「ナチス・ドイツ」と「闇の預言者ヒトラー」 その9

 

 京都にあった秘密結社「緑龍会」に入会が認められた外国人の中でもカール・ハウスホッファーは別格の扱いを受けうが、それは彼が神秘主義者であり、実は裏の顔は「オカルティスト」だったからである。その顔を見抜き、八咫烏の一羽が古代からの奥義を授けたとされるのだが、この辺りについては飛鳥昭雄氏・三神たける氏の共著「失われた悪魔の闇預言者『ヒトラー』の謎」にしか書かれていない。

 

◆「闇の烏」と「謎の覆面男」の正体

 

 ハウスホッファーは1908年から2年間、ドイツ大使館付き武官として日本に滞在したが、来日前にはインドやチベットで諜報活動に従事しており、チベットではラマ僧から奥義を受けたと主張していた。故に、八咫烏の一羽から見せられた秘記の内容を理解し、日本は古代イスラエルの奥義を継承する国であることを確信したという。 ドイツ人であったハウスホッファーにとって、それを知った時の衝撃は計り知れないものだったに違いない。だが、真実を知ったハウスホッファーは、日本がいかに恐ろしい国であるかをドイツ政府に訴え、日独の同盟を結ばせる工作を行うことにある。しかし、この同盟の工作はハウスホッファー一人で行ったわけではない。別の人間たちがいた。五龍会の人間が密かにドイツに渡っていたのだ。わかっているだけで人数は7人

 

 八咫烏には掟がある。直接、政治に関わってはならない。裏で政治を動かすことがあっても、決して表に出てはならない。拠点はあくまで京都で、京都を出るに際しては、必ず「金鵄」の許可が必要だった。だが、時代は昭和となり、一部の血気盛んな烏たちは掟を破り、闇夜に乗じて京都を脱出。ドイツに渡り、預言の奥義を利用して、密かに政治的な工作を行った。八咫烏の組織を裏切った闇の烏はナチス・ドイツの幹部はもちろん、総統アドルフ・ヒトラーも動かし、ユダヤ人の民族殲滅ホロコーストにも関与する。イスカリオテのユダと同様、裏切り者の烏の中にもサタンが入ったのである。

 

 この7羽の闇の烏たちの頭目ともいえる存在が、戦後のベルリンの倉庫で偶然に発見され、顔に硫酸をかけて服毒自殺を図ろうとした謎の覆面男である。

 

「闇の烏」(出典「失われた悪魔の闇預言者『ヒトラー』の謎」)

 

 20世紀末、謎の覆面男の情報をつかんだアメリカ軍が男に接触を試み、アメリカに連行しようとしたが、衰弱していたためじつげんsたが何も語らなかったという。そしてひっそりとドイツで亡くなったという。この男は「失われた悪魔の闇預言者『ヒトラー』の謎」に収録されている飛鳥昭雄氏の漫画の中では、ナチスに関する最重要機密を日本語でこう語っている。

 

  「今のユダヤ人は偽物のイスラエルだ。本物のイスラエルは大和民族だけで十分だろう」

 

 漫画の飛鳥昭雄氏とのやり取りをしている設定となっているが、詳細は分からない。多分、詳細なことはその時が来るまでは明かすことはできないのであろうと思うが、闇の烏の主張は「自分たちこそ本当のユダヤ人であるから偽のユダヤ人は殲滅して何が悪い」ということである。

 

 この男が所属していた秘密結社「緑龍会」とは漢波羅秘密組織「八咫烏」政治を動かすためにが使った組織である。八咫烏は古代より連綿と続くイスラエル人の組織であり、決して歴史の表には出ることはない存在である。

 「八咫烏」は日本人だが日本の国民ではない。戸籍がないからだ。だから日本の法律では裁くことはできない。これは天皇家も同じである。だが、たとえ戸籍がなかろうと、ナチス・ドイツを作り、第2次大戦を起こさせ、さらにホロコーストを導いたのが「八咫烏」に一羽だったという話を知った時の衝撃は強すぎた。普通の人なら「ナチスを作ったのは日本人?」なんて話は信じることはできないだろう。

 

 しかし、八咫烏は人類史の中で太古より続く組織であり、人類史と預言の奥義を知り尽くしている一族である。「フリーメーソンの真実」でも書いたが、聖書を作り、その預言の奥義を極東イスラエル「日本」に封印した人間たちである。だからこそ将来起こることを理解していた血気盛んな七羽の「闇の烏」たちは、逆説的に預言を成就させるべく、行動を開始したのだ。

 呼び方は「ディープステート」「ルシフェリアン」など色々あるが、「世界統一政府」を作って人類を5億人にまで減らそうとする連中も、聖書の「預言」を逆に利用して、早く「ハルマゲドン」を起こしたいと考える。それが彼らの神=悪魔に祝福されると考えているからだ。その意味では、この「闇の烏」たちが行ったことは、世界をハルマゲドンに向かわせるための準備だったとも言えるが、唯一と異なるのは、「ディープステート」「ルシフェリアン」と呼ばれる勢力を「偽のユダヤ人」と喝破している点である。

 

 偽のユダヤ人、つまり外側は白人系のユダヤ人だが、中身は「カナン人の末裔」だということを理解していた八咫烏たちが、どうせハルマゲドンの際には神に殲滅されるのだから「早く始末してしまおう」とハウスホッファーを動かし、ヒトラーを育て、ナチス・ドイツを作らせ、偽のユダヤ人たちをホロコーストで殲滅してしまおうと考えたのだ。

 古代イスラエルを建国した際、ヨシュアは「カナン人」を全滅させなかった。それによって、現在も世界はカナン人の末裔であるロスチャイルドやロックフェラーに苦しめられている。それが起きることを預言で理解していた「闇の烏」たちは、逆説的に預言の成就を早めようと動いたのかもしれない。この辺については飛鳥昭雄氏・三神たける氏も著書で特に触れてはいないが、八咫烏の一族は古代イスラエル人のレビ人の末裔だからこそ、「闇の烏」は先祖が討ち逃したカナン人を早く滅ぼそうとしたのではないだろうか。

 

 だが、非常に不思議なのは、たとえ八咫烏の指示に従ったとはいえ、ハウスホッファーは日本人のことを本物のイスラエル人=ユダヤ人だと理解していたのに、なんで有色人種の日本と、ゲルマン民族のドイツは手を結んだのだろうかという点だ。なにせ「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れている」という噂まであったのに、である。

 もしヒトラーに「偽ユダヤ人」の血が流れていたとするならば、「闇の烏」はヒトラーをナチスの総統にするだろうか?という疑問が残るのである。

 

◆ヒトラーの出自の謎

 

 ヒトラーが日本の紋付袴を着ている写真がある。「偽物だ」とか「合成だ」とかいろんな説があるのだが、正直分からない。ヒトラーという人物については不明な点がいろいろあるからだが、「闇の烏」がヒトラーを育て、ナチスを作ったのであれば、ナチスの紋章入の紋付袴を着ていても不思議ではない。

 

着物姿のヒトラー

 

 アドルフ・ヒトラーの出生の秘密とされるものには諸説ある。その一つはヒトラーの父親は私生児で、ヒトラーの祖母が家政婦として働いていた金持ちにはらまされたというもので、その金持ちというのが「ロスチャイルド」だったというものである。仮にロスチャイルドの血を引いていたのであれば、ヒトラーをナチスの総統にしたというのには合点がいく。

 偽のユダヤ人たちをホロコーストで殲滅してしまおうとしたことで、戦後、世界のユダヤ人達を結束させ、ユダヤ人たちが先祖の地へと帰還する「シオニズム」運動を加速させる要因となったからだ。都市に住んでいたユダヤ人たちにとっては、「なんで今さら砂漠に戻るのか」と考えた人も多いはず。イギリスがパレスチナの地を抑えていたからといっても、当のユダヤ人達が「パレスチナに戻らねば!」という強い動機がない限り、1948年のイスラエル建国にはつながらないはずだからである。

 

 このロスチャイルドの孫であるというのとは別の説が「ヒトラーはジョージ5世の庶子だった」という説である。この説はベンジャミン・フルフォード氏が、著書『ナチスの亡霊』の中で紹介している。この本のメインテーマは「ワクチン接種は人口管理と人種改良の秘密の人体実験場だ」というもので、ナチスの「優生思想」が現在まで続いていることを暴いている。
 

 

 ジョージ5世とは大英帝国最盛期の英国王で、ヒトラーがジョージ5世の庶子だったとすれば、ハノーバー朝の血脈ということになり、全てのヨーロッパ王族を結びつけて「ヨーロッパの祖母」と呼ばれたヴィクトリアのひ孫の一人ということになるのだ。つまり、ヒトラーの血の中には英国王室はもとより、ヴィクトリアの孫であるドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム2世、ロシア最後の皇帝ロマノフまでつながってくるのである。

 事実、ヒトラーの台頭にはイギリス王室は大きく関与していた。ジョージ5世の長子であるエドワード8世は、1937年の10月にヒトラーの招きに応じ、親密ぶりをアピールしている。これはNHKの「映像の世紀」でも紹介されている。

 

エドワード8世夫妻とヒトラー

 

 また、エドワード8世の跡を継いだジョージ6世は、当時のチェンバレン内閣にナチス・ドイツとの融和策を強く求めたことでも知られている。実は「兄弟」だったのであれば、これらのイギリス王室の動きにも合点がいくし、様々な謎が氷解するとフルフォード氏も指摘する。

 

 ナチスが「第三帝国」と称して神聖ローマ帝国の旧領土を次々と併合したのもドイツ皇帝ヴィルヘルムの血筋ならば当然のことであり、ヒトラーの異常なロシア侵略への執着も、ロマノフ家を潰したソ連への憎しみと思えば納得もいく。イギリスへの攻撃には手心を加え、戦勝国の地位も譲る。最終的にナチス・ドイツは瓦解するが、その代わりに戦後にナチスの兵器体系を引き継いだアメリカを「新たなるナチス」にするべく協力する、という密約があったとするならば、全ては一本の筋でつながっていくのである。

 

<つづく>