J-POP数珠つなぎ その241

「AMERICA」/浜田省吾

 

 

 

 
 「アメリカン」から「アメリカ」へ。
 
 突然、竹内まりやから浜省にはつながるとは思えないかもしれないが、お二人は1979年にTOKYO FMで『デンオン・ライブコンサート』というスタジオライブで共演している。浜省もまだ「風を感じて」のスマッシュヒット1曲でまだ売れてなかった頃の話だが、この時に二人は「テイク・イット・イージー」(Take It Easy)をデュエットしている。
 イーグルスが1972年に発表したデビュー曲で、グレン・フライとジャクソン・ブラウンの共作。もちろん二人ともジャクソン・ブラウンの大ファンだし、イーグルスのファンでもある。学生時代に影響を受けた音楽にはアメリカ西海岸の音楽があるからだ。
 

 

 

 たしかこの時のスタジオライブで浜省は「風を感じて」、「涙あふれて」、「片想い」なんかを歌っていて、まりやも数曲歌っていた記憶がある。カセットに録音したが、どこにしまったか分からない(笑)。こういう昔の番組を復活させて再放送くれたらすごく楽しいので絶対聴くんだけどなぁ…などと思うのは僕だけか。

 

 

 

 1986年9月に発売されたこの「AMERICA」は浜省の最高傑作かもしれない。歌詞がいい。ちょうど僕が住んでいた1984年のアメリカ西海岸が舞台だからだ。

 

 ロスからサンフランシスコへ続くフリーウェイを
 おれ達 ヒッチハイクした1984年
 あの娘はダンサー
  ニューヨークで 踊る日を夢見てた
 おれは ただ東京から逃れたかった
 We were lookin'  for America 映画の中のアメリカンドリーム 
 今も AMERICA
 あの娘の輝いてた瞳 思い出す

 

 泣ける。いま聴いてもグッとくる。いい曲だ。

 

 

 浜省は非常にプロテスト色の強いアーティストである。この曲もラブソングだがプロテスト・ソングでもある。両方の意味合いを込めている曲は最近は少ない。曲は素晴らしいが歌詞が刺さらないものが多い。ジジイだから刺さり難いのだろう(笑)。

 

 お父さんが広島で被爆し、アメリカへの憎しみの感情を持ちながらもアメリカのロックやポップスを愛してミュージシャンになった浜省にとって、アメリカは育ての父のような存在だ。その辺については名曲『J.BOY』と対になっていると思う。今のアメリカに憧れを抱く人はいるのだろうか?いい国だったのになぁ…