終末預言と「偶像崇拝」の謎:その17
「犬ども、魔術を行う者、不品行の者、人殺し、偶像を拝む者、好んで偽りを行う者はみな、外に出される。」
(「ヨハネ黙示録」第22章15節)
アメリカのキリスト教会、バチカン、イギリス国教会と海外のキリスト教では皆、トップの人間たちが「ワクチン接種」を呼びかけた。「狂牛病プリオンタンパク質」が入ったワクチンがなぜ「偶像崇拝」になるのかだか、もともと狂牛病(BSE)が発生した原因は「共食い」である。粉末にした牛骨粉を入れた飼料を食べさせた牛の脳が溶け始めたのである。こんなものを混ぜたワクチンを接種させることは即ち殺人で「十戒」の「殺してはならない」に反するばかりか、そんな殺人ワクチンを、さも神から与えられたかのように「希望の光」などと言ってしまうローマ教皇は、「偽証してはならない」という戒にも反する。まぁ「俺たちはキリスト教徒だから関係ない」と言い張るだろうが。
金の子牛像を崇めるひとたち
「偶像をつくってはならない」という根本教義に反し、宗教界はこぞって「牛の象徴」であるワクチンの接種を推進している。これぞ世界をバアル神の信奉者=悪魔教徒に変える行為だということを理解しているはずなのに、である。もはや確信犯ということなのだが、偶像崇拝を厳しく禁じているイスラム教の国々ではどうなったのだろうか。なにせワクチンはイスラム教が禁じる豚由来の含有成分が入っているからだ。
◆豚由来の成分が含まれるワクチン使用はハラムか
イスラム教では、「イスラム法」(シャリーア)に基づいて、「法学者」(ウラマー)がハラム違法か否かを判断、イスラム共同体の人々に「ファトワ」(宗教見解)を示す。文盲の人が多かったイスラム圏では、政治より宗教のトップがずっと国の上に立つ体制を敷いてきたため、宗教見解がなによりも優先され、「イスラム法」の目的である、宗教、生命、子孫、理性、財産の5つを保全することこそが最重要なのである。
イスラム教では、飲食物や医薬品など信者が摂取するものは、すべて「ハラル」(合法)でなければならない。ワクチンに、イスラム教でハラムとされる豚に由来する成分が入っていないか、製造過程で用いていないか、が議論の焦点となった。ワクチンを製造したファイザー(米国)、モデルナ(米国)、アストラゼネカ(英国)の広報担当は、ワクチンに豚由来の成分は入っていないという。もちろん嘘で、インドネシアのハラル認証機関は、アストラゼネカとシノファーム(中国)のワクチンには豚由来の成分が確認されたと発表。よって豚由来の成分が関わっているワクチンの接種について、イスラム法学者の見解が分かれた。だが、ハラムであっても自身や他者の「生命の保全」が優先される傾向が強かったようだ。
イスラム教徒を抱える56カ国とパレスチナが加盟する「イスラム協力機構(OIC)」は、世界に推計19憶人(2020年)とされるイスラム教徒をほぼ網羅している。その法学機関として1981年に設立されたIIFA(サウジアラビア・ジェッダ)は、2021年2月の会議で、「新型コロナウイルスのワクチンの成分と製造過程には豚やヒトに由来する成分は含まれておらず、イスラム法に基づいてワクチン接種を認める」と結論づけた。さらに、政府が接種を義務化した場合には、公益を守るために推奨しているので、ワクチン接種は必須であるとした。会議では、世界中のイスラム教徒に、イスラム法の目的の一つである「生命の保全」のために、自国の政府や地域の保健当局の指示に従うよう呼びかけた。
世界最多のイスラム教徒を抱えるインドネシア(人口約2.7憶人の86.7%がイスラム教徒42)では、2021年1月の接種開始数日前に、ハラル認証機関であるインドネシア・ウラマー評議会(MUI)がシノバック(中国)のワクチンをハラルと認定、ジョコ大統領が第1号として接種して、ワクチンの効果と安全性をアピールしている。だが、2月の世論調査では41%が「接種を拒否」と回答し、「ハラル製品しか接種しない」が82%に達したのだ。要は政府の見解を信じていないということだ。
MUIは3月に到着したアストラゼネカ(英国)のワクチンについて、製造過程で豚の成分が使われているためハラムだが、代替できるハラルなものが十分になく、緊急性を要するときに用いることは認めるとした。アストラゼネカのワクチン接種第1号には、イスラム教徒が94%を占める東ジャワ州のイスラム指導者が選ばれたが、東ジャワ州のイスラム学校長は、ハラムであるものを使用許可したことに反発し、同校教師1000人に接種を禁じた。
ジョコ大統領が第1号として接種
MUIはまた、4月のラマダン(断食月)を前に、ワクチン接種は筋肉注射であるため水分の接種には当たらず、断食には反しないとのファトワを発している。さらに、断食をしている日中は体力が落ちて接種後に異変が起きる可能性があるとして夜間の接種を推奨した。これは「解釈の拡大化」で政治状況を乗り切ろうという決断をしたということだ。なにせインドネシアは、感染者が多かったからだ(421.8万人、死者約14万人、10月3日時点)。8月には世界の新型コロナウイルス感染症による死者の8人に1人が同国人だった。
インドネシアでワクチンを忌避する背景には、過去の問題がある。発端は2002年にサウジアラビアがイスラム教の聖地メッカへの巡礼者に髄膜炎のワクチン接種を義務化したことである。インドネシアからの巡礼者は「グラクソ・スミスクライン」(英国)のワクチンを接種したのだが、2009年にMUIは、豚由来の成分が含まれていてハラムであるとして、サウジアラビアに巡礼者への接種を強制しないよう要請しつつ、2010年には「ノヴァルティス」(スイス)と「Tian Yuana」(中国)のワクチンをハラルと認定。だが、この「ノヴァルティス」のワクチンも製造過程における豚由来の成分の使用が疑われ、ハラムである豚の入ったワクチンを接種したくないと巡礼を取りやめる人が続出したのである。宗教的な禁忌を破ってでも聖地巡礼を取るか否かという話である。
◆アラブのイスラム教国
アラブ首長国連邦(UAE)では、ワクチンがハラルであるかについての関心が高まり、UAEのファトワ協議会は2020年12月に、生命の保全を目的とするイスラム法と、関連するイスラムの規範に則って、ワクチン接種を許可する宗教見解を示た。また、新型コロナウイルスが強力な感染症で、生涯続く後遺症や死をもたらし、ウイルスを防ぐ唯一の方法がワクチンであるということから、「ワクチンにハラルでない成分が含まれていても使用することができる」としている。
エミレーツ航空の特別遊覧飛行
UAEのエミレーツ航空は、国内での約900万回のワクチン接種が完了した新型コロナワクチン接種プログラムの目覚ましい進展を記念して、2021年4月10日に一回限りの特別遊覧飛行を実施した。特別便による遊覧飛行は、ワクチン接種済みの乗客約400名と同じくワクチン接種済みの乗務員のみが搭乗、業界内でも前例のない規模で、エミレーツ航空の空の旅再開に向けた自信と客からの期待を乗せて運航されたという。ちなみにUAEの人口100人あたり累計接種回数は202.4回と、2位のチリ(166.8回)を引き離して世界第1位となっている(2021年10月1日時点)。
エジプトでは、2020年12月にファトワを発するイスラム教最高権威機関「ダール・アル・イフタ」が、新型コロナウイルスのワクチンはハラルであるとし、ワクチン接種は国内居住者の宗教的義務であるとした見解を出した。また、「ワクチンに豚由来の成分が含まれていたとしても、製造の際の化学変化で豚の不浄なものが取り除かれるので、イスラム教徒が接種してもよい」と許可している。エジプトはイスラム教スンニ派だが、最も厳格なスンニ派の大国であるサウジアラビアでは、人材社会開発省が2021年5月に公的・民間を問わず労働者にワクチンを義務化すると発表、8月1日から王国内のすべての施設への入館や公共交通機関の利用に免疫獲得(ワクチン接種もしくは感染症後の回復)が必須となった。また、2021年7月に行われたイスラム教の聖地メッカへの大巡礼は、2020年に引き続き、同国民と国内居住者に限定。2020年は国内居住者1000人程度限定したが、2021年にはメッカへの巡礼者は新型コロナウイルスのワクチン接種完了者または抗体保有者で基礎疾患がない18~65歳とされ、人数は6万人に拡大されている。
サウジアラビアとはスンニ派とは敵対関係にあるシーア派国家イランでは、宗教よりも政治が前面に出た。2021年1月に最高指導者ハメネイ師は、「米英ワクチンを信頼していない。米国人がワクチンを作れるのなら、米国でコロナ禍は起きていないはずだ」と米英のワクチンの輸入を禁じた。反米姿勢が明白なハメネイ師は2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大は「米国の生物兵器攻撃かもしれない」とツイッターに投稿している。世界の宗教家で、ここまでハッキリ真実を語っているのはハメネイ師だけである。
イランの最高指導者ハメネイ師
イランは米国から経済制裁を受けているが、ロシア、中国との関係は悪くない。2月にはロシア製ワクチン「スプートニクV」の接種が開始された。とはいえ、2月時点で国際的なワクチン供給の仕組みであるCOVAXを通じてアストラゼネカ(英国)のワクチンの受け取りは決定済みで 、4月には第1弾が到着している。一方で国産ワクチン5種の開発も進められ、6月には純国産ワクチンの緊急使用が承認され、ハメネイ師が接種している。問題はこの原種が何かだか、それは不明である。
イランでは8月1日の時点で接種完了者が人口約8300万人の3.3%と少なく、感染症の被害は中東では最も深刻だった。8月16日の保健省の発表では感染者が累計446.7万人、死者9万8483人にのぼっていた。このため8月12日にイラン食品医薬品局は、米英企業が開発したワクチンであっても、米英以外で生産されたものは輸入可能と、方針転換を図ったのだ。こうした方針の変化を見ていると、世界のどの国も次々と圧力に屈していったことが如実に分かる。まさに地球規模のホロコーストだということだ。
面白いことに、世界情勢には従わず、「少なくとも1回接種した人の割合」が1桁という国が存在する。但し、2022年10月28日時点の数字で、北朝鮮は不明だが、「セネガル:9.3%」「マダガスカル:6.3%」「コンゴ民主共和国:6.4%」「カメルーン:6.1%」「パプアニューギニア:4.0%」「ハイチ:3.2%」「イエメン:3.1%」、そして「ブルンジ」はなんと0.2%である!ロイターが出している分析によれば、2022年7月時点では「0.1%」だったから、0.1%は増えている。
ブルンジ共和国の位置
ブルンジは、ルワンダ、タンザニア、コンゴ民主共和国に囲まれた面積の小さな内陸国である。北に隣接するルワンダとは、言語・社会構造・民族構成・自然環境がほぼ共通で、独立前は、ベルギーの統治のもとで単一の植民地を形成していた兄弟国である。だが、大虐殺を経て、政治がある程度は安定したルワンダとは異なり、いまだにツチ人とフツ人の対立が解消せず政治は不安定で、世界の最貧国なのがブルンジなのである。要はワクチンは買えないという話で、そこに目をつけたのが中国である。中国が支援という形でワクチンを送っているのだ。
だが、まだ0.2%しか接種していない。世界保健機関(WHO)の集計によると、2022年8月時点で、人口13億人のアフリカでの累計感染者は約1100万人、死者は約25万人だった。一方、人口約1億2500万人の日本でコロナの死者は約2万2000人。アフリカでの人口あたりのコロナ死者数は統計上、日本と同水準にとどまり、欧米諸国と比べて死者の割合が桁一つ少ない。これは黒人種にはコロナは感染し難いということなのだろうか?
<つづく>