「フリーメーソン」の真実 その8

 後編:超古代フリーメーソンと闇の秘密結社

 

 近代フリーメーソンは自覚している。本来ならあったであろう「権能」が失われてしまったことで、現在行われている儀式は既に形骸化しており、権能を次世代に伝えることができなくなってしまっていることを。これが「フリーメーソンの失われた鍵」と呼ばれるものである。

 

◆ 「フリーメーソンの失われた鍵」

 

  「フリーメーソンの失われた鍵」の正体は、ユダヤ教神秘主義「カッバーラ」である。カッバーラは一般的には「西洋魔術」や「数秘術」「占い」などと思われているが、実際はもっと根源的な哲学体系である。カッバーラは元々「受け取る」ことを意味するヘブライ語で、絶対神から一方的に与えられる叡智であり「霊的な権能」でもあるため、努力して手にできるものではない。絶対神から選ばれた人間のみが持つ権能なのであり、その奥義が「生命の樹」である。

 

「生命の樹」

 

 絶対神から召命された人間は「預言者」と呼ばれるが、預言者はカッバーラの叡智を手にし、絶対神の言葉を取り次ぐ権能を持つ。カッバーラをもって儀式を行って組織を作り、民を導く。これが本来のフリーメーソンである。

 だから「アンダーソン憲章」ではアブラハム、モーセ、ダビデ、ソロモンをグランドマスターだと規定しているのである。現代のフリーメーソンは、「アンダーソン憲章」をファンタジーとして軽視するが、それこそカッバーラの権能を手にしていない証拠なのである。

 

◆「絶対三神はフリーメーソン」という奥義

 

 カッバーラで最も大切なのは「生命の樹」の「三本柱」である。中央を「均衡の柱」、右を「慈悲の柱」、左を「峻厳の柱」と呼び、柱は神の象徴である。天と地をつなぐ者としての絶対神で、三本柱とは絶対三神、「御父・御子・聖霊」を意味する。但し、カトリックやギリシャ正教、プロテスタントがいう「三位一体」ではない。

 キリスト教がいう「三位一体説」では、御父=ヤハウェ、御子=イエス・キリスト、聖霊=ルーハと位置づけるが、根本的なところで間違っている。創造神ヤハウェは御父ではない。御父とは至高の神エル・エルヨーン(エロヒム)である。ここを間違っているが故に権能を持つ者が現れないし、絶対神から召命されないのだ。

 

 絶対三神に対する理解がカッバーラとキリスト教神学とでは、全く異なるのでる。だからこそ、カトリックは歴史的にフリーメーソンを受け入れられないのだ。フリーメーソン哲学では、創造神ヤハウェは宇宙を建築した偉大なるグランドマスターであり、カッバーラからすれば絶対三神は全てフリーメーソンなのである。

 

 

 

◆守護天使ヤハウェ=インマヌエル

 

 絶対三神がフリーメーソンなら人祖アダムもフリーメーソンであるが、ここで大事なことがある。宇宙が創造された時点で、ヤハウェは肉体を持っていない。肉体を持ったのは「イエス・キリスト」として現れた時点のことである。つまり聖霊「コクマー」と同じ霊的な存在で、霊体のみのフリーメーソンである。これはアダムも同じである。アダムの最初の創造は霊体の創造で、2回目は肉体の創造であった。肉体の創造は「アダマー」(赤土)により行われたがゆえ、最初の人間として「アダム」という名前がつけられたのである。

 

 「ヤハウェ」という名前は「天使名」である。まだ肉体を持っていなかった創造神はイスラエルの守護天使であり、天使長であった。「新約聖書」には「インマヌエル」という天使名が記されており、母マリアの体を通じて受肉、天使ヤハウェ=イスラエルはヨシュア=イエスと命名された。

 

 

インマヌエル

 

◆ アダムメーソンと絶対3神の神殿の建造者

 

 まだ 肉体を持たない霊体のアダムも当時は天使だった。天使名を「ミカエル」という。ヘブライ語でミカエルとは、神に似た者という意味で、アダムが神の姿に似せて創造されたことを意味している。カトリック神学では、天使は神と人をつなぐ霊的な存在のため、翼をもった姿で描かれるが、カッバーラでは違うのだ。

 

大天使ミカエル

 

 「聖書」に描かれる人間が創造される前の天界の戦争において、熾天使「ルシフェル」とその配下となった1/3の天使の軍団と戦かった大天使ミカエルは、神の軍団における軍団長の役割を担い、勝利に導いた。この戦いにおける貢献によって、大天使ミカエルは「肉体」を与えられることになった。

 地球において最初に受肉したアダムとは、霊体の時には大天使ミカエルだったのである。そして受肉したアダムは絶対三神を祀る神殿を建設、子供たちが誕生すると、フリーメーソンの組織が生まれた。これが人類最古のフリーメーソンの「アダムメーソン」である。そしてアダムは息子カイン、アベル、セトにカッバーラの奥義を説き、様々な建築を行ったのだった。

 

 「アンダーソン憲章」では、ノアの3人の子供の一人であるハムの息子「エツライム」が数々のピラミッドを建設したとあるが、ギザの「三大ピラミッド」だけは違う。「エツライム」が建造したのはの「三大ピラミッド」以降のピラミッドで、ギザの「三大ピラミッド」はノアの大洪水が起きるより前に建てられた超古代の建造物なのである。

 

三大ピラミッド

 

 三大ピラミッドは古代エジプト文明の遺産ではない。地元のベドウィンやアラブの古い伝承によれば、三大ピラミッドを建造したのは「サウリド王」で、別名は「イドリス」。イドリスとは『コーラン』における預言者「エノク」のことなのだ。三大ピラミッドは義人と呼ばれた「エノク」、天使名「メタトロン」によって建造されたもので、アダムメーソンの手によるものである。

 三大ピラミッドを王の墓という研究者も多いが、カッバーラの「生命の樹」を四角錐という構造物で表現した神殿が三大ピラミッドで、その配置はオリオン座の三ツ星を模している。三大ピラミッドの「王の間」の天井の形はそれぞれ四角、三角、丸(半球)で、祀られている神がそれぞれ異なることを示している。三大ピラミッドはエノクが地球規模の「大洪水」が起きることを預言として受け取っていたからこそ、その構造自体で後世の人類に「叡智」を伝えるために建造したものなのである。

 

 「エノク」のことは旧約聖書にはほとんど登場しないが、聖書外典・偽典のスラブ語訳の「エノク書」には、エノクがどれだけ絶対神から信頼されていたのかが分かる記述が残されている。

 

 「エノクは,義をもって神の民に教えを説き続けた。そして,その生涯に,彼は一つの町を建て,それは聖なる都,すなわちシオンと呼ばれた」

 エノクの作った町は
「シオン」という名前の聖なる都だったのである。

 すると、主はエノクに言われた。
 「わたしが生きているように確かに、わたしは終わりの時に、すなわち悪事と報復の時代に来て、わたしがノアの子孫に関してあなたに立てた誓いを果たそう。地が安息を得る日が来る。しかし、その日の前に、天は暗くなり、暗黒の幕が地を覆うであろう。天が震え、地も震えるであろう。そして、ひどい艱難が人の子らの中にあるが、わたしは自分の民を守ろう。
 また、わたしは天から義を下そう。また、地から真理を出して、わたしの独り子と、死者の中からの独り子の復活と、またすべてに人の復活について証しよう。そして、わたしは義と真理が洪水のごとくに地を満たすようにし、わたしが備える場所、すなわち聖なる都に地の四方からわたしの選民を集めよう。
 それは、わたしの民がその腰に帯を締め、わたしの来臨の時を待ち望めるようにするためである。わたしの幕屋はそこにあり、そこはシオン、すなわち新エルサレムと呼ばれるであろう。」

 「信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された」

「神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである」

 

とも書かれてもいる。エノクは亡くなったのではなく、神に取り上げられたのである。エノクの町「シオン」とともに神によって天に取り上げられたのである。そしてその町は終わりの日に神が再臨する時、「新エルサレム」として戻ってくるという。

 


新エルサレム

 

 この新エルサレムの話を知っていた人物がいた。1700年代のイギリスの聖職者であり作家であった「ジョナサン・スウィフト」である。世界中の人間が子供の頃に読んだことがあるジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』の第三篇には、「空飛ぶ島ラピュータ」が登場するが、これはジョナサン・スウィフトが当時は一般人の目には触れなかった外典や偽典も含む「聖書」を読めた立場にあったからこそ、その中から着想を得たといえる。
 さらに「第三篇」のタイトルは「 ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本への渡航記」である。『ガリバー旅行記』に登場するのは、巨人の島に小人の島、馬人間の島に空飛ぶ島と、全てが空想の産物といえる内容であるにも関わらず、ガリバーは江戸時代の日本を訪れているのだ。なぜ、日本だけがリアルな島として描かれているのか?それはジョナサン・スウィフトがフリーメーソンだったからである!

 第三篇を占めるラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本は、学究生活と科学とその他の諸々の事柄を風刺しているとされ、ラピュータで扱われているテーマは王立協会への痛烈な風刺と、さらにはニュートンへの皮肉であったと広く考えられている。
 漂流中のガリヴァーを助けた巨大な「空飛ぶ島」ラピュータは、日本のはるか東にある島国バルニバービの首都で国王の宮廷であり、底部のアダマントに連結された巨大な天然磁石の磁力によって、磁鉄鉱の豊富なバルニバービ国の領空を自在に移動することができるとなっている。

 

「空飛ぶ島ラピュータ」と「天空の城ラピュタ」

 

 フリーメーソンだったジョナサン・スウィフトは知っていたのだ。「空飛ぶ島」ラピュータと表現はしたが、義人エノクの「聖なる町シオン」=「新エルサレム」は、日本に関係しているということを。だが、それを直接書くことはできない。だから風刺小説的に全体を書きながら、まだほとんどのヨーロッパ人が知らなかった日本のことを織り交ぜたのである。

 

 

<つづく>