自我を持つ生命圏「太陽系」の謎:その2
6月5日の深夜にまたも昆虫を食べさせる番組を放送していた。「終電に乗って終点へ 京浜東北・根岸線「大船駅」~完結編~」というくだらない番組で、中岡創一(ロッチ)という昆虫NGのお笑いタレントに無理やり昆虫を食べさせるという極悪非道な番組である。
「SDGs」=環境を守ろうなどという大嘘をTVでは平然と流し、タレントにゴキブリ同様の昆虫を食べさせて喜んでいる。これは殺人を助長する行為で完全な犯罪である。それを面白がっている視聴者も同罪である。まぁ「SDGs」を本気で信じさせ、それこそがエコロジーと信じてしまう人たちもまた、「エコロジー真理教」なる宗教を崇拝している偶像崇拝者であるが。
「エコロジスト」という言葉がある。池田光穂氏は「エコロジスト」を以下のように解説している。
「狭義には専門の生態学者のことをさすが、自然保護主義者あるいは環境主義者という意味もある。学問としての生態学(Ecology)は、ドイツの生物学者エルンスト・ヘッケル(Haeckel, E.)が1866年に生物の生計・生活・環境生理の学問として提唱したことにはじまる。他方、主義としてのエコロジーは1970年代の環境汚染問題や自然保護運動の高まりのなかで、学問的な生態学の影響を受けながら登場した。現代社会における生態学的知識の広がり、自然保護や環境主義運動の展開のなかで、エコロジストは学問的な裏付けのもとで研究したり行動したりする人びとの一般的な呼称になった」
日本においても「エコロジスト」を自称する人たちの問題は、「地球は自我を持つ存在」だということに気づいていないことにある。ここに落とし穴がある。地球上の生き物で「自我」を持っているのは 人間・チンパンジー・オランウータンの3種類のみという暴論があるが、とんでもない話だ。それこそ人間の「傲慢さ」を象徴する話で、いったいどうやって「自我」の有無を調べたのか?「科学」というものをまるで万能な思想ごとく考える傲慢な人間の自我が勝手に導いた結論である。
◆「ガイア理論」
NASAで働いていたイギリス人の科学者ジェームズ・ラブロックは、地球を一種の超個体として見た「ガイア理論」の提唱者で、これは生物は地球と相互に関係し、自身の生存に適した環境を維持する為の「自己制御システム」を作り上げているとする仮説である。
ジェームズ・ラブロックと著書『ガイア』
生命システム論をある種の「巨大な生命体」と見なすものだが、ガイア理論は科学的な理論としては今日でも受け入れられていない。ラブロックはこの理論を「自己統制システム」と命名したが、作家のウイリアム・ゴールディングの提案で、ギリシア神話の女神「ガイア」へ変更した。 この理論では、地球は一個の生命体であるというものから、生物によって地球表層環境が変化したというものまであり、多くの科学者は議論から距離を置く理由となっている。
ガイア理論では、地球が生物として内部環境を一定の状態に保ちつづけようとするホメオスタシス= 恒常性を持つ存在であることに注目、地球上の生物すべてが相対的に一つの生命圏を形成していることを突き止めた。だが、生命の自然淘汰がどのように環境に影響を与えるかが不明だとしてアカデミズムは批判。今日の気候学では、大気、海洋、陸水、氷雪、生物の相互作用を包括的に取り扱う理論(地球システムモデル)を展開。「ガイア」という言葉が独り歩きして、「ガイアを救え」という地球保護のスローガンとなっている。
人体のホメオスタシス
ラブロックがいう「ガイア」は、あくまでも「地球生命圏」としてのガイアで、地球が生物だとは言っていない。ここがポイントだ。同じ機能を持つ存在だといっているだけで、「地球生命体ガイア」とは、あくまでも思想的なテーゼにすぎない。一番大切なのは「地球は生物なのか否か」。この問題で最大のネックになるのは「自己複製」である。
生物は子孫を残す。生物は生物からしか生まれない。もし、地球が生物であるならば、親がいるはずで、かつ子供を作ることができるはずである。今日の天文学の常識からすれば、地球を生み出した天体があり、かつ天体を生み出すことなど、まったくありえないとなる。惑星とは恒星を中心としたガズ円盤が集積し、小惑星が集まって大きな惑星になっていくものだと考えるからである。
◆生物の定義とホメオスタシス
生物とは何か。この定義は難しく、現在、生物学者の間で合意をみているのは以下3つのことである。
①外と内を区別する境をもっている
②外と内で、物質やエネルギーのやり取りがある(=開放系)
③自己複製する能力がある
但し、③は必要条件ではなく、幼年期や老年期、病気その他の障害などによって、これを有しない場合があるからである。「エントロピーの法則」に従えば、この世は秩序だったものから、やがて無秩序の状態へと変化する。エネルギーは高いところから低いところへと流れるため、自然界は必ず均等、均一な「平衡状態」になろうとする。これは絶対的な法則で、宇宙はやがて熱いところも寒いところもなくなり、均一な生ぬるい状態に至る。分かりやすい例えでいえば、片付けをしないと、やがて自分の部屋も自分の住まいもやがて「ゴミ屋敷」になってしまうということだ(笑)。
「エントロピーの法則」
地上も最終的には高い山も深い谷もなくなり、平坦な地平線が続いて、エネルギーのやりとりもなくなる。全ての活動が不可能な状態を「ヒートデス=熱死状態」と呼び、エントロピーの法則とは、この宇宙がヒートデスに向かって進んでいることを保障しているが、生命は成長して自己組織化していく。均一ではなく複雑になっていく。エントロピーの法則が適用できないものが開放系である、外界とのエネルギーのやり取りがある場合、エントロピーは減少するのであり、生命はこの開放系なのである。
開放系のシステムでは秩序が保たれ、かつ複雑になり、さらには開放系は生命の重要な特徴「ホメオスタシス」を持つ。簡単にいえば「同一状態を保つ」ことである。全ての生物には生命活動を維持するために、体温やミネラル濃度を一定に保とうとする働きがあり、それが発汗作用などの恒常性=ホメオスタシスである。つまり恒常性=ホメオスタシスをもつことが生命である条件なのである。
恒常性=ホメオスタシス
全ての活動が不可能な状態である「ヒートデス=熱死状態」とは「熱的死」(ねってきし)とも表現されるが、「熱的死」とは、宇宙の最終状態として考えられうる状態で、宇宙のエントロピーが最大となる状態を指す。宇宙が熱的死に陥るとするという考えは、「孤立系のエントロピーは増大する」という熱力学第二法則から導かれる。宇宙で無限の時間が経過すると、全てのエネルギーが均等に分布する状態に漸近的に到達すると考えられるからだという。
宇宙内部の環境は、我々が知っているような生命が存在できない状態にある時点で落ち着くと考えられる。現代の物理学の観点から考えられる「宇宙の終わり」(宇宙の熱的死)の可能性について、海外メディアのcuriosityは以下のように説明している。
宇宙の温度は均一ではなく、高い温度の場所もあれば、低い温度の場所も存在します。「熱は高い温度から低い温度へ移動し、その逆は成立しない」という熱力学第二法則に基づいて考えた場合、長い目で見ると宇宙全体のエネルギーは均一に近づいていくといえます。宇宙全体のエネルギーが均一になるということは「何も現象が起こらない」という「宇宙の熱的死」を意味します。この説は「宇宙全体のエネルギーが有限である」「宇宙が永遠に膨張し続ける」という考えが前提になっています。ただし、宇宙の有限性は証明されていないため、必ずしも宇宙が熱的死を迎えるとはいえません。
「宇宙の終わり」(宇宙の熱的死)?
世界のエコロジストたちが心配するように、「地球温暖化」と呼ばれる現象は地球に「終わり」をもたらすのだろうか?そして、それは「地球の熱的死」ということなのだろうか?
<つづく>