「フリーメーソン」の真実 その12

 後編:超古代フリーメーソンと闇の秘密結社

 

◆イルミナティとロスチャイルド

 

 1940年に公開されたナチス・ドイツによる「反ユダヤ主義」「ユダヤ人による陰謀」を描いたプロパガンダ映画に『ロスチャイルド家』がある。この映画はナチス・ドイツが所有していた映画会社よって制作されたもので、「ユダヤ人は国家に対して忠誠心の欠片もなく、国民国家形成にとっては邪魔な存在である」ということを主張した作品だった。なぜロスチャイルド家なのかといえば、ロスチャイルド家は既に19世紀には繁栄し、この映画が制作された20世紀半ばには「国際金融資本家」というイメージがあったからだ。

 

『ロスチャイルド家』


 ナチス・ドイツはこの映画について、「あくまでも歴史的な事実を描いた歴史映画であって反ユダヤ映画ではない」と主張。宣伝にあたっても「反ユダヤ」という宣伝はいなかったが、、映画の内容はユダヤ人による「世界制覇の陰謀」を描く映画であった。この映画の中で、ロスチャイルドの存在は「他人の苦痛によって利益を得て優雅にぜいたくな生活をしている銀行家」として描かれており、「多くのお金は、より多くの血によって成すことができる」というセリフを語らせている。

 

 1773年、ロスチャイルド家の創始者「マイヤー・ロスチャイルド」は、12名の国際的なユダヤの巨頭を招き、自らが住んでいたフランクフルトで秘密の会議を開催した。その会議の中でロスチャイルドは英国の「清教徒革命」(ピューリタン革命)を検証、これを教訓として、フランス革命を勝利に導くよう指針したとされる。
 そして、「フリーメーソン」に代わって全世界に対する支配権を手中に収めるための
「世界革命運動」の創出について述べ、そのための「25項目の行動計画書」を打ち出したといわれている。

 一説にこの「世界革命運動」を実行するための「イルミナティ」の創設が決定され、改宗したユダヤ人でありイエズス会士でもあったインゴシュタット大学法学部長アダム・ヴァイスハウプト(当時26歳)がイルミナティ責任者として選抜されたという。そして、1776年、ヴァイスハウプトがマイヤー・ロスチャイルドが打ち出した「25項目の行動計画書」を下敷きに『シオン賢者の議定書』を完成させたともいわれている。

 だが、これは真実ではない。ヴァイスハウプトが作った「イルミナティ」は、ロスチャイルドに乗っ取られたのである。なぜなら、ヴァイスハウプトが創設したイルミナティは1785年に消滅し、その際ヴァイスハオプトはこう言い残している。

 

 「闇のイルミナティに気をつけろ」


 「闇のイルミナティ」とは、ヴァイスハウプトの「イルミナティ」を財政的に支援し続けることでその組織を乗っ取ったマイヤー・アムシェル・ローシルト、つまりロスチャイルドのことなのである。

 

マイヤー・アムシェル・ローシルト

 

 ヴァイスハウプトによるイルミナティの目的は、文学・教育・美術・科学・財政・産業の分野で最も聡明な知的能力を持つ人たちが治める「世界政府」を生み出すこととされる。イルミナティ結成の日、ヴァイスハウプトはその著書『Novus Ordo Seclorum』(新世界秩序)を出版しており、イルミナティの掲げる目的とは、以下のものだとしている。
 
 ・すべての既成政府の廃絶とイルミナティの統括する世界単一政府の樹立。
 ・私有財産と遺産相続の撤廃。
 ・愛国心と民族意識の根絶。
 ・家族制度と結婚制度の撤廃と子供の共同体での教育の実現。
 ・すべての宗教の撤廃。


 これらの考え方は、のちにロシアの共産革命の基礎となる「共産主義」のモデルとなる。こうした考え方と「世界政府の樹立」というコンセプトは危険思想とされたが、ヴァイスハウプトが敵対視したのは、本来は暗黒の中世ヨーロッパを支配していた王侯貴族とヴァチカンによる支配であり、自由思想が許される世界の樹立を目指した「啓蒙思想」である。 
 だが、イルミナティの考え方は「過激な啓蒙思想」として体制側から大いに危険視され、教会の指示によって国から徹底的に弾圧された。歴史的には1785年に解散したものの、実際は地下に潜り、メンバーが重複していたことからイルミナティの中枢にいた人間たちはフリーメーソンを隠れみのとして活動、ついには組織の上部に君臨するようになった。


 ヴァイスハウプトが作った「イルミナティ」という組織は現在しない。だから表向きフリーメーソンの上部組織でもなければ、黒幕でもない。だが、陰謀論には必ず「フリーメーソン」と「イルミナティ」という名前が出てくるのは、元イルミナティのメンバーがフリーメーソンに寄生しているからである。表向きは慈善団体フリーメーソンの人として振る舞うが、裏側ではロスチャイルドの考えが反映されたイルミナティの人間として動く。だからこそ陰謀論を解明する人たちを混乱させるのである。

  「イルミナティ」とは、本来は「光」の意味だが、ロスチャイルドに乗っ取られた以降のイルミナティは「闇の光」、かつては光の熾天使ルシフェルだった「ルシファーの光」であり、その正体は「カインメーソン」である。カインメーソンは現在、フリーメーソンに深く浸透している。

 

 

◆プロビデンスの目とアメリカの国章

 

 フリーメーソンによる世界支配のシンボルと噂されるものに「プロビデンスの目」(Eye of Providence)がある。「プロビデンス」は「キリスト教の摂理」という意味で、「神の全能の目」( all-seeing eye of God)や「万物を見通す目」を意味するとされるが、これを象徴として描いているのがアメリカの1ドル札である。

 

 

アメリカの1ドル札

 

 「プロビデンスの目」は、目の光背や、キリスト教の三位一体の象徴である三角形としばしば組み合わせて使われる。陰謀論や都市伝説では、三角形に目を配したプロビデンスの目は「フリーメーソンの象徴」とされ、この紋章がアメリカの国璽でありアメリカのドル紙幣に描かれていることはアメリカ合衆国がフリーメーソンの支配下にある証拠だ、と唱える者も多い。

 

 だが、フリーメーソンリーの複数のロッジはいくつもの根拠をあげ、アメリカの国章制定への関与や、この三角形に目を描いた紋章がフリーメーソンを表す紋章であることを否定している。また、イルミナティの紋章であるとされることもあるが、大英博物館にあるイルミナティ文書の原本や、メンバーが使用していた場所のデザインにプロビデンスの目は存在していない。

 

 

 「プロビデンスの目」がアメリカ合衆国の1ドル紙幣に採用されたのは1935年で、国章の裏面がデザインとして使われている。「アメリカ合衆国の国章」(Great Seal of the United States)は、アメリカ合衆国の国章として事実上使われている図柄であるが、実はアメリカ合衆国は公式には「国章」 (national coat of arms)」を定めたことは一度もないのだが、「国璽」(こくじ)の図柄がパスポートなど様々な場面で用いられてきたことで、事実上の国章とみなされている。

 

アメリカの「国璽」の表面 

 

 国璽の図柄は円形をしており、上の写真の画像は表面の図柄に彩色したものである。ハクトウワシが翼を広げたものが描かれており、鷲の羽根の数は33枚で、鷲は13個の実と13枚の葉のついたオリーブの枝と13本の矢とをそれぞれの足に握り、「戦争と平和」および「平和への願い」を表しているという。

 また、ワシの頭はオリーブの枝のほうに向けられ、戦争のない平和な世界を願った思いがこめられているとし、鷲は合衆国のモットーである「E Pluribus Unum」(ラテン語: 多数から一つへ)が書かれた布をくわえている。そして鷲の頭上には「栄光」を表す13個の星が青地の中に輝いており、13個の星は「六芒星」=「ダビデの星」の形に並べられている。

 なんで「六芒星」なのかといえば、独立戦争時にアメリカを金銭的に支援したヨーロッパのユダヤ人事業家の一人に「ハイム・ソロモン」という投資家がおり、ジョージ・ワシントンが「勝っ

た暁に投資の見返りに欲しい物」を尋ねたところ、「我々の民族の象徴をあなたの国の国章に入れていただきたい」という返答があったとされる。そのため、建国の父の多くが「キリスト教徒」(プロテスタント)で「フリーメーソン」であったにもかかわらず、アメリカの国章にユダヤのシンボルが描かれているという。


 「33」とはフリーメーソンの最高階位である。そこはまだ理解できるが、問題は「13」である。13個の実と13枚の葉のついたオリーブの枝と13本の矢である。「13」が西洋において最も忌避される忌み数である。一般的にアメリカが独立したときの州の数が13州だったためとされているが、そんな単純な話ではない。「13」を「国璽」に描いているとは、聖なる数「12」とは「反対の国」になるということを意味しているのである!これは「預言」である。

 そこにユダヤのシンボルとして「六芒星」を描かせたというのだ。単純に「六芒星」を描いたのではない。敢えてユダヤ人の意向を受け入れてシンボルとして「六芒星」を描いたのである。

 

 
アメリカの「国璽」の裏面 

 

 アメリカ合衆国の国璽の裏面にも図柄が彫られている。煉瓦造りの13層の金字塔型四角錐の上に「プロビデンスの目」が描かれている。この目玉は「万物を見通す目」であり、ピラミッドは新しく生まれた国家の光を浴びることを示したために描かれたという。
 下部にあるラテン語「Novus ordo seclorum」は、「時代の新しい秩序」 (a new order of the ages)を意味し、それに対して上部にあるラテン語は「Annuit cœptis」は「神は我々の 企てを支持した」 と書かれている。

 この「Novus ordo seclorum」は
「新世界秩序」=「New World Order」とされる。さらに「神は我々の 企てを支持した」 という意味の「Annuit cœptis」とも書かれているが、この図柄は「裏面」である。つまり、アメリカ建国の裏の意図は「神とは反対の者は我々の 企てを支持した」 という意味になる。

 

 またピラミッドの底部にあるには、「MDCCLXXVI」というローマ数字が刻まれている。ローマ数字では、I=1、V=5、X=10、L=50、 C=100、D=500、M=1000である。この「MDCCLXXVI」をアラビア数字にすると、1000+500+100+100+50 +10+10+5+1=1776となる。

 この「1776」は、アメリカが独立宣言を出した
1776年を意味するといわれている。しかし、実際には1776年7月4日に独立宣言はしたものの、イギリス軍との戦局はまだ不利な状況で、独立できるかどうかはおぼつかない状態だった。そして、アメリカが正式に独立を果たしたのは、1783年に行われたパリ講和会議後だったため、本来なら1783年が妥当なはずである。
 実は、1776年とは、イルミナティが設立された年なのである!しかも、「MDCCLXXVI」の最後のローマ数字はVとI、5と1で、これは5月1日を表している。
1776年5月1日、それは「イルミナティの創立記念日」なのである!

 

<つづく>