「フリーメーソン」の真実 その11

 後編:超古代フリーメーソンと闇の秘密結社

 

 世間ではとかくユダヤ教やキリスト教などを「一神教」の宗教として危険視する方々がいるが、確かに「宗教」という名のビジネスとして考えた場合、カリスマ的な創業者がいた方が商売はしやすい(笑)。国家でも法人でもトップは一番の責任を負わねばならない立場だし、命令系統をはっきりしておかないと統治がしづらい。キリスト教においては「ローマ法王」が一番偉い存在という決め事があるからこそ成立しているし、世界宗教としてのパワーを持つが、ユダヤ教やイスラム教の場合、一体誰が世界で一番偉いんだか日本人には分からない。人数ではイスラム教徒はすごい勢いで増えてはいるが、教えを一般化しづらいという意味ではグルーバルなローカル企業という存在だ。

 

 現在のユダヤ教は「ヤハウェ」を崇める一神教だが、紀元前7世紀に行われた「ヨシア王」による宗教改革が行われる以前は、絶対三神を祀る三神教であった。古代イスラエル王国のイスラエル人たちは三神教徒だったということである。それを表すのがモーセが作れせた「三種の神器」だったが、現在のユダヤ人たちはその意味すら忘れてしまっている。

 

◆イエス・キリスト出現の目的とヘブルメーソン

 

 ヨシア王の宗教改革で三神教だったイスラエル教は、一神教のユダヤ教へと変貌を遂げたが、それからまもなく「バビロン捕囚」が起き、50年後に解放されたイスラエル人たちは、国を失った存在となり、やがて「ユダヤ人」と呼ばれるようになる。かつてのイスラエル教の教えを忘れ、唯一神ヤハウェのみを拝するユダヤ教徒となった。これが現在まで続くユダヤ教徒である。

 しかしユダヤ密教としての三神教の「イスラエル教」は、数百年の時を経て再び噴出することになる。「カッバーラ」を公然と掲げるメシア、「イエス・キリスト」が現れたのである。

 

イエス・キリスト

 

 イエスは保守的なユダヤ人ユダヤ教徒を徹底的に批判する。この世に存在する神は3人「御父・御子・聖霊」であると。しかもイエスは自分のことを「有りてある者」、つまり自分はお前たちの神「ヤハウェだ」と断言した。これにユダヤ人ユダヤ教徒は激怒、後に磔刑にさせられる引き金となるが、そもそもなんでイエス・キリストはメシア=救世主なのか?

 

 イエス・キリストの目的はイスラエル教の復元ある!その為にユダヤの地にいたイスラエル人の末裔たちを率いてヘブルメーソンを再編、モーセ以来の長老組織サンヘドリンとは別に、新たなヘブルメーソンを組織した。これがイエスの12使徒と70人弟子である。

 12使徒はイスラエル12支族に、70人弟子はモーセ直系のユダヤ教の70人長老組織に対応させたのである。そして、フリーメーソンを組織するにあたって、イエス・キリストは身を持って「死と再生」を果たした。

 

 フリーメーソンではイエス・キリストの話は出てこない。だが、フリーメーソンの参入議礼におけるヒラム・アビフの人生を追体験する「死と再生」の儀式を通じて、イエスの人生を追体験するのである。『アンダーソン憲章』にある「宇宙の偉大なる建築者である神」とはヤハウェ=イエス・キリストである。

 肉体を持たなかったヤハウェは宇宙を創造した大工なのであり、イエスも大工である。それも再臨して「至福千年王国」を作るための大工の棟梁、グランドマスターである。今風な言い方をすれば、12人からなる取締役会と70人の大工の社員がいる建設会社の社長イエスといったとこか(笑)。

 

70人弟子

 

 12使徒はカッバーラの真実を伝えるため、全世界へと旅立った。そして世界中に散ったセムメーソンたちを探し求めた。

 エルサレムに残った70人弟子たちは、ヘブライ語もしくはアラム語を話すユダヤ人原始キリスト教徒「エルサレム教団」と呼ばれ、ヘブルメーソンを伝道対象にした。

 これに対してコイネー・ギリシャ語を日常語とするユダヤ人である「ヘレニスト」たちは、シリアを活動拠点とし、「アンティオキア教団」を形成。パウロを筆頭に、ユダヤ人のみならず異邦人にも伝道を開始。目指したのはヤフェトメーソンであった。

 

 

◆ イルミナティ

 

 一般的な「陰謀論」において、フリーメーソンと並んで必ず名前が挙がるのが「イルミナティ」である。イルミナティは1776年、大学教授のアダム・ヴァイスハウプトがドイツで結成、「バイエルン啓明結社」と呼ばれる政治結社だった。その思想自体は「啓蒙主義」で、王政や教会の権威を否定、基本的人権を尊重する「自由主義」を標榜した結社で、世界征服を企てるといった内容の組織ではなかったが、フリーメーソンと似た階級組織を作り、フリーメーソンにはない「秘密の教え」がると触れこんだことで、ドイツのメーソン会員が続々と加入。あたかも外郭団体のような存在となった。

 

 

アダム・ヴァイスハウプト


 会員が増えたまでは良かったのだが、イルミナティが標榜した「自由主義」はヨーロッパを宗教的に支配シていたヴァチカンにとっては危険な思想であったため、政府から解散をさせられる。実質9年しか活動しなかったが、メンバーはそのままフリーメーソンの中に残っていたため、やがてフリーメーソンを思想によって中枢から乗っ取っていった。

 フリーメーソンといえば「自由・平等・博愛」を説く団体というのが一般的な認識であるが、その思想の中には元々「革命」はなかった。革命思想などなかったはずのフリーメーソンがフランス革命やロシア革命など様々な「革命」の担い手となったのは、元イルミナティのメンバーたちが力を持つようになって、フリーメーソンの中に革命思想を仕込んだためである。

 

 フリーメーソンによる陰謀の根拠として必ず引き合いに出されるのが悪名高き『シオン賢者の議定書』である。これはシオン賢者、すなわちユダヤ教の長老たちが画策する世界征服に関する計画書で、19世紀末にロシアで小冊子が頒布され世に知られるようになったが、『シオン賢者の議定書』は、ユダヤ人による世界支配を決定する秘密会議の議事録とされ、ユダヤ人以外の民族を家畜とみなし、徹底的に堕落させることを決定した書物とされる。

 

 

『シオン賢者の議定書』


 『シオン賢者の議定書』によると、1897年にスイスのバーゼルで「第1回シオニスト会議」が開催され、24人から成るユダヤ教の長老たちの名において、「世界支配戦略」が決議され、その内容として、以下ようなことが記されている。
 
 ・自由主義の無政府主義(アナーキズム)を広め、世界各国で体制を崩壊させる。
 ・無神論を科学的な思考として広め、『聖書』の説く真理から大衆の目を逸らす。
 ・マスメディアを使ってスポーツ、映画、性的娯楽を煽り、人々の関心を政治から逸らす。
 ・経済的に投機を活発化させて金融を握り、銀行家や資本家を味方にして、世界経済を掌握する。
 ・世界支配には、フリーメーソンを利用する。
 ・各国の名士を秘密結社に引き入れ、世界的なレベルで同時多発的に革命を起こす。
 ・フリーメーソンを管理するのはシオン賢者である。そのことは一般のフリーメイソンには知られてはならない。
 ・最終的に、ユダヤ人が世界を支配し、ダビデ王の血統をもつユダヤ人が君臨する。


 このように『シオン賢者の議定書』には、はっきりとフリーメーソンという名前が記され、世界中のフリーメイソンを使って世界征服をすると明確に述べられていた。それがフリーメーソンによる世界征服計画とされた所以であるが、『シオン賢者の議定書』は、パリに駐在していた反ユダヤ主義であったロシアの秘密警察であるロシア帝国内務省警察部警備局が捏造したことが判明している。また、『シオン賢者の議定書』の元ネタになったのは『マキャベリとモンテスキューの地獄での対話』である。


 だが、偽書ではあるものの、そこに書かれた内容が見事なまでに20世紀の社会の動きと一致しており、実際これを基にしてユダヤ人たちは世界支配を目論んでいるに違いないと信じる陰謀論者は未だに多い。確かにこの本を読むと、恐ろしいほどの洞察力だと関心してしまうのだ。世界の人たちが騙されても仕方ない。

 フリーメーソン側は「世界支配を目論むユダヤ人の手先ではない」と主張したが、弁明すればするほど、外部からは怪しく見えてしまう。よってフリーメーソン側は何も言わなくなったことで、世界支配を企む悪の秘密結社というイメージがまとわりついてしまっている。

 

 『シオン賢者の議定書』と同じようにフリーメーソンが悪の組織であるということを主張したのが、フランス人の作家の「レオ・タクシル」である。タクシルはフリーメーソンであったが脱会、自らの体験を基に様々な本を執筆、フリーメーソンがいかに恐ろしい組織であるかを宣伝する。

 

 

タクシルのほんの宣伝ポスター


 タクシルは、フリーメーソンには「ルシファー派」とよばれる組織があり、メンバーは悪魔を崇拝、恐ろしい儀式を行っていると主張した。フリーメーソンから脱会したタクシルはカトリックに改宗する。反フリーメーソンであったバチカンは、タクシルの一連の著作を高く評価したことで、世界的なセンセーションを巻き起こすこととなる。そして「フリーメーソンは、人身御供をともなう黒ミサを行う悪魔教の信者である!」という噂が広がったのだ。
 しかし、これら一連のタクシルの著書はでっち上げで、タクシル自身、本に書いたことはすべてうそであると暴露した。だが時すでに遅しで、『シオン賢者の議定書』と同じようにフリーメーソンは悪の組織というイメージが付与されることになってしまったのだ。

 

 いったいなんで、そして誰がここまでフリーメーソンのイメージを地に落とすようなことをするのであろうか?そのひとつは「ヴァチカン」である。そしてもう一つはタクシルが書いたようにフリーメーソンの中にいる「ルシファー派」と呼ばれる人間たちでもあり、彼らは解散させられた「イルミナティ」に属していた一団、それもロスチャイルドに支配された一団だったのである。

 

<つづく>