日本のポップ棚から1枚:不思議なピーチパイ

 

 「不思議なピーチパイ」/ 竹内まりあ

 

 今から43年前の1980年5月にヒットしていた曲といえば、竹内まりあの「不思議なピーチパイ」である。なぜかGWの頃になると毎年聴きたくなる不思議な曲だ。きっとピーチが好きなのかもしれない(笑)。

 

 

 「不思議なピーチパイ」は、まりやの4枚目のシングルで、1980年2月5日にRCAより発売された。マリアンが出演していた資生堂化粧品の'80春キャンペーンCMソングとして使用された曲だ。レコーディングの際、スタジオに来た作詞者の安井かずみが「まりや、この曲はあなたの声にぴったりのポップスだわ!」と語った通り、この曲は竹内まりあ初めての大ヒットとなった。デビューシングルも作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦の夫婦コンビだったから、要所でこのお二人にはお世話になっているのだ。


 チャートアクションでは最高3位まで上昇するロング・ヒットを記録し、最終的な累計売上は39.2万枚に達したらしい。ちなみにB面の「さよならの夜明け」は、まりあが作詞、作曲は山下達郎が手掛けている。この「不思議なピーチパイ」が収録されたアルバム『Love Songs』のジャケットは本当にデザインが秀逸だ。被写体の竹内まりあ自身がモデルのような容姿をしていたから成立したのだろうが、白と黒という鍵盤に見立てているあたりも素晴らしいセンスだ。
 

 

 

 上の写真は筆者が当時のFM雑誌「FM fan」の表紙を切り取っておいたものだが、やはり構図が素晴らしい。

 

 アルバム『Love Songs』は、1980年3月5日発売され、これまたまりあの永遠のヒット曲「SEPTEMBER」も収録されている。初のアルバム・チャート1位に輝いたサード・アルバムで、それまでの加藤和彦、山下達郎、杉真理といった豪華な作家陣に加え、松本隆も参加している。タイトル通りいろいろなラヴ・ソングが詰まったいいアルバムだ。

 

 

 こちらの写真は音楽誌に掲載されていた「Love Songs」の広告。当時の達郎さんの広告とは比べ物にならないいい出来だ(笑)。やはり売れることは大切だ。

 

 下の写真は、多分「Love Songs」を買った時のおまけだろうと思う。ここでも「白と黒」で徹底されているあたりがとてもポップなのである。最近のアーティストの服装は「よく分からない」か「貧乏くさそう」が主流だ(笑)。もはや上から下までで50年分がミックスされたような服を着ていたりするので、「何がしたいの?」と心の中でつぶやいてしまう。

 

 

 2010年の12月、10年ぶりに開催された本格的ライブである『souvenir again』の武道館公演では、「不思議なピーチパイ」はアンコールで歌われた。じいさんばあさんのファンも立って歌っていたが、こんなに明るくて楽しい「不思議なピーチパイ」なのに、なぜか竹内まりあは涙していた。思わずこちらも泣きそうになった(笑)。

 これからもお世話になる名曲である。