在した。
 タイオワは甥に当たる絶対神「ソツクナング」を創造。ソツクナングはタイオワの命を受けて、9つの宇宙と太陽や月、そして地球を創った。
 地球には、同じく創造された「コクヤングティ(くも女)」を置き、その彼女は双子の神を産み、それぞれ「ポカングホヤ」を北極、「パロンガウホヤ」を南極に遣わして、地球の自転を支配させた。次にコクヤングティは赤、黄、白、黒色の男を創造。続いて同じく赤、黄、白、黒色の女を創った。
 8人は動物たちと共存して、素朴な暮らしを続けた。やがて人間に子供ができ、どんどん増えていった。が、人数が増えると、いつしか神を忘れる人間が現われ、どんどん堕落していく。
 事態を憂いた絶対神ソツクナングは、第一世界からトクペラを滅ぼすことを決心。心正しいひと握りの人間を選ぶと、コクヤングティに命じ、彼らをアリ人間と共に地中に避難させた。準備が整ったところを見計らい、ソツクナングは天から火を降らせ、大地から火を噴き立たせ、地上をことごとく焼いて浄化した。

 ●第2世界

 こうして第2世界「トクパ(真夜中)」がはじまった。
 避難していた人類は地上へ出てきて、新しい大地に広がった。彼らは働いた。汗水たらして働き、手工芸品や建築を生みだし、家や村を作った。が、物が豊かになると精神が荒廃し、再び人間は神を忘れる。背徳が支配し、悪がはこびった。
 絶対神ソツクナングは失望し、また地上を浄化させることにする。正しい人々をアリ人間と一緒に地中へ隠すと、今度は両極にいる双子の神に命じ、持ち場を離れるように命じた。すると地球の地軸は乱れ、ついに極移動ポールシフトが発生。地上の気候は激変し、天変地異が来襲。ついに、地上にいた人類は滅亡した。

●第3世界

 第3世界「クスクルザ」の始まりである。
 持ち場に戻った双子の神により、地軸は安定を取り戻し、地上は平穏を取り戻す。地中から出てきた人類は、再び地上に上がり、次々に町を建設、大きな国家を形成するまでになる。が、堕落を避けることはできなかった。
 人々の心が荒廃していく様子を目の当たりにした絶対神ソツクナングは、この世界も終わらせることにする。
 計画を知らされたコクヤングティは、大きな葦を切ると、そのなかに正しい人間と食料を入れた。全てが完了すると、地上を未曾有の大津波が襲来。あっという間に、凄まじい大洪水が人類と国家を次々と飲み込んでいった。

●第4世界

 第4世界「ツワカキ(完全世界)」の幕開けである。葦から出たとき、そこは高い山の頂だった。
 人々は鳥を使って、乾いた地面が現われたことを確認。葦で船を作ると、島から島へ、そして最後に巨大な大陸にたどり着いた。
すると、そこに絶対神「マサウ」が姿を現した。
 マサウは第4世界の支配者で、大陸へ来た人々を取りまとめると、集団ごとに移動せよと命じる。曰く、定住の地を見つけるまで、それぞれまっすぐ進め。大陸の端に至ったら、今度は曲がれ、と。


 現在、ホピ族が住んでいるアメリカ南西部を中心として、人々は四方に移動。海岸まで達すると、進行方向に向かって右に曲がったものと、反対に左に曲がったものがいた。全体から見ると、それは巨大な卍を描いていることになる。実は、このとき絶対神マサウは、人々に向かって「星に従って進め。星が止まったところが定住の地である」と述べている。

 

ホピ族の創造神マサウ

 

 ホピ族の神話に登場する「4つの世界」を「聖書」に照らし合わせるならば、凄まじい大洪水が人類と国家を次々と飲み込んでいった「第3世界」とは、紀元前2344年に起こったとされる「ノアの大洪水」による滅亡のこととなる。さらに、その葦で作った船は、高い山の頂に打ち上げられて、「鳥」を使って様子を見させたという部分は、「旧約聖書」の「創世記」でいう、アララト山に漂着し、放った鳩がオリーブの枝を加えて戻ってきた場面とそっくりである。

 

 ノアと3人の息子たち(と4人の妻)から始まる「新世界」が、ホピのいう「第4の世界」のはじまりである。その第4の世界は、絶対神マサウの支配する世界だと言っている。ホピ族含めた、アメリカインディアンたちは、一見それぞれの地によって別の神を信奉しているようにも見えるが、全ての神々は、大霊「グレートスピリット」の顕現である。つまり絶対神マサウも、グレートスピリットの一つの姿なのである。


絶対神マサウ=大霊「グレートスピリット」

 さらに、ホピの伝説には、
「遠い昔に分かれた白い肌の兄弟で、近い将来ホピ族の前に現われる」というものがある。この白い肌の兄弟のことを、「白い兄弟パハナ」という。現在の第4世界は、「絶対神マサウ」に導かれ、終わりが来た時に、ホピ族にとって兄弟である「白い兄弟パハナ」が再び戻ってくる、という世界観は、名称こそ違えど、他のインディアンやインディオたちにも同様の伝説が残されている。マヤのククルカーン、アステカのケツァルコアトル、ボリビアのボチカ。すべて「鳥の羽を持つ白く輝く神」なのである。

 第4世界の支配者マサウは人間たちの前に姿を現し、そして導いた。マサウは創造主タイオワに仕えるとともに、人間の守護者ででもあった。そしてマサウは自らのことをこう称している。
「最初であり最後である」

 見よ、わたしはすぐに来る。わたしは、報いを携えて来て、それぞれの行いに応じて報いる。わたしはアルファであり、オメガである。最初の者にして、最後の者。初めであり、終わりである。(「ヨハネの黙示録」第22章12-13節)
 

 イスラエルの王である主、イスラエルを贖う万軍の主は、こう言われる。わたしは初めであり、終わりである。わたしをおいて神はない。(「イザヤ書」第44章6節)

 

 お分かりだろう。古代アメリカ大陸においてインディアン、ホピ族を導いた創造神マサウの正体とはイエス・キリストなのである!イエス・キリストが彼らの前に現れ、彼らを導した。そして「再び戻ってくる」と言い残して天に去った白い神だったのである。

 

創造神マサウ=イエス・キリスト

 

 マサウはイエス・キリストだった。だが、彼らは先祖を導いた「赤い星」を「大地の母」と密かに呼ぶ。イエスを「鳥」として象徴的に描くことはあっても、星としては描かない。なにより絶対神マサウは、人々に向かって「星に従って進め。星が止まったところが定住の地である」と述べているのだ。イエス・キリストが言った「星」=「大地の母」とはいったい何のことなのだろうか?

 

 

<つづく>